Streaming Now!〜流れをつかめ!
第8回:ここが変だよ「ブロードバンド=ストリーミング」説

8Mbpsが生きるストリーミングはどこに?

 さて,気を取り直して,日本のストリーミングコンテンツについて見てみよう。ブロードバンド用と呼ばれているものは,300Kbps程度,データレートが高いものでも,せいぜい1Mbpsくらいである。ということは,1.5Mbpsあれば,たいていの「現状のブロードバンド用コンテンツ」は見ることができる。

 で,8Mbpsあればもっといい画像が見られるか,というと,放送側が1Mバイトしか用意していないのだから,無理なのである。まあ,300Kbpsのコンテンツを同時に複数再生できるとか,そういうことはあるだろうが,そんなことをしたがるヤツはそんなにいない(そもそも音が混ざったらワケがわからない)。やはり,ストリーミングにおいては,上流側が整備されない限り,それほど大きな恩恵をすぐさま受けられると思うのは勘違いなのである。

 どうしてこんな当たり前の話をするかというと,8Mbpsにすると,素晴らしくきれいなストリーミング放送が見られると信じている人がいるからである。いろいろな情報を仕入れているうちに,何となくそういう気がしてしまうものらしい……。

 だが,放送側が数Mbpsのストリーミングを開始するのは,まだ先の話。となると,今,8Mbpsの恩恵をいちばん受けられるのは何か? ズバリ,ダウンロード型のコンテンツなのである。

 ……なんていうことを考えながら今朝の朝日新聞を見ていたら,総務省がNHKのインターネット放送の規制を検討しているという話が出ていた。それを読むと,「ブロードバンド時代にはネットで映画やドラマなどがテレビよりも高画質で鑑賞できるようになる」と出ていた。

 ウーム。何を持って「高画質」というか,実は色深度とかまで考えてしまうと,それなりに難しいのだが,一応,数価の上では可能になりそうな話である。

 ただ,たとえ技術的に可能となり,下流にいるわれわれのすべてが数十Mbpsという回線を手に入れたとしても,上流がリッチなデータを流さなければ,そして中流がそれを支えなければ,「よりきれいなストリーミング」を見ることはできないのだ。さらに,インターネットらしく「世界の放送をTV画像でストリーミング」でなんて言い出したら,世界中の回線を太くしなければならない。ところが,放送する側は,「下流ができてから流そう」と考えるものである。

 ウーム。やっぱり今のままでは,何Mbpsもあるストリーミングなんて普及しそうにない。上流のほうからガンガン攻めていって,下流にいるわれわれに「われわれにブロードバンドを!」と言わせるような状況にならなければダメだと思うのだ。ということで,ストリーミング放送をしている先進的な方々,思い切った展開,どんどん考えていきません?

P.S
1. 私は主にストリーミングに限ってお話している。回線が太ければいいことというのはたくさんある。
2. 文中,8Mbpsとか1.5Mbpsとかという単位を使っているが,もちろん,プロバイダが「ウチは8Mbps」と言っている時,それはベストエフォートであることを知った上で使っている。便宜上,使っているだけだ。
3. いつも否定的な話になってしまっているような気がする……。次回は「個人的なもの」の話で,少し明るくいきましょう。

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[姉歯康ITmedia]

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