PUPdate流 HDD大研究

HDD大容量化を牽引する日本マックストアの代表に製品戦略を聞く(1/2)

Ultra ATA/133や300Gバイト超のMaXLine IIなど、われわれに身近なところでも話題となる製品を発表しているMaxtor。今回はマックストア社日本法人の代表である内山氏に製品戦略などを聞いた。

 かつて、HDDメーカーはそれぞれに個性のある会社がしのぎを削っていたものだが、激しいコストや大容量化競争が繰り広げられる過程で合従連衡が繰り返されるようになり、最終的にConnerはSeagateへ、IBMはHGSTへ、そしてQuantumはMaxtorへと収れんして最近ではやや落ち着いてきたようである。

 このような競争を繰り返すHDD業界において、着実に利益を上げ製品を進化させる秘けつとはどういうものか、日本マックストア株式会社の代表取締役の内山洋一氏にお話をうかがった。


日本マックストア株式会社の代表取締役である内山洋一氏

HDDレコーダーへも広がるMaxtorのラインアップ

 現在の製品としてはどのようなものがあるのでしょうか?

 「MaxtorはQuantumとの合併以前は、デスクトップ用のHDDのみを製造していたのですが、合併の結果、サーバ/エンタープライズ向けのSCSI HDDマーケットにも進出、現在に至っています。途中、NASなどを扱った時期もあったのですが、市場と製品投入のタイミングが合わなかったこともあり、軌道修正を行って、現在はほぼHDD専業という形態に落ち着いています」

 「HDDの用途で見ると、デスクトップPCやサーバ/エンタープライズ向けのほかに、最近ではコンシューマーエレクトロニクス向けなどもあります」

 コンシューマーエレクトロニクスとは?

 「いわゆるHDDレコーダーやセットトップボックスなどの分野ですね。MaxtorにはQuickViewというコンシューマーエレクトロニクス用に特化した技術をもとにした製品があります。この分野はQuantum時代からの流れもあって当社のシェアはトップクラスを占めています。また、Personal Storageシリーズのような外付けタイプのドライブをリテール向けに発売しているのは、Maxtorの特徴だと思います」

激しい消耗戦の中で好業績を上げる秘けつ

 激しいシェア争いと大容量化によってHDD業界は消耗戦のような印象を持つが、実のところMaxtorはQuantumの買収などによる一時的な損失が生じた期を除けば好調な業績を上げている。消えていくメーカーの多いなか、これは驚くべきことのように思われる。なぜMaxtorは生き残り、そして好調なのだろう。

 「HDDというのは設計・開発・発売までを考えると1年ほどかかります。しかし、やはり米国の会社ですので意志決定はクイックで大胆に行います。われわれは常にプラットフォームや市場動向などを観察していますので、ビジネスと成り立つと判断したらすぐに参入できるような体制を整えていますし、先述のNASのようにビジネスとしての成立が難しいと判断したら素早く軌道修正を行うこともあります」

 「また、生産形態も時代時代でかなり変わってきておりまして、かつては大きな生産ラインベースで作っていたのですが、現在ではセル形式で製造するケースが増えています。Maxtorのシンガポール工場はすべてセル形式になっており、柔軟な対応ができる体制になっております」

 セル形式の方がコストが安い?

 「セル形式は非常にフレキシブルに数の調整ができますし、需要の上下動に対応しやすいということが一番のメリットです。増産に対してもセルを増やしていけばいいので、見込み生産などを行う必要がなくなり、結果として適正なコストで生産できるということにつながります」

大容量化はどこまで?

 HDDメーカーは常に容量増加のプレッシャーにさらされているが、その中でも300GバイトのMaXLineなどトップクラスの容量を持った製品を発売しているのがMaxtorである。

[河野寿, ITmedia ]

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