> レビュー 2003年11月6日 02:17 PM 更新

EXILIMの第一期完成形――カシオ EXILIM EX-S20(1/3)

カードサイズデジカメ「EXILIM」の第一期完成形と言える決定版がついに登場した。薄さと軽さと速さでロングセラーとなった初代「EXILIM EX-S1」から数えて4代目。画素数的にはやや退化したように見えるかもしれないが、このクラスの製品に必要なのは画素数ではなくバランスで、EX-S20はそれが絶妙によい。

 「EXILIM EX-S20」は厚さ1センチ強(最薄部で11.7ミリ。一番厚いレンズ部で約15ミリ)のカードサイズで、重さは本体のみで約78グラム、バッテリーやSDメモリーカードを含めても100グラム以下の小型軽量デジカメである。レンズは右上の角にあり、このサイズながら自動レンズカバー付きなので、レンズを汚す心配はない。しかも、これまでのEX-Sシリーズより一回り小さい。ちょっと厚めの名刺入れなら入ってしまう大きさで、シャツの胸ポケットに入れても何の違和感もなく、携帯電話よりかさばらない。

 ボディには特殊表面処理「エクス・ファイン・ブラスト・トリートメント」が施されていて高級感があるし、角も微妙に丸みを帯びていて滑らかである。グリップ部にセラミックを使ったことによるアクセントもよい。今までで一番の質感だ。


正面から見ると、カードの端に丸いレンズがくっ付いているという印象。サイズがわかるように開いた名刺入れに入れ、「パスネット」や「スルッとKANSAI」といったプリペイドカードを一緒に写してみた。カードよりもほんの少し小さいことがわかる

 搭載CCDは200万有効画素の1/2.7インチ。レンズは単焦点で、35ミリフィルム換算で約37ミリ相当である。フォーカスが固定されたパンフォーカスタイプで、80センチ以遠のものならすべてにピントが合う仕様になっている。パンフォーカスのため合焦にかかる時間はゼロだし、ピンボケの心配もない。ただし、パンフォーカスは全域にピントがぴったりと合うわけではないので、遠景の描写力は落ちる。

 絞り値はF3.5に固定されており、可変のISO感度(64〜500)やシャッタースピード(1〜1/8000秒)で対処している。明るい時はISO感度を64にしてシャッタースピードを上げればよいわけである。そのためにCCDには、シャッタースピードを上げられるプログレッシブタイプを採用。一般にプログレッシブタイプで電子シャッターを使うと太陽などの強い光源がフレームに入った時に上下に派手なスミアが出るが、EX-S20では「簡易メカシャッター」を搭載することでスミアを軽減している。普段は気にしなくてもいいだろう。


EXILIM EX-S20の主要スペック

有効画素数200万画素
レンズ37mm相当(35mm換算)、F3.5
最大画像解像度1600×1200ピクセル
記録メディア内蔵メモリ(約10Mバイト)、SDメモリーカード/マルチメディアカード
バッテリー専用リチウムイオン充電池
サイズ幅83×高さ53×奥行き11.3mm(突起部を除く)
重量78g(本体のみ)

より高画質になりマクロモードも装備

 レンズ回りのスペックは基本的に前モデル「EXILIM EX-S3」と同等だが、これには大きな欠点があった。近くのものが撮れないのである。毎日ポケットに入れて持ち歩く常時携帯型カメラという性格上、どうしても風景よりは身近な小物や商品、張り紙などの画像メモ的な撮影が多くなる。しかし「80センチ以遠でしかピントが合わない」のでは、それらがすべてピンボケになってしまう。EXILIMの性格を考えると、これは致命的な欠点だ。

 これを解消するため、EX-S20にはマクロモードが付いた。液晶モニタの上にあるスイッチをマクロモードに切り替えると近距離撮影モードになり、撮影距離は約30センチになる。目安としては、A4サイズの紙をフレームいっぱいに写せる距離だ。実際には25〜40センチくらいなら実用的といった感じで、あまり近づきすぎないようにすればよい。欲を言えば、40〜80センチくらいの距離で撮りたい時はどうするのか、などの突っ込みどころはあるが、これで実用性はぐんと上がった。

 画質もよくなっている。レンズが非常に小さいパンフォーカスカメラで問題となるのはディテールの描写力だが、EX-S20はこれまでのEXILIMに比べるとシャープで鮮やかになった。同じ200万画素の「EXILIM EX-S2」は遠景が苦手で、ちょっと遠くの被写体や木々など複雑な細部を持った被写体では不自然にぼやけてしまい、エッジの処理やレンズ性能に不安を感じさせた。しかしEX-S20ではそれが大きく改善され、シャープでノイズも少ない絵になった。同等スペックのカメラとは思えないほどの進歩だ。確かにAF付きのデジカメに比べると甘さはあるが、日常的なスナップ写真を撮るのには何の問題もない。また、最近はメガピクセルカメラ搭載携帯電話と比較されることもあるが、画質やレスポンスはEX-S20の方がはるかに上だ。

 ただ、これはカシオのデジカメ全体に言えることであるが、オートホワイトバランスが不安定である。屋外での撮影でもちょっとした環境の変化で色がずれるし、室内で色温度が低い環境になるととたんに追従しなくなり、太陽光で撮った場合と同じように赤くなってしまう。これはちょっと残念だ。その代わり、マニュアルホワイトバランス機能は強力である。オート以外に「太陽光」、「日陰」、「電球」、「蛍光灯」が用意され、さらにマニュアルでカスタムホワイトバランスも設定可能だ。


マクロモードでカレーうどんを撮影した。オートホワイトバランスだとこのような撮影環境では追従できずにかなり赤く撮れてしまう(オリジナル画像はこちら


手近な白いナプキンでホワイトバランスを合わせて撮影すると、少し増感されて暗部はざらついているものの、きれいな色で撮れた。こういう工夫をすれば、たいていのシチュエーションに対応可能だ(オリジナル画像はこちら

[荻窪圭, ITmedia ]

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