> ニュース 2003年7月8日 01:30 PM 更新

Interview
バイオノートTR 「目指したのは“イッパンジン”のためのモバイルPCです」(1/4)


 個人的なことではあるが、今回のテーマであるバイオノートTRが発表されるずっと前から、今回取材させて頂いたバイオノートの商品企画を担当している松本淳子氏と開発プロジェクトリーダーを務める鈴木雅彦氏にお会いすることをずっと楽しみにしていた。

 なぜなら、高解像のSXGA+液晶パネルを採用した14.1インチクラスのノートPCと、小型軽量な10.4インチクラスのノートPCの2台体制で、国内・海外の取材をこなそうと考えていたからだ。お二人はともに、バイオノートSRXを担当していた。当然、その後継機を担当すると考えていたのである。

 しかし新製品の内覧会が開催された日、驚いたことにプレゼンテーションの場に立った松本氏から紹介されたのは、横長液晶パネルにカメラを取り付けたバイオノートTRだった。

 なぜ!? 初代バイオノート505から続いた10.1インチクラスの製品は??

 そう思ったのは僕だけではないだろう。決してTRのデキに不満を持ったわけではない。しかし、小型軽量のサブノートPC市場で、あれだけの強さを誇ったバイオノートから、一番小さいバイオUを除き1スピンドルモデルが消えてしまうというのだ。

 TRの試作機をお借りして一通りの使い勝手を確認した上で、お二人に話を伺った。製品のインプレッションを交えながら、松本氏と鈴木氏のコメントをお伝えしたい。


プロジェクトリーダーの鈴木雅彦氏と商品企画担当の松本純子氏。SRXでもコンビを組んだ

1スピンドルでは“売れるPC”にならない

 最初に伺ったのは、比較的小型の軽量機という枠の中で、2スピンドルというコンセプト選んだ理由について。なぜ2スピンドルを選んだのか?

 「サブノートが1スピンドルだったのは、大きな制約の中で小型・軽量を目指すには、光学ドライブを省略するしかなかったためです。しかしDVDやCD-Rの普及で、光学ドライブの利用価値は高まっています。一般購入者にとって、2スピンドルであることが当たり前なんですよ。ノートPC市場の中で1スピンドル機が占める割合は、わずかに10%ほどです。市場を広げるためには、機能面で劣った製品ではダメだと判断しました」

 これでバイオU以外はすべて2スピンドル機。光学ドライブを固定搭載することによる重量増加は、重さを重視するユーザーにとってはマイナスの印象となる危険もある。2スピンドル化はバイオ開発部門全体の方針だったのか?

 「設計を担当している者は、各種パーツの積み重ねで、どの程度の重さになるか予測できますから、軽い製品に仕上げられるだろうという感触は最初からありました。1.4キロを切れば、初代505とほぼ同じ重さですから実用上は問題ありません。ただ、社内的な話で言えば、実際に量産試作の実物を見てもらうまで、これまでの小型・軽量を目指した1スピンドルモデルに慣れた周りの人たちはなかなか納得してくれませんでした」

 社内的なコンセンサスが後になって取れたということは、あくまでも開発チームの中で独自に製品の骨格を組み立てて、その中で2スピンドルを選択したのだろう。ならば、TRはSRXの後継機種ではないのだろうか?

 「後継機種? いえ、これは新しいマシンですよ。世の中には薄さを追求した製品、軽さを追求した製品などがすでにありますが、われわれはマニア層以外を意識した2スピンドルで、なおかつ持ち歩きに不自由のないサイズと重さを目指すという、今回の“立ち位置”を選んだわけです。確かに担当者はSRXの時と同じですが、最初から別ラインアップとして位置付け、頭を切り換えて2スピンドルのモバイルノートPCに求められる要素を組み立てることにしました」


本体キーボードとパームレスト部を取り外したところ。光学ドライブが製品全体のかなりの部分を占めているのがよくわかる

 エンドユーザーからするとテクノロジーの進化を、単純なパフォーマンスや機能アップだけではなく、軽さなど携帯性をアップさせる方向にも応用して欲しいという要求もある。しかしSRXの時もそうだったが、極端な軽量化などエンドユーザーにアピールしやすい“数字”よりも機能性を選んでいるように見える。“小さくて軽いものを作る会社”というイメージがあるソニーブランドからすると、もう少し“とんがったモデル”があっていいのではないだろうか?

[本田雅一, ITmedia ]

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