社運を賭けた最終兵器――オリンパス E-1(2/3)
手に持った印象は、「これがE-20の後継機なのか?」というもの。標準ズームレンズを付けていたし、取り外せることもあるのだが、E-20に比べてかなり軽いという印象を持った。 シャッターレリーズを押すと、パシャパシャと快速にシャッターが切れる。書き込み待ちのあのブランクがない。これは大きな前進だ。オリンパスが社運を賭けた1台だけのことはある。3点測距のフォーカススピードも申し分ない(フォーサーズは合焦速度も売りの一つにしている)。今回のレビューではまだβ段階のモデルを使用したのだが、ケチのつけどころがにわかには見当たらなかった。 ただしE-20の後継機ながら、E-1にはスペックダウンの個所も見受けられる。まず、記録メディア用のスロットがデュアルからシングルになった。オリンパスが長きに渡って支持してきたスマートメディア用のスロットが廃止され、コンパクトフラッシュ用のみとなった。 しかし、時代の流れとしてこれは正解だ。きゃしゃで大容量ファイルの記録に向かず、読み込みエラーが起こりやすいスマートメディアに、コンパクトフラッシュを上回る優位性は見つけにくい。 スペックダウンの2点目は、内蔵ストロボが取り払われたこと。これは、デジタルへの最適化をうたった専用開発のレンズ&ストロボを用意するE-1のコンセプトとしては「正当なスタンス」といったところだろう。しかし、オールインワンの多機能を求めるアマチュアユーザーの視点に立てば、手痛いスペックダウンと受け取られるかもしれない。 ちなみに、キヤノンEOS 10Dユーザーである筆者としては、この判断は「英断」と評価する。内蔵ストロボなど使った試しがないからだ。内蔵ストロボは総じて、光量にも発色にも納得がいかないので、個人的にはないほうがいいと思っている。 つまり筆者としては、いずれもスペックダウンには該当しないという結論となる。このような表層的なスペックよりも、防滴構造に注目したい。防滴性に優れているということは、防塵性にも信頼が置けるということだからだ。 防滴構造は、新開発の交換レンズ群「ズイコーデジタル」にも徹底されている。レンズ固定式に固執してきたオリンパスだが、交換式に方向転換する際に「ダストリダクション(ホコリ除去機能)」「防滴構造」というプロ好きのする心憎い付加価値をトッピングしてきたのだ。
フォーサーズシステム規格に基づいて新開発された交換レンズ「ズイコーデジタル」。14〜54ミリF2.8〜3.5の標準ズームレンズ(35ミリフィルム換算28〜108ミリ相当)、50ミリF2.0の中望遠マクロレンズ(同100ミリ相当)、50〜200ミリF2.8〜3.5の超望遠ズームレンズ(同100〜400ミリ相当)、300ミリF2.8の超望遠レンズ(同600ミリ相当)の4種類がラインナップされている DSLRを作るメーカー各社が35ミリフルサイズCCD(もしくはCMOS)を指向する中で、オリンパスは一人「われ関せず」とばかりに独自の路線を貫き続ける姿はあっぱれだ。焦点距離が2倍になり、F値の明るい望遠を実現できるというデジタルならではの特性を、オリンパスはとことん追求しているのである。そこには、小型CCD(すなわちフォーサーズシステムのこと)の良さにこだわる企業思想が、ブレることなく貫かれている。 交換レンズのズイコーデジタルには50ミリのマクロレンズがラインナップされており、ボケ足を楽しむこともできる。花を撮る用途のユーザーならすぐに飛びついても後悔しないカメラだと思う。 [島津篤志(電塾会友), ITmedia ] Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved. モバイルショップ
最新スペック搭載ゲームパソコン
最新CPU搭載パソコンはドスパラで!!
FEED BACK |