> ニュース 2003年10月29日 08:01 PM 更新

カノープスからバスパワー駆動の超小型キャプチャーユニットが登場

カノープスは10月29日に、QUOSYSシリーズの新製品「USTV-1」「TV写真缶」と、テレビチューナー付属ソフトの新バージョン「X Pack2」を発表。また、好評だった数量限定「MTV2000 Plus」を「限定解除」した。

 USTV-1は、USB 2.0接続の外付けテレビチューナー付きMPEGキャプチャーユニット。価格はオープンプライス(実売予想価格1万4800円)で出荷開始は11月下旬を予定している。


USTV-1。持っている手と比較すればその小ささが分かってもらえるだろう

 「MAMECYU」(豆チュー)というニックネームのUSTV-1は、幅45×高さ102.2×厚さ24ミリの小さな筐体が特徴。重さも80グラムと外付けキャプチャーユニットとしてはかなり軽い。

 電力はUSBのパスパワーから供給されるため、携帯したときの使いまわしもすこぶる良好だ。ただし、カノープスは「市販の製品をいろいろ評価してみたが、十分な画質が得られない」という理由から室内アンテナではUSTV-1は使えないとしている。

 筐体には、Fコネクタアンテナ端子以外にも、S-Video入力端子とアナログオーディオ入力端子が用意されているので、ビデオデッキと接続して、VHSやβなどのアナログビデオソースからもキャプチャーできる。

 初心者向けのQUOSYSシリーズということで、簡単な操作性も考慮されている。録画再生ソフトは同社のMTVシリーズでおなじみのFEATHER-Xが標準で添付され、ビデオデッキのリモコンを模した操作体系で初心者でも簡単に使いこなせるようになっている。PCのテレビ録画機能として必須のiEPGにも対応しており、メールによる外からの録画予約も可能だ。


USTV-1には、新しくデザインされた薄型のリモコンが同梱される

 テレビ画像のキャプチャー方式はソフトウェアエンコードを採用。カノープス第1開発部部長の中田潤氏によると、USBバスパワーで動作させるために「USTV-1の開発は省電力との戦いだった」。省電力の具体的な方法は「画期的な新技術ではなく、一つ一つの部分で細かく省電力を削っていくしかない」と地道な積み重ねでバスパワー駆動を可能にしたという。

 省電力駆動重視ゆえに、ソフトウェアエンコードを採用したわけだが、ソニーが現在バイオノートシリーズで使っている超小型テレビチューナーユニットを使えば、ハードウェアエンコードチップを搭載してもバスパワー駆動が可能になるらしい。

 「ただ、あのチューナーユニットはずいぶんと高いらしいですね」(中田氏)


USTV-1の内部。銅で覆われているのがテレビチューナーユニット。現在サウンドデータはオーディオ端子経由で送っているが、ドライバの改良で将来的にはUSBでもPCに送れる可能性もある、と中田氏は述べている


試作機の底面に用意されていたディップスイッチ。製品でも実装されるがUSTV-1では使えない。ただし、ドライバのバージョンアップでなにかしら使える機能が追加される可能性がある……かも

 「TV写真缶」は、PCなしでデジカメの撮影画像をテレビで見れるようにするユニット。QUOSYSシリーズがターゲットとしている「PCが苦手」なユーザーがデジカメの画像を大画面で見えるようにするのが目的。価格はオープンプライス(実売予想価格は約9000円)で出荷は11月下旬の予定。

 デジカメにもテレビ出力端子や接続コードが同梱されているが、TV写真缶はデジカメよりも使いやすい操作性や、データコピーなどの多機能性で差別化を図っている。

 TV写真缶は、デジカメから画像を読み込んだら、撮影日で区切ったフォルダでまとめてくれる「カレンダー機能」やズーム、スライドショー(画像の変更時にエフェクトをかけることも可能)もサポート。

 対応するメディアは、スマートメディア、CFカード、メモリースティック、SDカード、MicroDrive。スロットは2基用意されており、メディア間のファイルコピー機能もサポートされている。


大きめサイズのTV写真缶。リモコンのような操作性で、表示する画面の選択や各種設定は中央のカーソルキーでほとんどカバーできる



画像は撮影日ごとにまとめることが可能。イベントの画像をみんなで眺める使い方なら、これで必要十分だろう。簡単な操作ながらも、画面のちらつき調整やズーム、スライドショーエフェクト機能もサポートしている

 X Pack2は、カノープスのテレビチューナー付きキャプチャーカードに同梱されているX Packシリーズの最新バージョン。独立したパッケージとして11月下旬から3800円で販売されるが、既存のX Packユーザーも1980円(送料込み)でバージョンアップが可能。

 X Pack2の最も大きな変更点は、WMVエンコードのサポート。X Pack2の「2」も「バージョン2、ではなく2つのエンコーダ、という意味です」とはカノープスの弁だ。DivXも5.1を新たにサポート。さらに近々登場する予定の5.11にも対応している。

 「このクラスのソフトでは珍しい」(中田氏)WMVエンコード対応だが「リアルタイムで変換できるPCはこの世にあるのだろうか」と中田氏に言わしめるほど処理は重いらしい。

 「私のPentium 4/1.6GHzのPCで、1時間の番組のエンコードに10時間かかる状態。ただX Pack2のバッチ処理機能を使えば寝ているときにエンコードしてくれるので、そういう使い方ができれば何とかなるだろう」(中田氏)


X Pack2のエンコードで選択できるようになったWMV形式がリストボックスに見える。このほかにもフレーム単位やGOP単位でカット編集できるMpegCraft LEの同梱や、DivXでの2Pass変換サポートなどが追加されている

 MTV2000 Plusは9月に「3000本限定」で発売されたテレビチューナー付きMPEGキャプチャーカード。実売価格3万円半ばながら、上位機種のMTV3000FXと同等の機能を持っていた(主な違いは、MTV3000FXでデュアルだったテレビチューナーユニットが、MTV2000 Plusでシングルになったことぐらい)ことから、発売直後にはもう完売となっていたほどの人気商品だった。

 カノープスとしては「8層基板を採用するなど製造が難しく、この品質を維持したままMTV2000 Plusを出荷するのは大変なこと」(中田氏)だが、ユーザーからのリクエストに応える形で、増産体制を整え「限定解除」の決定を下したらしい。

 出荷は11月上旬から開始され、実売予想価格は3万4800円になる見込みだ。


製品の技術的解説をしてくれた第1開発部部長の中田潤氏。カノープスとなると気になるのがビデオカードの動向。NVIDIAのGeForce FX 5950はチップとメモリのみの供給なので、カノープスで自由なカード設計ができるのかと思いきや、「NVIDIAからはカードデザインのリファレンスが指定されている」(中田氏)ということらしい。GeForce 5950にしても、かねてから噂されているATI製GPUにしても、「発売については、市場の状況などを見ながら現在検討中」(中田氏)

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[長浜和也, ITmedia ]

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