鳥山がつき、坂口がこねし名作RPG、遊べるXbox 360ユーザーは至極幸せ:「ブルードラゴン」レビュー(1/2 ページ)
豪華なクリエイターたちのコラボレーションによって作成された本作。Xbox 360を持っていない人でも、気になっているタイトルだろう。いったいどんな壮大な物語が紡がれるのか、さっそく体験してみた。
あこがれていた鳥山ワールドに降り立つ
「ファイナルファンタジー」シリーズを手がけてきた坂口博信氏とその楽曲を担当してきた植松伸夫氏、漫画「ドラゴンボール」でおなじみの鳥山明氏がタッグを組んだ超大作RPG「ブルードラゴン」が、Xbox 360で発売された。三者が手を組むのは、スーパーファミコンで発売された名作の誉れ高い「クロノトリガー」以来、11年ぶりとなる。
ただ、ハードがXbox 360ということで、正直に言うと多少の不安もあった。それほど普及しているとはいえないハードで、制作費がかさむ超大作RPGを作れるのかと、汚れたオトナは考えてしまうのだ。
ドキドキしながらゲームスタートすると、そんな不安はすぐに消し飛んだ。主人公である元気いっぱいで負けず嫌いのシュウ、理論派で知的な少年ジーロ、心優しい少女クルックなど、鳥山テイストにあふれる3〜4頭身のかわいいキャラクターが活き活きと表情豊かに動いているのだ。懐かしくも、新鮮な映像に興奮せずにはいられなかった。操作時のキャラクターグラフィックが、イベントムービー時とクオリティが変わらず、本作の世界に入り込みやすいのもポイントだ。
物語の舞台は、古代遺跡が散在する星でかつて魔法と機械が共存していた世界。しかし、魔法と機械を操って繁栄を謳歌(おうか)していた古代文明は、10万年以上前に滅びていた。この世界の各地では、“紫の雲”とともに災厄が訪れていた。シュウ、ジーロ、クルックが住んでいる“タタの村”も例外ではなく、年に1度紫の雲とともに“地鮫”と呼ばれる怪物が出現。地鮫は村をめちゃくちゃに荒らしまわり、死者も多数出ていたようだ。腹を据えかねたシュウたちが、地鮫を捕らえようと立ち上がったところから、この壮大な冒険は始まりを告げるのだ。
圧倒的に強力な地鮫という敵に、少年少女が勇気をふりしぼって立ち向かう――少年マンガを読んで育った筆者には、たまらない展開で、いやがおうにも盛り上がるというもの。
地鮫はとても堅く、剣で対抗できるものではなかった。ジーロはこの状態を予測していたようで、地鮫を捕らえるための罠をあらかじめ張り巡らしていた。だが、地鮫の力は予想以上で、シュウら3人は地鮫に引きずられ、地底まで落ちてしまう。
ここまでのイベントは、ゲームの導入的な部分だ。だが、単純にムービーを見ているだけのイベントとは異なり、要所要所でキャラクターを操作して物語を進める必要があるため、キャラクターへの感情移入度は相当なものだ。また、戦闘シーンで実際に“地鮫”と戦えるのも面白かった。こちらが1ダメージぐらいしか与えられないんじゃ、そりゃマトモに戦っても勝てませんよ!
――と、序盤から息つく暇もなく盛り上がるイベントの連続で、急激に本作の世界に引き込まれていく筆者。そんなこんなで、3人が目覚めたのは、古代遺跡のような場所。初めてプレイヤーが自由に行動できるダンジョンであり、本格的な冒険はここから始まるのだ。
このダンジョンの大きさはほどさほど広くないが、宝箱あり、戦闘ありで、本格的な冒険を楽しめる仕掛けが満載だ。本作の戦闘は、フィールドマップ上を歩く敵に触れると、戦闘シーンへ移行するシステムを採用している。レベル上げなどで積極的にモンスターと戦いたい場合は、こちらからモンスターに近づいていけばよいし、逆に早く物語を進めたい場合はモンスターを避けて行動すればいい。普段はレベル上げの戦闘があまり好きではない筆者にとって、このように戦闘をある程度自分の意志で発生させられるシステムは、かなり好感触だ。さらにいえば、本作はモンスターが魅力的なため、ついつい自分からモンスターを襲ってしまう。
ちなみに、最初に筆者のハートがわしづかみにされたのがウンチスネーク。鳥山氏の作品ではおなじみのウンチ君をほうふつとさせるその姿に爆笑してしまった。鳥山ワールドをここまで再現するとはおそるべし!
ただ現時点では、戦闘シーンの醍醐味である“かげ”を用いたバトルは楽しめない。もうちょっとストーリーを進める必要があるようだ。
ダンジョンには、RPGでおなじみの宝箱も点在している。何が入っているのかな〜、と片っ端から開けていたところ、水色のゼリーみたいなもの(実はバリアらしい)に包まれた宝箱を発見! 今はまだ開けられないが、いったいどうやってバリアを解除するのか、そして宝箱の中には何が入っているのか!? 序盤から謎が大量に出てきて、早く先に進めたくなってしまうのは、さすがのひとこと。クルックが「今は洞窟から出ることが先よ!」と、暗に「もっとゲームを進めてから改めて開けに来い」と言っていので、先へ進むことにする。
と、こんな感じで洞窟を冒険していたら、あれよあれよという間にストーリーは進み、またしても絶体絶命のピンチに。そこで突如現れた光の玉を、これまた謎の声に従って飲み込むと、3人の彼らの影が突然モンスターの姿に変化した! やっと本作のキモである“かげ”が登場し、盛り上がる筆者。かげはもの凄く強く(というよりは素のシュウたちが弱すぎた気がする)、主人公たちを襲い来る大量の敵を、いとも簡単になぎ倒していくのだった。一気に戦闘の爽快感がアップし、筆者のボルテージもアップしまくりだ。
このように、次から次へとテンポよくイベントが発生するため、息つく暇もなく物語にグイグイと引き込まれていく。テンポが良すぎて止めどきが見つからないのが、ちょっぴり困るポイントであろうか。
そうそう、植松氏が生み出したBGMも忘れてはならない。随所に“植松節”あふれるサウンドはどれも名曲で、イベントを彩ってくれるだろう。筆者が特に気に入ったのは、中ボス戦のBGMだ。ゲームミュージックとしては珍しい、英語ヴォーカル付きの楽曲だ。曲のジャンルもロックなので、ボス戦が大いに盛り上がることは間違いなしだ。
ちなみにこの楽曲を歌うのは、あの伝説のロックバンド「ディープ・パープル」のヴォーカル、イアン・ギラン。楽曲も、どこかディープ・パープルを彷彿とさせるオルガンのソロがバリバリなので(植松さんってオルガン好きだよね)、違和感はまったくナシだ。
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