リビング+:ニュース 2003/07/09 23:59:00 更新


Bluetooth 1.2で何が変わる?

Bluetoothの新バージョン、「Bluetooth 1.2」がまもなく登場する。バージョン1.2でBluetoothの何が変わり、何が変わらないのか。Bluetooth SIGマーケティングディレクターのAnders Edlund氏がその概要と市場動向を語った

 なかなか普及しないまま、登場から早5年が経過したBluetooth。その新しいバージョンとなる「Bluetooth 1.2」の内容が固まり、半年の検討期間を経て9月にも正式に策定される見通しとなった。新バージョンの登場により、Bluetoothは普及の糸口を掴めるのか。Bluetooth SIGマーケティングディレクターのAnders Edlund氏が9日に来日し、Bluetooth 1.2の概要とBluetoothの市場動向を語った。

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Blutooth SIGのマーケティングディレクターAnders Edlund氏

 Edlund氏はまず、Bluetooth SIGの認定製品が全世界で1000種を超えたことを紹介し、Bluetoothが「消費者に使ってもらえる段階になった」ことを強調した。日本ではまだ2機種と少ないが、欧州では携帯電話への採用も進んでおり、ソニーエリクソンやノキアなどが7機種を出荷中だ。とくに。「携帯電話とPCを仲介し、インターネットにアクセスする用途をメインに需要を伸ばしている」(Edlund氏)という。

 また、Pocket PC用の『Widnows Mobile 2003』がOSレベルでBluetoothをサポートしたことなども大きくプラスに働くとして「PDAやヘッドセットなど、携帯電話以外の製品も合わせると、年内にBluetooth搭載製品は全世界で7000万台出荷される見通し」を明らかにした。

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Edlund氏が「個人的にはちょっと楽観的かと思うが……」としながら示した普及予測(出典はテクノシステムリサーチ)。ただ、「たとえ結果がこの半分だったとしても、2007年に5億台出荷されるのなら、かなりの成功といっていいだろう」

バージョン1.2の機能

 既報の通り、バージョン1.2では1.1との完全な下位互換性を確保しつつ、AFH(Adaptive Frequency Hopping)による干渉の低減、接続手順の高速化、エラーコレクション(エラー訂正)の強化による音声・データ通信時の品質向上などが図られている。「バージョン1.2は、バージョン1.1の代替ではない。シームレスな進化により、共存する規格だ」。

 もともと干渉のリスクを回避するためにFH(周波数ホッピング)方式を採用したBluetoothだが、自分が使おうとした周波数帯に別のキャリアがいた場合でも送信してしまうため、結果としてお互いのパケットをロスしたり、あるいはキャリアセンス(使用するチャンネルに別のキャリアがあったときは待機する)の機能を持つ無線LANを“待たせてしまう”といった問題が指摘されている。

 これに対してバージョン1.2では、同じ周波数ホッピングを使いながらも、ビットレートの変化を見て、ぶつかっていると思われるチャンネルを次のホッピングから避けるAFHを盛り込んだ(記事参照)。これにより、「とくにPC環境では、Wi-Fiとの干渉を少なくすることでアプリケーションの増加が期待できる」(同氏)。

 eSCO(Enhanced SCO)は、ノイズ環境下でロスしたパケットを再送信するエラー訂正機能により、通信の効率化を図る。同時に、音声データのビットレートを64Kbpsから100Kbpsに引き上げ、音質を改善するというのが主旨だ。

 そしてEdlund氏が「新しい機能のなかで、もっともユーザーメリットにつながる」と紹介したのが、接続時のサーチ時間短縮だ。「周囲にBluetoothデバイスが4〜5個あった場合、従来ならサーチに3〜4秒はかかっていた。それがバージョン1.2では、従来の5分の1から10分の1に短縮できる」という。具体的な検証結果などは明らかにしていないものの、目安としてはデバイス1台あたり0.2〜0.5秒で接続可能になるという。

Wi-Fiとの共存が可能に

 Bluetooth 1.2では、無線LANとの干渉をおさえ、両社が共存あるいは“すみ分け”できる環境を整えた。音声を含む通信品質と接続性の向上もあわせ、Edlund氏が話す通り、バージョン1.2の策定はアプリケーションを拡大する上で大きな武器になるだろう。また、Bluetoosh SIGでは、バージョン1.2のタイミングにあわせて自動車およびビデオデバイス向けの「インプリメンテーション・ガイド」(実装時の機能を規定したもの)を提供。これらのデバイスにおけるメーカー間の相互接続性確保を目指すという。

 ただし、バージョン1.2の通信速度は最大721Kbpsのまま。今回の説明会では、残念ながら「Middle rate」や「Hight rate」(記事参照)と呼ばれる高速化の動きについて語られることはなかった。

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会場に展示されていたBluetooth搭載の携帯電話とPDA。右上の黒い端末はGPSだ

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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