広帯域の使い途とは?〜FTTH金沢トライアル

NTTサイバーソリューション研究所の小川克彦部長が「FTTH金沢トライアル」の結果を報告した。

【国内記事】 2001年9月11日更新

 9月11日に行われたハイパーメディアコンソーシアムのセミナーで,NTTサイバーソリューション研究所の小川克彦部長が「FTTH金沢トライアル」の結果を報告した。FTTH金沢トライアルは,2000年5月から2001年6月末まで金沢市内で行われた実験サービス。NTT,NTT西日本,松下,松下通信工業,北陸松下ライフエレクトロニクスの5社が参加している。

 小川氏は,トライアルに金沢を選んだ理由について「当時のISDN加入率やPC保有率で全国トップクラスだった。比較的裕福な家庭が多く,かつ新しいものに対する理解のある土地柄と判断したこと」を挙げる。実験では,NTT金沢本局からワイドLANサービスの光ファイバー40回線を敷設し,約120人のエンドユーザーに試験サービスを提供。「参加者には月額8000円の負担でサービスを提供していた。トライアル終了後は値上がりすることになったが,約8割のユーザーが継続して利用している」という。

 トライアルの主旨は,光ネットワークとデジタル家電により,地域発信の情報流通ビジネスを実践すること。地元にある27社の企業も参加した。もちろん,すべてが成功したわけではないが,小川氏によると「いくつかのビジネスモデルにおいて,中高速インターネットの有用性が確認できた」という。成功した例は,グラフィックやサウンドデザインといったクリエイティブ分野,印刷・製版といったプリプレス分野,そして画像や動画を多用した通販など,主にデータ量が多いケースだ(7月31日の記事を参照)。

 トライアルのポータルとなった「ひかりチャンネル」では,地域情報や地元商店の広告から,ショッピングモールやライブといったエンターテイメント・コマース分野まで,多くのコンテンツが用意された。中でも「光を利用した一番分かりやすいコンテンツ」と小川氏が評したのが,ストリーミング動画を使った音楽のライブ中継だ。渋谷や下北沢のライブハウスから300Kbps程度の動画を配信したほか,地元のライブハウスも複数参加している。一方,店内の様子をインターネットカメラで中継していたスーパーの例では,動画伝送に使ったIEEE 802.11b無線LANが,POS端末の電波に干渉するトラブルも起きたという。

学生とインターネット需要

 情報流通ビジネスに重点をおいたFTTH金沢トライアルの場合,インフラ技術はむしろ脇役に近い。しかし,実証実験を進める中で,改めて市場のニーズを確認できることもあるようだ。今回の場合は,「一番ブレイクしたのは学生向けのアパート・マンション」(小川氏)という。

 トライアルでは,不動産業者の協力のもと,金沢工業大学周辺にあるアパート約200棟3500室に情報コンセントを設置,光ファイバー回線で大学のサーバに直結した。学生は入学時に必ずノートPCを購入しており,家にいながら大学のサーバから資料を参照したり,動画で講義の内容を確認するといったことも可能になる。このため,「夜間でも800人近い学生が常時インターネットを利用していた」(小川氏)という。同大学の学生数は約8000人であり,この数字は全体の1割に相当する。もっとも,インターネットを利用していたのは勉強のためばかりではなかったようで,「オンラインゲームの市場性も確認できた」らしい。

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▼ひかりチャンネル

[ITmedia]

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