> ニュース 2003年7月22日 09:22 PM 更新

Interview
松下 Let'snote W2 「省電力と軽量化では、まだまだ他社をリードしているという自負があります」(1/4)


 この夏、新しいノートPCを購入しようと思っていた人はもちろん、そんなことを思っていなかった人でも、ノートPCの新製品の動向に関心があった人ならば、松下電器産業の発売した「Let'snote W2」には驚きを感じたに違いない。

 なにしろ、軽量な12.1インチ・シングルスピンドル機として人気のあった「Let'snote T1」と、パッと見では区別しにくい筐体に光学ドライブを押し込み、しかもバッテリー容量を増やした上で1.3キロを切る重量を実現していたのだから。

 光学ドライブのコンポーネント中、必要な部分だけを取り出して使うという発想は、言われてみれば当たり前、「コロンブスの卵」と言えるほどシンプルな回答だ。この構成には他社からは悔しがる声も聞かれた。発想の転換がユニークな製品を生み出し、他社にはないワンアンドオンリーの世界を、「Let'snote Light」ブランドで築き上げようとしている。

 さて、そのLet'snote LightシリーズのプロジェクトリーダーをつとめたパナソニックAVCネットワークス、奥田茂雄主席技師に話を伺った。同氏はLet'snote Lightシリーズの規格、設計、生産、プロモーションまで一貫して関わる、いわば「Let'snote Lightの父」とも言える人物だ。


パナソニックAVCネットワークス、奥田茂雄主席技師

「1キロを切って5時間駆動。それができなければプロジェクトは解散でした」

 松下電器はLet'snote Lightシリーズ第1弾のR1でスマッシュヒットを飛ばしたあと、同様の手法で12.1インチのT1を開発。その発表前後には「Let'snote Lightシリーズは全三部作になる」と話していた。しかし登場時期を見る限り、そして技術トレンドを見る限りでは、最初から三部作だったとは思えない。W2が生まれてきた背景とはどんなものだったのだろうか?

 「Let'snote Light三部作というのは、当時の事業部長だった山田の発言です。しかし、元々のLet'snote Lightは、もっと崖っぷちに立たされたプロジェクトでした。またいわゆるそれまでのLet'snote開発陣の中心とは異なるメンバーが担当しました。具体的には薄型A4のLet'snote Lシリーズを開発していたグループです」

 インタビューを行っている筆者も、以前、MMX Pentium〜Pentium II時代にはLet'snoteシリーズを愛用していたが、Pentium III時代になると共に次第に距離を置くようになった。技術的にも、デザイン的にも、ユニークな存在であったLet'snoteシリーズが、徐々に没個性化したように個人的に感じたからである。

 その後、「省電力」と「タフ」を売り物に再起を図ったLet'snoteだが、復活の気配こそ感じられたものの、われわれの目からは市場の反応は今一つに見えた。そこからさらにもう一頑張り、といくには、会社としてかなり勇気がいることだろう。もう失敗は許されない。Let'snoteシリーズを取り囲む状況は、われわれが想像するよりも厳しかったのではないだろうか。

 「僕らにコンシューマー向けモバイルPCの開発指示が出た時、その成果を製品として世に出す条件が設定されました。まずビジネスにも使える実用性を備えたPCでありながら、重さで1キロを切ること。もう一つは標準バッテリーのみで5時間以上のバッテリー駆動時間を実現することです。これができなければ、プロジェクトは解散しろと言われました」

 モバイルPCにとって、重さとバッテリー駆動時間は非常に重要なファクターだが、それは今初めて分かった事実ではない。Let'snote Lightシリーズは、その2点をクリアできれば、他の部分には妥協もする、といった姿勢が見えるが、そこまで明確に狙いを絞り込めたのはなぜなのだろう?

 「モバイルPCっていうのは、結局のところ携帯PCってことですよね。携帯性を向上させるために必要なことは、軽さとバッテリー駆動時間です。この二つに加えて、ビジネスで使えるという点にフォーカスしました。モバイルPCを使うユーザーの多くは、PCを道具として扱っている人たちです。Let'snote Lightは彼らのより良い道具でなければならない。だから、液晶パネルは4:3のアスペクト比を持つ(つまりワイド型ではない)10.4インチじゃなければならなかった」

 結果的にはLet'snote R1は、同時期に登場した1.8インチハードディスク(40−50グラムの軽量化が可能)などを用いずに1キロを下回る重量を実現。市場に大きなインパクトを与えた。筆者が最初に触った試作機は、市販品よりもさらに軽く、約930グラムほどしかなかった。

[本田雅一, ITmedia ]

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