> ニュース 2003年7月15日 00:00 AM 更新

Interview
富士通 LOOX T90D 「機能で妥協することなくどこまで軽量化できるか、その挑戦でした」(1/4)


 小型化やバッテリー駆動にも気を払いつつ、フルサイズノートPC並みの機能性を組み込もうとしたLOOX Tシリーズ、ハンドヘルドPC的に軽量コンパクトなLOOX Sシリーズにより、LOOXシリーズはマニアックなモバイルユーザーが好むブランドとして定着した感があった。よく言えば実用指向、悪く言えば色気のない従来のLOOXシリーズは、パーソナルユーザーのニーズと企業ユーザーのニーズを上手に折り合わせていたように思う。

 しかし新しいLOOX Tシリーズは、光沢感のあるピアノ調のブラック塗装を始め、小型ながら音質向上を目指したステレオスピーカー、アクリルパネルを配したスーパーファインビュー液晶パネル、DVD-Multiドライブ標準装備など、コンシューマーを強く意識した製品となっている。

 だがそこはLOOX。18ミリピッチの打ちやすいキーボード、交換可能なドライブベイなど、小型2スピンドル機の中ではダントツに実用指向の作りとなっている。見た目のイメージは変わったが、製品そのものは明らかにLOOXそのものだった。

 夏モデルとして発表されたB5クラスサイズの“2スピンドルモバイル”の開発者インタビュー。2回目は、その生まれ変わった富士通のLOOX Tシリーズだ。南多摩にある富士通の開発拠点でお話を伺ったのは、モバイルPC事業部第二技術部プロジェクト課長の久保毅氏、コンシューマPC推進部BIBLO担当課長の高田和明氏、久保氏の元で開発を行った第二技術部の小林園昌氏、滝沢英司氏、遠山賢治氏、牧野寛氏、それに新型LOOX Tのデザインを担当したプロダクトデザイン部チーフデザイナーの澤口亮氏といった方々だ。


LOOX T90Dのスケルトンモデルを撮影させてもらった。ボディ一杯に取り付けられたキーボードのタッチは、なかなか素晴らしい。この写真では分からないが、組み上げ後のすき隙間はほとんどない

フルサイズの機能を持ち歩くコンセプトは不変

 新型LOOX T、特に最上位機種となるT90Dは従来機のイメージを大きく変えるものだった。ポインティングデバイスの変更や標準バッテリ容量の増加、それに伴う重量の増加など、テクニカルなスペックも変化しているが、むしろコンセプト部分での方向転換を強く感じる。固定ファンのいる従来機の方向を変えていくことに迷いはなかったのだろうか?

 「LOOXというブランドをコンシューマーに展開しながら、色々と市場分析をしてきました。しかし、コンシューマー市場の中でモバイルユーザーは1割程度しかいません。これが現状です。さらにLOOXを購入してくださった方たちに話を聞くと、ほとんどがIT関連の仕事に就いており、30台前半にユーザーが集中しています。パーソナルなビジネスツールとしてLOOXを使っている、といったユーザー像が浮かび上がってきます」

 「もちろん、既存の顧客はとても大切なものですし、彼らに対する満足度を上げるために取り組んではきました。しかし3年間、ずっと同じ手法でやってきましたが、市場を拡大するには至りませんでした。ビジネス向けモバイルPCの多くは企業ユーザーのための製品という色が濃くなってしまう。では、個人ユーザーに買ってもらえるモバイルPCとはどんな製品なのか?これまで1割だったモバイルPCの市場を、いかにして大きくするかが今回の製品のテーマでしたから、“変わった”という印象を持っていただいたのであれば、ある意味成功といえるでしょう」

 今年の夏商戦、モバイルPCに2スピンドル化の波が押し寄せた。Pentium M、9.5ミリ厚コンボドライブといったコンポーネントが登場するタイミングが、その背景としてはあったが、LOOX Tは9.5ミリ厚ドライブを採用しなかった。

[本田雅一, ITmedia ]

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

前のページ | 1/4 | 次のページ


モバイルショップ

最新スペック搭載ゲームパソコン
高性能でゲームが快適なのは
ドスパラゲームパソコンガレリア!

最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
第3世代インテルCoreプロセッサー搭載PC ドスパラはスピード出荷でお届けします!!