ホームネットワークも“光”へ?

100Mbps,あるいはそれ以上のアクセス回線が一般的になったとき,宅内のネットワークに求められるものは?

【国内記事】 2001年9月26日更新

 9月26日に開幕した「Intel Developer Forum」(IDF)で,NTTアクセスサービス研究所の玉木規夫氏が講演を行った。光ファイバーを使った広帯域ネットワークサービスを専門とする同氏は,アクセス回線の高速化が進む将来のホームネットワークについて,開発状況と課題を語った。

 玉木氏がまず指摘するのは,「多様化するサービスをすべて端末に届けるホームネットワークが必要」という点だ。現在のサービスでは,ネットワークとコンテンツの両面を見ても実効10Mbps程度のインフラが宅内にあれば十分。既設の配線を使ったHomePNAなどが選択肢となり,コスト的にも有利だろう。配線を新設できるならイーサネットが便利だし,よりスマートに接続したいと思えば,IEEE 802.11b無線LANという手もある。

 しかしながら,100Mbpsあるいはそれ以上の光サービスが当たり前となり,高画質の動画伝送など10Mbps以上の帯域を求めるアプリケーションが登場した場合はどうか。「既存の配線設備を用いて通信する技術は,今のところ10Mbpsが上限。今後の研究課題だろう。無線は5GHz帯もしくはそれ以上の周波数帯を利用する手があるが,まだAV系の無線インタフェースがないうえ,コストと混信への対応という課題がある」(玉木氏)。

 無線LANには,現在主流となっている2.4GHz帯にくわえ,IEEE 802.11aやNTTのAWAを含む5GHz帯,さらに19GHz帯,60GHz帯などの利用が検討されている。しかし,19GHz帯は免許を要するため,個人宅への導入は向かない。また,5GHzを超えると壁を通り抜けるのが難しいといった根本的な問題があり,少なくとも建物の1階と2階をまたぐような100Mbpsクラスのネットワークを無線だけで構築することは困難だ。このため,玉木氏は「家の中で光ファイバーをバックボーンとして,その先に無線LANを利用する形になる可能性が高い」という。「有線系システムとともに,即応性と拡張性の高い無線システムについても検討を進める。無線システムは,周波数によって伝送距離や速度が異なるため,インタフェースやサイズを統一することが重要だ」(玉木氏)

 そしてバックボーンとしては,AV系を含むすべての情報を伝達できるうえに拡張性もある「シングルモードの光ファイバーを用いた1394ネットワークが論理的にはオールマイティ」なのだという。ただし,光ファイバーを宅内で利用するには,端末とのインタフェースが不備である点など,こちらも課題が多い。「伝送特性上有利なシングルモードファイバーは,ホーム,ビジネスともに適応領域が広い。工事の手間,コストなどの面で難点もあるが,開発は進めている」(玉木氏)。

 もちろん,100Mbps以上のホームネットワークが必要になるのはまだ先の話。現在は,通信系の端末と放送系の端末が融合するという点も議論の最中だ。玉木氏は,イーサネット(通信系)とIEEE 1394(AV系)を使った両方のネットワークが宅内に混在する形が「当面の主流になるだろう」と話している。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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