おかげで仕事が手につきません――7年待った「ヴァルキリープロファイル」続編:「ヴァルキリープロファイル2 −シルメリア−」レビュー(1/2 ページ)
人と神との壮大な物語が展開される、ヴァルキリープロファイルの最新作が、いよいよ降臨した。前作から7年ぶりとなる作品で、プラットフォームもPS2に移ったため、大きく様変わりした本作。果たして、どのような進化を遂げたのだろうか?
あまりのグラフィックの美しさに、しばし呆然
北欧神話をベースにした物語と、壮大な世界観。そして、魅力ありすぎるキャラたちが登場することで、新規タイトルながら絶大な人気を誇ったプレイステーション版「ヴァルキリープロファイル」(以下、前作)。一度盛り上がった火は衰える気配を見せず、続編の発売がアナウンスされない中でもファンの心にくすぶり続けていた。そんな、“2作目が期待されるタイトル”の続編が、7年の時を経てついに登場。基本的なシステム面はそのままに、グラフィックが大幅に進化した。実際、ゲーム画面を目にしたときの驚きは相当なもので、最初はPC版のゲーム画面かと思ってしまったほど。まさか、それがそのまま動くとは思わなかっただけに、非常に驚愕した。とはいえ、驚異的なグラフィックであっても、内容が面白くなければバランスを欠くのも甚だしいところ。しかし、実際にプレイしてみると、そんな心配は杞憂に過ぎなかった。
今回の味方は、魂となった者達だけではない!
今回の物語は、前作よりはるか数百年昔が舞台。主神オーディンに反抗した戦乙女シルメリアは、人間に転生させられてしまう。しかし、その魂は時のディパン王女・アリーシャの中で幼い頃から目覚めてしまう。1人の人間に、2つの精神が同居するアリーシャ。それ故、国王である父親に追放され、物心付いたときから別離生活を送っていた。あれから数年。アリーシャの中で覚醒したシルメリアの存在がオーディンに知られてしまい、彼女を再び封印すべく追っ手が迫っていた……。
前作は、神々が戦争をするので、そのときに役立つ有能な人材を人間界から引っ張ってくる、というのが大筋だった。そのため、今にも死んでしまいそうな人物を見つけ、その魂を回収して仲間にする、という手順で物語は進んだ。ところが今回、シルメリアは最初から死者の魂を自らの体の中に取り込んでいるのだ。魂であるエインフェリアを実体化(マテリアライズ)させるには、各キャラに対応した遺品を見つける必要がある。どこかにある遺品を発見すると、自動的に対応したキャラがマテリアライズし、パーティメンバーに加わってくれるのだ。といっても、遺品を探すのは簡単で、ストーリーを進めていくと容易に見つかるようになっている。こうして、パーティの戦力を増強させながら、ゲームを進行させていく。
より緊張感が高くなった戦闘システム
前作と比べて、大幅にパワーアップされたのが戦闘シーン全般だ。前作では、ダンジョン内をさまよう敵を斬りつけると、自動的にサイドビューの戦闘シーンに突入した。これが今作では、敵を斬りつけたり接触すると、戦闘フィールド画面へと場面が変化する。ここは文字通り戦闘のためだけにあるフィールドで、現在探索している地形とは異なるのだ。とはいえ、野原であれば広い草原になり、城などの中なら通路が表示されるなど、まったく関連性がないわけではない。
フィールドには複数の敵が表示されていて、その中のリーダーを倒せば戦闘終了となる。手順は簡単で、最初はフィールド上を移動し、敵をパーティの攻撃範囲内にとらえる。するとターゲットマークが表示されるので、○×△□どれかのボタンを押すと、それに対応したキャラが敵を攻撃し、自動的にサイドビューの戦闘シーンに突入するのだ。
なお、フィールドに赤く表示されているのは敵の攻撃範囲で、パーティキャラがこの中に入ると敵から攻撃を受けてしまう。そんな時にはR1ボタンでダッシュし、攻撃範囲を通り過ぎるように移動してしまえば問題ない。しかも、ダッシュ中にパーティの攻撃範囲内に敵が入るように移動すれば、その途中で攻撃を仕掛けることによりダッシュキャンセルとなり、先制攻撃を加えられる。このあたり、対戦格闘ゲームのキャンセル技に通じるところがあるので、そのようなゲームをプレイし慣れている人であれば、感覚的に理解できるだろう。ちなみに戦闘フィールドでは、パーティが移動しなければ敵も動かないシステムなので、焦らずじっくり戦えるのがありがたい。
戦闘フィールドでは、パーティにはAPと呼ばれる行動値が設定される。最初は100あり、ダッシュや攻撃などで一定ポイントを消費、0になると回復させない限り行動不能になってしまう。つまり、ダッシュは便利なものの、使いすぎるとAPを消費するために、戦闘シーンで攻撃ができない、などという事態に陥ることもある。このバランスも絶妙で、無駄な移動さえしなければ、余裕で敵を倒せるようになっているのにも感心した。
戦闘シーンにて、タイミング良くボタンを押すだけで連携がどんどん決まる気持ちよさは、今作でも健在。とはいえ、攻撃はAPを消費するし、武器によっての攻撃回数も決まっているので、ただ適当に連打しているだけではダメ。連携しそうな攻撃順番を考えてボタンを叩く必要があるのだ。すると、相手にダメージを与えるとともに決め技ゲージがたまっていき、100になると決め技を発動させられる。ただし、そのためには決め技を出せる武器を装備していなければならない。装備してしまえば、“ニーベルン・ヴァレスティ”などの決め技を発動させられるのだが、非常にクオリティの高いキャラグラフィックのまま決め技を仕掛けるのだから、見ているだけでも力が入ってしまう。前作とのあまりの差に、絶対に驚くことは間違いない。初めて見たときは、開いた口がふさがらなかったほどだ。さらに、オプション画面で決め技をスキップするかどうかの設定も選択できるので、まさに至れり尽くせりといった感じ。
細かい点での追加要素も多く、その1つに、敵を攻撃した部位によって、敵の装備を破壊することができるファクターがある。すると攻撃が格段にヒットしやすくなり、戦闘を有利に運べるのだ。さらに、条件を満たせば「ブレイクモード」と呼ばれる、APを消費せずに攻撃できるモードへ突入し、ボタンを連打し続けるだけで相手に大ダメージを与えられる。発動確率は低いものの、このモードに移行すれば相手をタコ殴りにできるので、気分爽快。しかも、攻撃し続ければ敵はバラバラになっていき、最後は欠片だけになってしまうのだ。ここまで気持ちよく戦える戦闘システムは珍しく、本作最大の特徴と言えるだろう。ストレスがたまりがちな人がうっぷんを晴らすことができる最適な戦闘システムかもしれない。ただし、序盤は回復手段が限られているので、そこを乗り切るまでが若干ながら難しいかもしれないが。ちなみに、出現した敵の中にいるリーダーだけを倒せば戦闘は終了になるので、上手に戦えばすぐに終わる。経験値も多く入るので、なるべくリーダーだけを狙っていきたいところ。こうした、無駄に時間を費やさないというアイデアも、賞賛されるべきだろう。
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