> レビュー 2003年6月17日 05:04 PM 更新

日本HP deskjet 5650――四辺縁なし印刷に対応。美しさと実用性を備える待望の新製品(2/3)


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 HP製プリンタのアイデンティティとも言える前面給排紙システムは、用紙を180度折り返して印刷を行うため、用紙がカールしやすい。そのため、カールしにくい大口径のローラーで用紙をピックアップして折り返し、さらに逆方向にも曲げることでカールを防いでいる。

 しかし大口径ローラーの採用がメカ的なレイアウトの自由度を奪い、ギリギリまで下端マージンを減らすことができなかった。

 これが大本の理由だが、エプソンが四辺縁なしをサポートしたのと同じように、送り出し側にもローラーを設ければ、マージンを減らすことは可能だったハズだ。なぜそうしなかったのか、理由はわからない。

 以前、HP本社の人間に質問したときは、写真用紙に歯車の跡が付くのを避けたいというコメントをもらったことがある。だが、四辺縁なしの必要性を、(米国にある)deskjetシリーズの開発者自身が認識していなかったから、というのが本音ではないだろうか。

 5550/5551発表時、四辺縁なしにこだわるわれわれに対して、HP本社の担当者は「なぜ三辺縁なしではダメなんだ?」と逆に質問したことがあった。

 このあたりには日米の事情の違いがある。米国ではHP製のサプライ品が非常に入手しやすく、またサードパーティー製の写真用紙も少ないため、下端を切り離せる同社専用のタブ付き写真用紙で十分なのだ。

 しかし、日本ではサードパーティー製用紙の流通量が多く、またそれらのほとんどはL版カット紙。タブは付いていないため、三辺縁なしでは写真印刷時には役に立たない。

 今回、HPの開発陣があえて従来のポリシーを曲げて四辺縁なし印刷機能を組み込んだ背景には、昨年の反省から写真画質プリンタとしてdeskjetシリーズを育てるためには、写真画質プリンタ市場で先行する日本からの声を重視したためだろう。その重要性について、昨年彼らは日本に足を運んで質問を繰り返していたからだ。

 加えてマージンの最小化オプションもドライバに付加され、他社と同等の下端マージン3ミリを実現している。

 しかも四辺縁なし印刷は、A5を除くおおよそほとんどの用紙サイズで可能だ。L版、2L版、はがき、A4、A6、キャビネ、10×15センチ、5×7インチ、8×10インチ、8..5×11インチという幅広い用紙で縁なし印刷が可能で、うち、はがきとA4に関しては自動両面印刷機能との併用ができる。おおよそ三辺縁なしという変則機能を組み込んだメーカーとは思えない徹底ぶりだ。

 また使いやすさの面でも新しいアプローチが組み込まれており、プリンタ側のボタンで印刷品質を、「はやい、きれい、高画質」の3段階に切り替えられる。この機能と用紙種自動判別機能を組み合わせることで、プリンタの設定ダイアログを用いずに、用紙に対して好みの品質で印刷させることが可能となった。


プリンタ側のボタンで印刷品質を変更できる

画質は5550/5551クラスだがトータルの性能はアップ

 一方、インクカートリッジそのものは、前モデルの5550/5551と全く同じものが採用されている。最小4ピコリットルで、フォトインク利用時の写真画質はハイエンドの写真画質プリンタに比べると劣る面もあるが、5650の予想実売価格(2万円を少し超える程度)の価格帯ではトップクラスと言っていい。

[本田雅一, ITmedia ]

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