今年の夏モデルとして登場した従来のVAIO type Tでは新しいコンセプトが採用され「デザイン性を重視した薄型軽量筐体」と「長時間バッテリー駆動」といった方向性が打ち出されたが、残念なことに「長時間バッテリー駆動」を生かすために、バッテリーバックが背面に大きく飛び出すようなレイアウトになっていた。
ソニーは「このバッテリーパックの丸みがVAIO type Tにノートのようなスタイルをもたらしてくれる」と説明してくれたが、「薄型軽量はいいのだが、あのバッテリーがどうしても」と悩んだ末に購入をあきらめた知り合いも少なからずいたのは事実だ。
今回登場したVAIO type Tはそういったデザインの不満をほとんど解決している。バッテリーパックの飛び出しはまだ少し残っているものの、その姿は不自然でない。ThinkPad X41の大容量バッテリーに抵抗がないならば、このぐらいの飛び出しは許容範囲だろう。
筐体そのものも、システム基板のレイアウト見直しや薄型液晶ディスプレイの採用といった「薄型化」の結果、従来モデルから最薄部で4ミリ、最厚部では6.5ミリも薄くなり、そのスタイルからはとても2スピンドルPCと思えないほど薄さが強調されている。
ちなみに最厚部の薄さと最薄部と最厚部の差は、カバンにおける収納性に大きく影響するが、事実、その差が従来より少なくなった新しいVAIO type Tを出し入れしたときに感じた「収まりの良さ」は競合するノートPCのなかでもとくに優れていたことを述べておきたい。
VAIO type Tの薄型化に大きく貢献しているのが先ほども述べた新しい液晶ディスプレイだ。導光板やガラスセルを薄くすることで液晶ディスプレイそのものの薄型化を実現しているが、従来の蛍光管の代わりに白色LEDを採用することで、11.1インチ、最高解像度1366×768ドットと従来よりも大型高解像度の液晶パネルを搭載しながらも消費電力を抑えることに成功した。
液晶輝度は9段階で変更が可能。バッテリー駆動時間を長くしたいなら当然輝度を下げて使いたいが、このとき液晶パネル表面の「てかり」が問題になる。輝度を低くしていくと周りの光を反射して見にくくなってくるので、このあたりの調整は難しいところである。
筐体に設けられたインタフェースは、右側面がVGAと光学ドライブだけ。左側面にはUSBにTypeII対応PCカードスロット、カバーに隠れてもう1つのUSBとモデムが用意されている。USBが左側面に集中しているので「マウスの接続に不便」という意見もあるだろうが、背面にコードを回せばいいのであってそれほど致命的な問題にはならない。
1つのUSBがカバーに隠れていることを気にするモバイルユーザーもいるだろう。このカバーのおかげでデザインはすっきりとしたが、一方にマウスを差し、もう一方にUSB接続グッズ(いや、グッズに限らずストレージやらデジカメやらを差してもいい)を接続するためにカバーを頻繁に開閉することになるはずだ。
カバーには柔軟性のあるプラスチックが使われているのでそう華奢ではないが、長期間にわたって繰り返し開け閉めしているうちにどうなるかは定かでない。なお、VAIO type Tの背面にはi.LINKとLANのコネクタが設けられているが、こちらにはカバーがかけられていない。
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