> ニュース 2003年6月25日 09:49 PM 更新
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Power Mac G5とPower Mac G4はどう違う?――「最速」の秘密を探る(1/2)

WWDCで発表された「世界最高速のパーソナルコンピュータ」Power Mac G5には、PowerPC 970、Serial ATA、HyperTransportをはじめとするさまざまな高速化技術が詰め込まれているという。Appleの主張は本物か? その技術を深く掘り下げよう。

 Apple ComputerのCEO、スティーブ・ジョブズ氏は、6月23日に行われたWorldwide Developer's Conference(WWDC)の基調講演の中で、新しいPower Mac G5システムの設計思想を的確に表現した。「チップ」「システム」「プロダクト」と。

 Appleが「G5」と呼んでいる新チップは、IBMが「PowerPC 970」と名付けているものと同一の製品だ。このチップはAppleの新時代の幕開けを告げるものである。PowerPC 970は64ビットアーキテクチャーに対応した最初のPowerPCだ。

 「私はG5に想像していた以上に深い感銘を受けている」と言うのはMicroprocessor Reportの編集人であるピーター・グラスコウスキー氏。「2GHzはたいしたものだ。G5は個別でもPentium 4より高速だ。2個組み合わせると驚くべき速さになる。G5が現時点で最速のデスクトップだというAppleの主張には反論できない」と同氏は述べている。

 64ビットプロセッシングへの移行は大きな変化となり、これまで32ビットのプロセッサアーキテクチャだったPowerPCの性能を大幅にアップすることになる。問題はアプリケーションであり、G5で広がったデータパスから性能を引き出すためにはMac OS X自体ですらリコンパイルが必要となる。さらに、デベロッパーは4Gバイト以上のデータアレイを使うことができるG5の能力を活用する方法を探さなければならない。

 「デベロッパーは32ビットアプリケーションではプロセッサの力を知る必要はない。Photoshopは64ビットを必要としない。なぜなら、4Gバイトの画像をレンダリングする人はいないからだ。いるとしたら、高解像度で大きな広告看板を作るときくらいだろう」と同氏。

 64ビット機能によってG5は面白くなる、とグラコウウスキー氏。これまでは1万ドル以上するワークステーションで初めて可能だったデータ配列を処理することを、デベロッパーは考え始めることができる、と同氏。

 ジョブズ氏は新しいPower Macシステムは8月まで出荷されないと述べた。これによりデベロッパーは新しいプロセッサアーキテクチャーについて知るための時間を稼ぐことができ、自社のアプリケーションに適用することができる。グラスコウスキー氏はこの分野でG5がどのように使われることになるかを知りたがっていたが、WWDCの守秘義務契約を結んだデベロッパーは情報のブリーフィングを受けただろうと推測する。

 x86プロセッサとは違い、PowerPCは既に、一部で64ビットプロセッシングが行われていた。このためPowerPC 970で32ビットアプリケーションをシームレスにサポートすることも比較的容易だった。PowerPC 970は32ビットコードが使われた場合には64ビットレジスタから32ビットレジスタにリマッピングスキームを使ってスケールバックするという手法を用い、パフォーマンス損失をわずか、もしくはゼロに抑えていると、昨年のMicroprocessor ForumでMicroprocessor Reportのアナリストは説明していた。

 ジョブズ氏は32ビットアプリケーションが新プロセッサで「問題なく」動作すると述べたが、Appleによれば、OSの32ビット部分と32ビットアプリケーションはネイティブに動作するという。さらに、基調講演に参加したデベロッパーは自分のソースコードの64ビット化リコンパイルを15分で終えたという。

 Motorolaが製造するG4は1GHz、1.25GHz、1.42GHzで動作する。Appleの実装では1GHz Power Macはシングルプロセッサ、1.25GHzと1.42GHzはデュアルプロセッサで出荷されている。Appleの前G4モデルのフロントサイドバス(FSB)は、1GHz G4が133MHz、1.25GHzと1.42GHz G4は167MHzだった。

 これはシステムメモリよりも遅く、L3キャッシュによって、遅いバススピードに由来するパフォーマンスペナルティを減らしている。高速なFSBを使用したG5 Power Macデザインでは、L3キャッシュによる性能アップはほとんどない。

 ジョブズ氏が紹介したPower Macは1.6GHzのG5のローエンドモデル、1.8GHzシングルプロセッサ G5のミッドレンジ、そしてハイエンドに2GHzデュアルG5という構成だ。G5はIBMの0.13ミクロン8層銅配線のSOI(Silicon On Insulator)プロセスを使用している。

 昨年のMicroprocessor ForumでIBMはPowerPC 970のターゲットクロックは1.4GHzから1.8GHzだと発表した。ジョブズ氏が発表した2GHzシステムは、IBMが予測を上回り、さらに高速なチップを量産できることを示している。

 ジョブズ氏はまた、3GHz G5モデルを1年以内に出す予定であると語った。昨年のMicroprocessor ForumでIBMの上級PowerPCプロセッサアーキテクトであるピーター・サンドン氏は、PowerPC 970のサンプル出荷を今年の第2四半期に予定しており、量産出荷は今年後半になると話していた。ジョブズ氏が23日に行った発表内容を見れば、IBMが予定通りスケジュールをこなしており、おそらくは予定以上に順調であると推測できる。

[David Read, IDG Japan]

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