“MADE IN TOKYO”のVista搭載ミニPC現る――「HP Pavilion Desktop PC s3040jp/CT」4年ぶりに帰ってきました(2/2 ページ)

» 2007年03月06日 14時00分 公開
[田中宏昌,ITmedia]
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ASUSTeK製のオリジナルマザーボードを採用する

ASUSTeK製のオリジナルマザーボード(IPILP-AR)を採用する。メモリスロットは2本だが、別途拡張スロットを2本備えているのが光る。サウスブリッジはNH82801GDHだ

 興味深いのは、ASUSTeK製のマザーボードを採用していることだ。BIOSも自社製ではなくPhoenix-Awardとなっており、従来のHP Compaq Business Desktopシリーズとは一線を画している(ちなみに、HP Pavilion Desktop PC v7000シリーズもASUSTeK製マザーボードを採用する)。コンパクトなマザーボードながらPCI Express x16とPCIのスロットを2本実装し、ロープロファイル仕様のカードを追加することで機能拡張を行える。BTOメニューには、NVIDIA GeForce 7500 LEと256Mバイトのグラフィックスメモリを搭載したグラフィックスカード(こちらもASUSTeK製)をはじめ、エルザ ジャパン製のアナログTVチューナーカード「EX-VISION 1600TV」やIEEE802.11g/b準拠の無線LANカードがラインアップ中だ。

 EX-VISION 1600TVは、NEC製のハードウェアエンコーダーとゴースト軽減チップを備えたアナログTVチューナーカードだ。HP Compaq Business Desktop PCでも搭載例があるカードだが、OSがWindows Vistaになってからは初採用となる。付属ソフトウェアのINFO.TV Plusを使うことで、TV番組の視聴やADAMS-EPG+による番組表からの録画予約、キーワードによるおまかせ録画など一通りの機能をサポートしている。また、ソフトウェア処理によるH.264への変換機能を使ってiPodへ動画ファイルを自動転送したり、ほかのPCにビューワソフトのドコデモTV2クライアントを導入すれば、本機をサーバにしてネットワーク経由でTV番組や録画番組を楽しむことが可能だ。

 ちなみに、BTOでEX-VISION 1600TVを追加してOSをWindows Vista Home Premiumにした場合、Windows Media CenterのTV機能とINFO.TV Plusは共存し、ユーザーは好みのソフトウェアを利用可能だ。また、TV画面の表示はオーバーレイで行われる。細かいところでは、Vista Home Basic+EX-VISION 1600TV選択時はEX-VISION 1600TV専用の赤外線リモコンが付属するのに対し、Vista Home Premium+EX-VISION 1600TVではMedia Centerボタンを中央に配置したHP製の赤外製リモコンが付属する。ただ、いずれの場合もUSB接続の赤外線受光部が必要なほか、HP製リモコンはボタン数が多い割に「10」や「12」といったボタンが用意されず、詰めの甘さを感じた。

 なお、このEX-VISION 1600TVだが販売が遅れており、本機の発売直後はBTOメニューに用意されていないので注意したい。原稿執筆時で登場時期は未定とのことだった。

BTOでは、256MバイトのグラフィックスメモリとNVIDIA GeForce 7500 LEを搭載したPCI Express x16のグラフィックスカードを追加できる(写真=左)。Riva Tunerで調べたところ、コアクロックは550MHz、メモリクロックは400MHzで、メモリバス幅は64ビットだった。PCIスロットに装着するIEEE802.11g/b準拠の無線LANカードと外付けアンテナも用意されている(写真=中央)。アナログTVチューナー(シングル)にはエルザ ジャパンのEX-VISION 1600TVが採用される(写真=右)。リモコンは自発光しないタイプだ

安価な省スペースPCとしての魅力的な選択肢

評価機のパフォーマンス評価画面。おおむね良好だが、グラフィックス性能が足を引っ張っている

 最後に、評価機でいくつかのテストを行った。評価機のスペックはCPUがCore 2 Duo E6400(2.13GHz)、Intel 945G Expressチップセット、2Gバイト(1Gバイト×2)のメモリ、500GバイトのHDD、GeForce 7500 LE搭載グラフィックスカードと、インテルアーキテクチャのBTOでは最強と言える構成だ。

 別途グラフィックスカードを増設しているとはいえ、メモリバス幅が64ビットに限られ、グラフィックスチップ自体もローエンドであることから、描画関連のスコアは伸び悩んでいるが、そのほかは良好な値を記録した。3Dゲームなどには不向きだが、Windows Aeroは快適に動作するし、システム全体の動作はキビキビとしている。ただ、本体を机上の右側に置くと、CPUクーラーの吸気口が直近に位置するため風切り音がやや耳に付いた。もっとも、システムに負荷をかけ続けても冷却ファンの音はほぼ一定なので騒音はそれほど気にならないと言えるだろう。

 気になる価格も、最小構成で6万9300円(s3040jp/s3020jpともに)と手ごろだ。発売記念キャンペーンとして、新型の17インチスクエア液晶ディスプレイ「HP vp17」(HP Directplusの単体価格は2万1000円)をセットにして7万9800円というパッケージや、メモリの無償アップグレード(+512Mバイト)パッケージが限定1000台用意されるのも見逃せない。本機はBTO対応モデルながら、東京にある昭島事業所で生産が行われるため(「MADE IN TOKYO」ラベルが添付)、標準5営業日で手元に届くスピーディーな納品もうれしいところだ。

 HP Pavilion Notebook PCで見られたHP ImprintやAVランチャの「HP QuickPlay」といった要素がなくなっている点には物足りなさを覚えるが、何より省スペース性に秀でたボディは魅力的だ。HP Pavilionシリーズ復活の足がかりとして、その重責を担うだけのポテンシャルを秘めているのは間違いなさそうだ。

 なお、3月7および9日から、大手量販店のビックカメラ3店舗(有楽町店本館/パソコン館池袋本店/新宿西口店)で常設展示スペースの「HP Directplus Station」が開設されるので、直販モデルは実機に触れることができないからどうしても不安だ……、というユーザーは一度足を運んでみるとよいだろう。

左からPCMark05、3DMark06(1024×768ドット)、FFXI Bench 3のテスト結果

新たに発売される17インチスクエア液晶の「HP vp17」(写真=左)。画面解像度は1280×1024ドットで、スタンド部分にキーボードを収納できる(キーボード背面に溝が掘られている)のが特徴だ(写真=右)。主なスペックは輝度が300カンデラ/平方メートル、コントラスト比が700:1、視野角は水平/垂直ともに160度で、液晶両脇に2ワット×2のスピーカーを内蔵する。電源は内蔵され、HDCP対応のDVI-DとアナログRGB端子を備える。単体の価格は2万1000円だ

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