> ニュース 2003年9月8日 05:51 PM 更新

パーツベンダーに聞く2003年後半の一手その4
「どうなる?GIGABYTEのノートPC」


 今年春に行ったインタビューで、「法人に対するシステムビジネスも本格的に開始する」ことを明らかにした日本GIGABYTE。ほかのパーツベンダーがコンシューマーに固執するなかで、GIGABYTEだけが果敢にも法人市場に取り組もうとしている。

 しかし、プライベートのイベントでは省スペースのPentium 4搭載PCやノートPCを公開するものの、今年前半における製品投入がなかった日本ギガバイトの「パーツ以外のビジネス」は、今年後半どのように進展していくのだろうか。

 日本ギガバイトはパーツ市場に対して「横ばい、もしくは減少傾向」という見方をしているのは、先日の取材記事でも紹介したとおり。ただし、この分をIAビジネスでカバーしよう、という意図は今のところそれほど強いわけではない。

 斬新なデザインで注目を集めたCentrinoノートPC「極」も、日本の販売は「する」「しない」の間で揺れ動いている状況が続いている。


「極」のインパクトが強烈なGIGABYTEのノートPC「NB-1401」

 今回の取材で、林宏宇氏(日本ギガバイト代表取締役社長)は現在の日本ギガバイトがノートPCの販売に乗り出すことはないと断言。日本で展開するノートPCビジネスを「マイナスのビジネス」とまで言っている。

 「ノートPCをユーザーに対して販売するということは、売った製品だけでなくその後のサポートも含めて評価されるということ。今の態勢でノートPCを発売すると、これまで築いてきたGIGABYTEブランドにとってマイナスになってしまう可能性もある」(林氏)

 ノートPCを購入するユーザーの多くは、今までGIGABYTEがサポートしてきたユーザーのように「自分でパーツを購入してPCを組み立てられる」スキルを持っているわけでない。そのようなユーザーに対しても十分なサポートを提供できる態勢を整えないままノートPCを発売することは、GIGABYTEの信頼性を失墜させてしまう、と林氏は考えているようだ。

 このように、日本におけるIAビジネス拡大の主軸と考えていた「ノートPC」は足踏み状態であるが、もう一つの主軸である「本体PC」はどうなっているだろうか。

 公開された当初、「PS2っぽいデザイン」で注目されたTAシリーズは、ノートPC同様「出る」「出ない」の境目を長いこと彷徨っていたが、こちらは、ベアボーンキットとして9月中に発売されることが、日本ギガバイト内で正式に決定したらしい。


ベアボーンとして発売されることになったTAシリーズの「TA4」

 ベアボーンは「G-MAX」シリーズによって、すでにGIGABYTEのブランドイメージが確立している、いわば「パーツビジネス」の延長ともいえるジャンル。製品の流通もサポートも、これまで築いてきたノウハウで十分対応できる世界だ。

 「TAシリーズを入手したショップやホワイトボックス系PCベンダーが独自に本体PCとして発売する可能性は十分ある」(林氏)とはいうものの、TAシリーズをベアボーンとして販売する限り、これは日本ギガバイトによる本格的なIAビジネス進出とはいえないだろう。

 ならば、法人向けITビジネスの要である、ネットワーク周辺機器はどうだろうか。これまでのインタビューでは、人員を拡大し大阪にサポート拠点を開設することを明らかにしていた。

 しかし、こちらの状況もなかなか思うように進んでいないようだ。「日本のネットワーク周辺機器市場は、メルコやアイ・オー・データ機器が圧倒的に強い。ここに入っていこうとすると、どうしても価格競争に巻き込まれる可能性が高い。そうなると、日本ギガバイトが大量に製品を納入するのは難しくなってしまう」(林氏)

 日本のIAビジネス責任者として台湾から赴任したマルコ・チェン氏は「日本の市場は、製品に対してBest Price、Best Quality、Best Functionを求める」と、製品の品質だけでなく十分なサービスを求める日本ユーザーの特殊性を理解していている。

 しかし、日本ギガバイトにおけるIAビジネスは、そのサービスを提供するための態勢作りが、最も大きな障害となって足踏みをしている状況といえる。

 「ライバルはデル」(チェン氏)と明言していた日本ギガバイトのIAビジネスの成否は、やはりチェン氏がインタビューで答えていたように「デルに対抗できるだけの陣容を確保」できるかにかかっているようだ。

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[長浜和也, ITmedia ]

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