IT仕事塾

ファイルメーカーPro ユーザーの現場を探る
第8回 静岡県立伊東高等学校定時制課程で使われる出欠管理システム(1/3)

「ファイルメーカーProユーザーの現場を探る」の第8回目は、高校の業務にファイルメーカーProを活用している事例を紹介します。

 みなさんも覚えがあるでしょう。小・中学校、高校と慣れ親しんだ、先生が持っていた出席簿。でも、この出席簿の入力や集計が意外に大変だということはご存知ですか? 今回は、高校の業務にファイルメーカーProを活用している事例を紹介します。

 ユーザー事例紹介の第8回目で紹介するのは、静岡県立伊東高等学校の勝又裕司先生です。勝又先生は、同高校定時制課程の理科教諭です。伊東高等学校定時制課程は、勝又先生が開発した出席管理・成績管理・生徒情報管理システム、名付けて「Ito Teiji Educational Management System」を先生全員が利用しています。

「Ito Teiji Educational Management System」

 では、まずメインの画面をごらん下さい。


 定時制課程は4学年から構成され、それぞれの学年に「欠席入力」「生徒情報」「通知表」「五段階」というボタンがあります。この「欠席入力」というのが、このシステムが生まれるそもそもの発端となったのです。

 このシステムを作り始めたのは2年前。「ほとんどの学校では、成績の一覧表を作るのに、Excelを使っていると思うんです。その前は完全に手書きだったと思うんですが」と勝又先生。

 表計算ソフトを使ったやり方は、生徒名と日付を行と列に配置したワークシートを作り、そのシートに担任が入力するという方法です。日付は多分ありません。行には生徒名、列は主に授業科目でセルの中身は評定(成績)と欠課次数です。後ろの方の列に1学期の成績一覧なら1学期の出欠席が入ります。

 今までのやり方では、まず各科目の伝票に各科目の先生が成績を書き入れます。


手書きで入力する出席簿

 それを成績一覧表(これはあらかじめ長い紙に印刷されたもの)に伝票を見ながら担任が書き入れていました。縦計、横計を電卓を叩いて計算もしていました。(縦罫とは国語なら国語の生徒評定の合計、横計は1人の生徒の各科目の評定の合計)これが合わなくてもう一度やり直しなんてざらでした。

 そして生徒の1学期の出欠席も書き入れます。これは「出席簿」で1人の生徒の1学期間の欠席、遅刻、早退を「正」の字を使って合計を出してそれを一覧表に記入していました。これも大変な作業でした。

 なおかつ1クラスの生徒の順位を出すのも一苦労でした。評定平均を1人1人出してから並び替えて1番から最後まで順位を出していました。

 Excelを使うようになってから少しは楽になりました。伝票は相変わらず紙にボールペンで記入したものでしたがそれを元にExcelに入力すれば縦計、横計、順位などは自動的に表示されましたのでそれはそれは便利になりました。

 現在でもほとんどの学校の成績一覧表はこのレベルでしょう。しかし出欠席は相変わらずです。紙伝票もExcelに入力する作業が間違いを引き起こします。そこのところを何とかしようとしたのがきっかけです。

 勝又先生が考えたのは毎日コンピュータに欠席、遅刻、早退を打ち込むので手数を簡単にすることでした。キーボードに触らずに完了することを目指しました。生徒名をクリック、欠席欄(あるいは遅刻欄)をクリック。これで1人の生徒の出欠席が完了、という具合です。


欠席・遅刻・早退の入力画面。右にある生徒をまず選択


選択すると、左に生徒名と欠席・遅刻・早退を選択するためのラジオボタンが表示させる


欠席・遅刻・早退のいずれかのボタンを押すと、作業完了。2カ所をクリックするだけで作業が終わる

[松尾公也, ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 1/3 | 次のページ

ピックアップ

news139.jpg 週末アップルPickUp!:絶好調のApp Store、ユーザーに34億円返金へ
アップル関連の話題を何となくまとめる週末アップルPickUp!。今週は未成年者によるアプリ内課金問題を取りあげます。

news020.jpg 24時間動作+4バンドLTE+11ac+SIMフリー(予定):もしかして“無双”? ツウ好みの高性能LTEルータ「AtermMR03LN」をねっとりチェック(パフォーマンス編)
“ツウ好み”の機能や特長を多く備えるLTEルータ「AtermMR03LN」がモバイラーの中で人気だ。前編の機能チェックに続き、後編では実運用して分かった使い勝手とパフォーマンス面をねっとりチェックする。

news041.jpg 最新タブレット速攻レビュー:「MeMO Pad 8」──“Winタブ”よりお手ごろ価格な8型Androidタブレット
8型タブレットとなると最近はWindows 8.1搭載モデルが人気だが、同サイズでAndroidなら“もっと低価格”である。2万円台で買える8型タブレット「ASUS MeMO Pad 8」をチェックする。

news052.jpg 最新PC速攻レビュー:「VAIO Pro 13」――さらにハイスペックを軽快に持ち運べる“14春モデル”徹底検証
高い人気を誇る薄型軽量モバイルノート「VAIO Pro 13」が、より高性能なCPUを搭載可能になった。その実力を確かめるべく、直販ハイスペックモデルをじっくり検証する。

news062.jpg 「3年先を行く」製造技術:タブレット市場に注力するIntelのモバイルプロセッサ戦略
Intelは“他社の3年先を行く”半導体製造技術でタブレット市場における影響力の拡大を目指す。同社のモバイルプロセッサ戦略をまとめた。

news116.jpg LaVie Z&LaVie G タイプZロードテスト:第23回 2560×1440解像度スゴイ……格段に作業効率が上がる「超高解像度ディスプレイ」
ウルトラ軽量に加え、「超高解像度ディスプレイ」もLaVie Z(IGZOモデル)の魅力だ。今回はこのディスプレイの使い勝手と応用方法を考えてみた。

news107.jpg SOHO/中小企業に効く「ビジネスPC」の選び方(2):Windows XPから乗り換えるべきは“7”か“8.1”か
Windows XPのサポート終了に際して、どのようなPC環境に移行すべきか? まずはWindows 7か、Windows 8/8.1か、次のメインOSを選択する必要がある。

news057.jpg NUCやUltrabookをもっと速く:アキバで人気のSSDにmSATA版が登場――「Samsung SSD 840 EVO mSATA」徹底検証
抜群のコストパフォーマンスで高い人気を誇るSSD「Samsung SSD 840 EVO」にmSATA版が登場した。容量が1Tバイトまで用意されているのも興味深い。早速、性能をチェックしよう。

news033.jpg SOHO/中小企業に効く「UPS」の選び方(第2回):「UPS」を正しく選ぶコツ――容量の計算方法は? 給電方式とは?
「無停電電源装置(UPS)」の基礎知識から、機器に合った製品選びまで、順序立てて解説する本連載。第2回は、UPSの選定で知っておくべき、容量の計算方法や給電方法の違いを紹介する。

news032.jpg 「ThinkPad X240s」ロードテスト:第4回 大きく変わった「5ボタントラックパッド」を快適に使えるようにする、2つのコツ
業務に使うPCとして積極的にThinkPadを選んできた理由の1つに「トラックポイント」がある。今でもノートPCに搭載するポインティングデバイスとして唯一無二の存在だと確信しているが……。