> レビュー
|
|
2003年6月2日 09:00 PM 更新
|
|
|
|
最高の写真画質を持つコンシューマー向けハイエンドインクジェット
キヤノン PIXUS 950i(3/3)
前のページ
専用紙(プロフォトペーパー)にきれいモードで出力した写真画質は、人肌、淡色部の色合い、原色に近い部分の色合いともに自然で美しい。カラーチャートを見ても、発色に不自然な偏りがなく、銀塩写真と見まがう画質だ。粒状感も、肉眼ではまず確認できないレベルだ。
写真の出力スピードは、ハガキサイズへのフチあり出力で1枚あたり約33.2秒、ハガキサイズ紙へのフチなし出力でも1枚あたり50秒弱(いずれもきれいモードで出力)と、高画質を維持したままの写真出力スピードとしては、文句なしのトップスピードである。
普通紙の画質は、ブラックに顔料インクを使用した機種に比べれば、黒文字が薄く、にじみも若干目立つ。だが、全色染料インクのプリンタとしては、文字のがたつきも少なく、きれいな画質だ。カラービジネス文書や地図サイトの出力画像は、色文字にがたつきが目立つが、発色もよく、良好な画質だ。
普通紙の出力スピードは、標準モードでモノクロテキストが1枚あたり約20.6秒、カラービジネス文書が約30.1秒、地図サイト出力が約32秒。
モノクロテキスト出力に関しては、最新の機種ではエントリーモデルでも1枚あたり10秒以下のスピードを持つ機種が多いため、約20秒というスピードはハイエンド機としては遅いと感じる。速いモードを使用すると、モノクロテキストが1枚あたり約9.5秒までスピードアップするが、色が全体的に薄くなり、黒文字はグレーになる。ただし、カラー画像に関してはハイスピードで快適だ(印刷速度結果を表示)。
これらの結果を総合すると、PIXUS 950iは、グラフィックや写真の出力が画質、スピードともにハイレベルで、特に写真出力が多くて高画質を求めるユーザー向けの製品と言えるだろう。
粒状感はなく、原色、中間調、肌色ともに嫌みのない自然な色合いだ
ペンギンの毛並みも自然に表現されていて、銀塩写真とも区別がつかないほどの高画質
一番粒状感が目立ちやすい画像だが、粒状感は全くないといってもいい。淡い花と背景のコントラストも滑らかで自然だ
特にどの色に偏るということもなく、グラデーションもきれいに表現されている
黒文字、色文字ともに、拡大すると染料インク特有の文字やラインのにじみがあるのが分かる。ただし、実用上は全く問題ない画質だ
高機能で、写真出力を楽しみたい人向けの1台
とにかく画質が高く、デジカメ写真出力に最適な本製品。写真出力を楽しむための付属ソフトも豊富だ。
「Easy-PhotoPrint」は、複数のデジカメ写真を同一レイアウトで連続出力するのに最適なソフト。写真ごとに枚数指定もできて、写真の焼き増し感覚で出力できる。
また、同社のWebサイトからダウンロードできる「プチプリントfor PIXUS」に対応しており、テンプレートを使って名刺やカード、プリクラ感覚のシール出力を楽しむことも可能だ。この他にも、デジカメ写真を合成してパノラマ写真にするソフトや、写真データと出力を管理するソフトなどが付属している。さらに、印刷設定を軽減あるいは不要にするBJかんたん印刷機能も装備するなど、誰でも簡単に使えるようにする工夫も凝らされている。
デジカメ画像の管理ソフト「ZOOMBROWSER」。他の付属ソフトと連携し、写真出力をサポートする機能もある
「プチプリントfor PIXUS」を使えば、写真を使ったポストカードや名刺、シールが簡単に作成できる
CD-Rダイレクトプリントは、付属のトレイガイドを本体前面に装着し、トレイにCD-Rを載せて出力するだけの簡単操作。CD-Rへの出力画像を編集する「らくちんCDダイレクトプリント」も付属しているが、文字の配列の自由度など、使い勝手の面では今ひとつ。このあたりは、今後の改良に期待したいところだ。
本体サイズはコンパクトで、動作音も非常に静かだ。検証時に連続写真プリントでの給紙音が大きくなるという現象に遭遇したが、これも「サイレントモード」を使えば解消できる。夜、自宅で使用するといったシチュエーションに配慮された作りである。
実売価格は3万円台前半から4万円弱と、取り扱い店によって価格差が大きいようだ。性能的には文句なしだが、低価格複合機などが登場していることなどを考えると、4万円近い価格は割高感がある。ただし、画質は銀塩写真並みの高画質。デジカメプリントやポストカード出力が主な用途という、最高画質を求めるユーザーにお勧めの製品である。
[田中裕子, ITmedia
]
Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.
前のページ
| 3/3 | 最初のページ