> レビュー 2003年10月22日 08:05 AM 更新

画質と保存性を兼ね備えたエプソンの最高峰カラーインクジェット――PX-G900(1/3)

画質で業界をリードし続けてきたセイコーエプソンが、「耐候性」という次なる提案を打ち出した。「PX-G900」は、文句なしの画質と出力画像の長期保存性を備えた最強プリンタだ。

銀塩写真に迫る「耐候性」

 インクジェットプリンタの高画質化が進み、ここ数年で、低価格製品でもデジカメ写真出力に耐え得る画質を持つ時代となった。

 ただし、インクジェットプリンタの出力画像は空気中に放置するだけで色があせるという弱点があり、長期保存したい写真はクリアシートカバー付きのアルバムなどに密封保存するか、プリンタ出力をあきらめて専門のDPE業者にプリントを頼まざるを得なかった。これが、インクジェットプリンタを使ったホームDPEがなかなか普及しない原因でもある。

 セイコーエプソンの2003年秋の新製品は「画質も保存性も銀塩写真並に」というのがメインコンセプトだ。

 同社の新フラグシップモデル「PX-G900」は、耐候性の高い顔料インクを採用するとともに、顔料インクの弱点だった発色と光沢を改良して高画質化し、写真画質と長期保存性の両立を目指した製品だ。最高解像度は2880×1440dpi。最小インクドットは1.5ピコリットル。1つのインク吐出口から1.5/3/7ピコリットルの3種類の大きさのインクを打ち分けるMSDT(マルチ・サイズ・ドット・テクノロジー)により、画質とスピードを両立している。


PX-G900の主要スペック

インク構成8色(Y/M/C/R/Bl/BK1/BK2/GL)、ただしBK1/BK2は同時使用不可
最高解像度2880×1440dpi
最小ドロップサイズ1.5pl(1.5/3/7plのMSDT)
インクカートリッジ各色独立タンク方式
対応用紙サイズ名刺、カード、L版、A6縦〜A4縦、89/100/127/210mm幅の専用ロール紙
インタフェースUSB 2.0×1、IEEE 1394×1
サイズ幅495×奥行き307×高さ198mm

 イエロー、マゼンタ、シアンに加え、特色インクとして「レッド」と「ブルー」を追加した5色のカラーインクを採用。用紙に合わせてフォトブラックとマットブラックを使い分け、合計6色で印刷する方式をとっている。さらに、グロスオプティマイザー(GL)という透明の樹脂を新たに採用した。GLは、インクの乗りが少ない部分に吐出して全体の光沢を上げるためのものだ。PX-G900はこの8種類のインクを使い分けることで、従来の顔料インクでは不可能だった、銀塩写真のように光沢感のある写真画質を実現している。

 インタフェースはUSB 2.0とIEEE 1394を1基ずつ装備し、WindowsとMacの双方から高速データ転送できる仕様になっている。CD/DVD印刷やロール紙印刷に対応するなど(ロール紙オートカッターはオプション設定)、A4用紙サイズの個人向けプリンタとしてはフルスペックを装備している。

顔料で写真画質を実現するPX-Gインク

 顔料インクは、もともと耐水性、耐光性、耐ガス性が高い。その顔料インクの高い耐候性を生かしつつ、染料インク並みの高画質を実現したのが本製品だ。

 セイコーエプソンは、顔料インクの画質を向上させるために「PXテクノロジー」を開発した。この技術はサブミクロンオーダーまで小さくした顔料インク粒子を透明樹脂でカプセル化し、紙に付着した顔料インクの表面をその透明樹脂でコーティングすることによって乱反射を防ぎ、発色をよくするというもので、A3モデルの「PM-4000PX」やA4モデルの「PX-V700」などで採用されている。

 さらにPX-G900では、画質向上のための改良を施した新顔料インク「PX-Gインク」を開発した。PX-Gインクでは、顔料を包むカプセル樹脂を改良して光沢を高めている。また、最小インクドットがさらに小さくなって階調表現力が上がったため、ライトシアンとライトマゼンタを廃止してその代わりにブルーとレッドを加え、色再現範囲を拡張した。さらに透明の樹脂GLを新たに採用して、光沢の均一化を実現している。


インクタンクは全色独立で8個。一番右にあるのが、光沢を均一化するための無色透明の「グロスオプティマイザー」。ブラックは、用紙に合わせてフォトブラックとマットブラックを使い分ける方式だ

 ちなみに、顔料インクは染料インクに比べて紙の上でインクが広がらないため、顔料インクの1.5ピコリットルは染料インクの0.8ピコリットル相当になる。染料7色インクを採用した従来の最上位モデル「PM-980C」の最小インクドットが1.8ピコリットルだったことを考えても、最小インクドットがかなり小さくなっていることが分かるだろう。

[田中裕子, ITmedia ]

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