> ニュース 2003年7月29日 08:40 PM 更新

「一眼レフの撮影感覚を重視」――富士写、10倍ズームの「FinePix S5000」


 富士写真フイルムは7月29日、光学10倍ズームレンズを搭載したコンパクトデジカメ「FinePix S5000」を8月24日から発売する。価格は7万5000円。第4世代スーパーCCDハニカム「スーパーCCDハニカムIV HR」搭載モデルとしては、今年2月に発表した「FinePix F410」や、4月発表の「FinePix A310」に続いて3番目の商品となる。


光学10倍ズーム+スーパーCCDハニカムIV HRの「FinePix S5000」

 FinePixシリーズのハイスペックモデル「S」シリーズの新ラインアップとなるFinePix S5000は、同社デジタルカメラ製品サイト「FinePix.com」でティザー広告(予告広告)が行われていた製品(別記事を参照)。予告では、大口径レンズの中央に、女性モデルが遠景から顔のアップまでズーミングされた姿がFlashムービーで表現されていたが、これが今回の新製品の“売り”である光学10倍ズームを意味していたのだ。

 本体の中でもひときわ目立つ9群11枚(非球面1枚)構成の大口径レンズは、光学10倍ズーム機能を装備。35ミリカメラ換算で37−370ミリのズームが楽しめるほか、デジタルズーム(2.2倍)との併用で、最大22倍の高倍率撮影を可能にした。手ブレ補正機能は装備していないものの、開放値がF2.8−F3.2と高倍率ズームとしては明るいため、シャッター速度の高速化などでズーミング時の手ブレを最小限に抑えることができる。


9群11枚(非球面1枚)構成の大口径レンズは、光学10倍ズーム機能を装備

 標準で付属するレンズフードにはレンズ溝が切ってあり、別売りのコンバージョンレンズを装着できるアダプターリングも兼ねる。コンバージョンレンズは、テレ端時に35ミリカメラ換算で最大555ミリ相当のテレコン(TL-FX9、1万円)と、広角29ミリ相当となるワイコン(WL-FX9、1万6000円)が用意される。


レンズフードを外したスタイル。レンズフード付きがS5000の標準スタイルになっているようだが、筆者はこちらの方がカッコイイと思うのだが……

 撮像素子は、今年1月に発表した同社独自の新CCD「スーパーCCDハニカムIV HR」を搭載している。CCDサイズは1/2.7インチで、有効310万画素。ハニカム信号処理システムによって、最大2832×2128ピクセル(600万画素相当)の画像を撮影できるほか、最大ISO800相当の高感度撮影が可能だ。 記録方式はJPEGのほか、CCDから出力されたデータを画像処理を加えないでそのまま保存する「CCD-RAWモード」も備えた。


S5000の背面

 本体デザインは昨年4月に発表したSシリーズのハイエンド機「S602」や、昨年8月発表の「S304」と同様に、L字型ボディを採用してホールド性を高めている。また、ボディ表面に採用した皮シボのラバー素材も、高級感の演出とともにホールド性向上にも役立っている。


L字型ボディを採用採用。ボディ表面に採用した皮シボのラバー素材は、高級感の演出とともにホールド性向上にも

 ファインダー部には0.33インチLCDを内蔵し、一眼レフ感覚で撮影できる。上位機種のS602は、記録メディア用にスマートメディアとマイクロドライブの2スロットが用意されていたが、S5000はS304と同様、記録メディアはxDピクチャーカードのみとなっている。


記録メディアはxDピクチャーカードのみ

 バッテリーは入手性に優れた単3形電池を4本使用。アルカリ乾電池もしくはニッケル水素充電池が利用可能。単3形電池を使用するデジカメの場合、ニッケル水素充電池を推奨してアルカリ乾電池は緊急用とするケースが多いが、S5000はアルカリ乾電池使用時でも撮影可能枚数は最大約270枚(液晶ファインダー使用時)と、十分に実用範囲のバッテリー寿命を可能にした。ニッケル水素充電池使用時は、最大約440枚(液晶ファインダー使用時)。


バッテリーは入手性に優れた単3形電池を4本使用

 そのほか、狙った被写体にピントを合わせ続ける「コンティニュアスAF」、画面上の49カ所からAFポイントを選択できる「エリア選択AF」、暗所での合焦に便利な「AF補助光」、ボタンひとつで、記録画素数・感度・色調などが設定できる「ファインピックスフォトモードボタン」など、多彩な機能を搭載した。

一眼レフの撮影感覚を重視したデジカメ

 デジカメ市場は、国内・海外ともに依然として好調に推移している。電子映像事業部長兼プリンピックス事業部長の内田洋祐氏は「カメラ映像機器工業会の調査によると、今年1‐6月の国内出荷台数は378万台(対前年比140%)、海外は1300万台強(同204%)と好調。今年は、国内で800万台、ワールドワイド全体では4000万台に達するだろう」と語る。

 なかでも、最近注目を集めているのが、10倍以上の高倍率ズームレンズを搭載した一眼レフスタイルの中級機だ。昨年10月に発表された松下電器産業の12倍ズーム機「DMC-FZ1」から始まったこの流れは、オリンパス光学工業の10倍ズームデジカメ「CAMEDIA C-740 Ultra Zoom」「C-750 Ultra Zoom」、東芝の10倍ズーム機「Allegretto M700」と続いている。

 S5000は、価格的にはS304(6万4000円)とS602(12万5000円)の中間に位置する。そして、機能面では多彩なマニュアル操作が行えるなど上位機種のS602に近い仕様になっている。さらに従来のSシリーズ2機種はいずれも6倍ズームだったので、ズーム機能に関しては10倍ズームのS5000の方が上だ。

 「ミドルレンジの本格的な一眼レフデジカメを目指し、価格はS304クラスに近づけた。一眼レフ初級者に必要だろうという機能を盛り込み、さらにデザインやホールド感など、一眼レフの撮影感覚を重視したデジカメに仕上げている。このレンジの商品はまだ全体の6%ほどだが、各社も年末から年明けにかけて新製品を投入してくる。スマート一眼レフデジカメの市場は、今後10%前後まで拡大すると見ている」(同社)

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[西坂真人, ITmedia ]

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