超低消費電力・高速通信──「UWB」とは何か?(1/3)

消費電力はBluetoothの4分の1で,通信速度は500Mbps──そんな無線通信を可能にするのが,超広帯域を利用する「Ultrawideband」(UWB)だ。Intelは実際の機器をデモすると共に,UWBへの期待と課題を語った。

【国内記事】 2002年4月18日更新

 米連邦通信委員会(FCC)が商用化を認可して以来(2月15日の記事参照),大きな話題を呼んでいる「Ultrawideband」(UWB)。

 4月17日の「Intel Developer Forum Spring 2002 Japan」(IDF)では,Intel LabsのBen Manny氏がUWBについて講演を行った。

UWBの2つの顔

 1.5GHz幅以上の広帯域を使い,通信速度は数百Mbps。それでいてBluetoothをも凌ぐ低消費電力──という技術がUWBだ。さらに,壁の向こう側の動きなどを探知できるレーダーとしても利用できるという。

 これだけ読むと,まさに魔法のような無線技術だと思えるかもしれない。しかし,Intel LabsのManny氏は「UWBの位置づけに関して混乱がある」と語る。

 実際のところ,FCCによって出力を制限されたUWBは,近距離での超高速な無線通信やレーダーとして利用される技術だ。無線LANの代わりとして使うには向いていない。

 Intelが提示したUWBの通信パフォーマンスのグラフを見ると,そのことがよく分かる。UWBは10メートル以内では数100Mbpsの通信速度を発揮するが,20メートル付近で無線LANに逆転される。「近距離では大きな潜在能力を持っている」(Manny氏)


IntelがFCCの規制に基づいて計算したUWBの通信パフォーマンスのグラフ。10メートル以下といった近距離では数百Mbpsのデータレートを達成するが,距離が離れるにつれてデータレートは急激に低下する

 そのため,UWBの利用法として考えられているのは,主に2つだ。

 1つは,Intelが焦点を当てているデータ通信の用途。「ターゲットとしては約10メートルの距離で500Mbpsの通信速度。USB2.0の無線版や次世代Bluetoothの無線方式としての可能性もある」(Manny氏)

 もう1つは,従来から軍や警察,消防などで実用化が進められていた,レーダーとしての用途だ(2月18日の記事参照)。UWBの電波をレーダー波代わりに使い,壁の向こうの動きなどを探知できるのだという。さらには,「在庫管理にも利用できる。在庫にタグを付けてUWBでトラッキングを行う」(Manny氏)などの用途も考えられている。


IntelはUWBのデモシステムを使い,実際の通信をデモンストレーションした。右側のトランスミッター(送信部)から,4メートル離れた左側のレシーバー(受信部)にデータを送信。100Mbpsでデータが転送されるもようを実演。周波数帯は,2GHzから6GHzの4GHz幅を使っているという

意図的に出力を絞ったUWB

 では,このように魅力的なUWBは,どのようにして“低消費電力・高速通信”を実現しているのだろうか。

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[斎藤健二,ITmedia]

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