> 特集 2003年7月29日 07:00 PM 更新

作業環境への対応とわかりやすい付加価値を目指した〜ArcSwing開発者に聞く〜(1/3)

ArcSwing機構でユーザビリティを追求したFlexScan L567。開発・設計担当に、開発に至った経緯とナナオが目指す次世代モニター環境を聞いた。

 MultiEdgeシリーズ最上位モデルとして登場した「FlexScan L567」は、第一弾で紹介した通り、従来の製品にはない、高さやチルト、前後調整を可能にした「ArcSwing」機構を持つ。

 スペック上の数値は各社横並びになりつつあり、低価格化ばかりが目立つ17型モニター市場で、ユーザビリティをここまで追求したFlexScan L567の開発・設計担当の代表として、ナナオ企画部商品企画課主任の北拓朗氏と、ナナオ機能ユニット開発部造形設計課グループリーダーの神保祐一氏のお二人にお話を伺った。


商品企画課主任の北拓朗氏


造形設計課グループリーダーの神保祐一氏

作業環境に関する要望は、本当に必要だから出てくる生の声

――まずはArcSwingという特徴的な機構を持つL567ですが、この製品を生み出した出発点を教えていただけますか? 現場サイドからこんな機能を持ったモニターを作りたい、という声があがったのでしょうか、それとも上から「こんな機能を持ったモニターを開発できないか」という指示があったのでしょうか。

北:L567に関していえば、出発点はどちらからというよりは両方です。MultiEdgeシリーズは既に15型、19型が発売されていましたが、私たちとしては単にラインアップを増やすのでは面白くない。主力となる17型製品は、徹底的にいいものを作ってやろうというのがありました。

――いい製品作りへのこだわりが、高さ調節へのこだわりになったのですか?

北:弊社は海外約30カ国にディストリビューターがありまして、LCDが主流製品になります。海外は特に作業環境への要望が細かいですね。フィードバックされてくる意見をすべて吸い上げるのは無理ですが、やはり作業環境に関する要望というのは、スペックのためだけではなく、本当に必要だから出てくる生の声。それが高さ調節にこだわるキッカケになりました。また、スタンドの高さ調節機能がないと、入札で落とされてしまうというケースもありました。

 高さ調節は今回から採用していますが、他社との商品の差別化ということも当然背景にはありました。画質や品質だけでの差別化は難しくなっています。作業環境を含めた、わかりやすい付加価値というのが課題でした。

このIPSパネルだからこそArcSwing機構は実用になった

――そういった要望を具現化したのが、このL567とArcSwingなのですね。

北:その次に考えたのが、ただ高さ調節ができればいいのか、どういう調節ができればモニター環境がよくなるのかという部分です。

 社内で回ってきたメールや、添付書類を読もうと思ったときに、データをわざわざ印刷して読んでいることに気が付いたんです。なぜモニター上で読まないのかを考えた時に思ったのが、モニターと自分との距離が遠いのではないかということです。

神保:私もモニター上で書類を読むと5分でもう目が疲れてしまうんです。だから必要な書類は結局プリントアウトしてデスクで読んでしまう。しかし、手に持った紙を眺めるのと同じような姿勢でモニターを眺められれば、わざわざデータで受け取ったものを印刷する必要はない。だから書類を眺めるのに近づけた角度、すなわちモニターを寝かせてしまいたいと、いうのが私の考えでした。

 ただ、これは縦にしても、横から見ても色の変わらない、色度変位の少ないパネルが必須となります。日立製のSuper-IPS(In-Plane Switching)パネルを採用しているからこそできました。PVA(Patterned Vertical Alignment)系のパネルだと、そこまで寝かせてしまうと画面が白浮きしてしまって読めません。

北:逆にこのIPSパネルだからこそArcSwing機構は実用になると言えます。

――パネルとスタンドがお互いの機能を引き出してる形と言えますね。

神保:やるならばIPSパネルで、というのは最初からありました。

L567は、他社がやらない“環境提案型モニター”

北:いくらスペック上の数値がよくて、視野角が広いとか色位変化が少ないといっても、真横からわざわざモニターを見るユーザーはいませんから、実用レベルではピンとこないことのほうが多かったはずです。ところがL567のArcSwing機構を使えば、「確かにこの位置からでも色の変化が少ない、視野角が広い」というのを実感できるようになるはずです。

[麻生ちはや, ITmedia ]

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