ルータ完全導入ガイド(5/16)
セキュリティ対策としてのルータ

 複数台のPCをインターネットに接続するためのNAT/IPマスカレードであるが,実は,このしくみはセキュリティ面でも重要な働きをする。まず,このIPアドレス変換機構の動作について,詳しくみてみよう。なお,ここでは,ブロードバンド・ルータに,グローバルIPアドレスが割り当てられていることとする。

 LAN内のプライベートIPアドレスのPCが,インターネット上のWWWサーバに接続しようとした場合,まず,PCからのパケットがブロードバンド・ルータに届く。ブロードバンド・ルータ内では,NAT/IPマスカレードにより,パケット内の送信元IPアドレスが,ルータに割り当てられたグローバルIPアドレスに書き換えられる。このとき,送信元となったPCのプライベートIPアドレスが,ルータ内に記憶される。書き換えられたパケットは,インターネット上のWWWサーバに向けて送られていく。

 しばらくすると,WWWサーバから返信パケットが戻ってくる。送信元をブロードバンド・ルータのグローバルIPアドレスに書き換えたため,まずは,ブロードバンド・ルータに届くことになる。LAN内には複数のPCが存在するが,ブロードバンド・ルータは,どのパケットの返信か判別して,あらかじめ記憶しておいた送信元PCのIPアドレスに,そのパケットを送りつける。

 このような仕組みによって,LAN内部のPCはインターネットと通信することができる。

 さて,今度は,インターネットから誰かが侵入したいと考えたとしよう。グローバルIPアドレスが割り当てられているブロードバンド・ルータに対しては,攻撃用パケットを送りつけることができる。ところが,ブロードバンド・ルータに届いたパケットは返信ではないため,ブロードバンド・ルータは,そのパケットをLAN内部のどのPCに送ってよいか判らない。結局,このパケットは破棄され,LAN内部のPCには,攻撃用パケットは届かないのである。

 仮に,LAN内部のPCにセキュリティホールがあったとしても,返信パケット以外は,外部からパケットが届かない。このため,ブロードバンド・ルータの導入は,セキュリティ面でも有効的だと考えられている。もちろん,100%の安全が得られるわけではないが,設定不要で,それなりの効果が期待できる点はすばらしい。

 単純に複数台のPCからインターネットを接続できるようにするだけでなく,セキュリティ面でも効果があるブロードバンド・ルータ。最近では,1万円台の安価な製品も増えている。ブロードバンド環境のお供として,ぜひブロードバンド・ルータを活用して欲しいところだ。

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[吉川敦,ITmedia]

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