Streaming Now！〜流れをつかめ！
第8回：ここが変だよ「ブロードバンド＝ストリーミング」説

【国内記事】

2001年10月18日更新

　ブロードバンドについて説明する時に，ストリーミング映像を例として説明する人が多い。いつぞやのNHK特集でも，「ブロードバンド環境だと，これだけ動画が鮮明になります」みたいな説明があった。これは間違いではないのだが，そこばかりを強調するのもいかがなものか。特に8Mbpsが当たり前になりそうな状況を見ていると，ついそう思ってしまうのである。

ストリーミングで何をすべきか

「ストリーミングで何をすべきか」。まあ，「すべきか」じゃなくて，「何が向いているか」でもいいが，これはここのところ，私のテーマとなっている。こんな特集を書いていて思ったのだが，個人向けのストリーミングというのを考えると，実に「寒い」ものがある。いや，人気がないという意味ではなくて，家族愛を見せつけられるのも寒いし，それを一所懸命自宅で編集している姿というのも，ちょっと寒い感じがする。では，やっぱりテレビ的なメジャーなものがいいのかというと，テレビはテレビのほうがよいに決まっている。と，いろいろ考えた結果，インターネットを使ったストリーミングで今後イケそうなものは，「個人的なもの」「普段は見ることのできないもの」くらいかな，と思い始めている。

　まず，「個人的なもの」というのは，前述の特集でも取り上げたものだが，さらに進んで，携帯端末でストリーミングを行うなど，よりパーソナルな環境での用途が出てくれば，そしてリアルタイムでストリーミングできる環境が整えば，それなりに普及するだろう。

　もう一つ，「普段は見ることのできないもの」というのがある。ここにアダルトものが含まれる場合もあるだろうし，レアなアイドルのお宝映像の場合もあるであろう。いずれにしても，テレビでは見られない，もしくはテレビで物理的には見られるが，家族そろって見たくないもののことだ。今回はこちらの話をしよう。

世界中のストリーミング放送って？

　当たり前のことだが，インターネットの良さの1つに，「いつでもどこでも，あらゆる情報を仕入れることができる」というのがある。そして，さらにストリーミングを使えば動画で豊富な情報を手に入れられるわけである。だからストリーミングは素晴らしいということになっているのだ。

　ところが，ここのところ，改めていろいろなニュース系サイトを見ていたのだが，どこを見ても，テレビで見たことのあるコンテンツばかりなのである。ブッシュの映像やら，ビンラディンの画像やら……。全然，「ネットならでは」のニュースがつかめないのだ。

　そりゃ，そうだ。「いろいろなニュース系サイト」といっても，せいぜい，米国のCNNやABC，さらに英国のBBCといったテレビ局の映像を調べているだけなんだから……。つまりは，ワールドワイドとかいいつつ，英米のものしか見ていなかったのである。

　では，他の国はというと，私が探した範囲では，そんなにストリーミング放送は行われていないのである。いや，しているかもしれないが，調べるのが難しい。韓国，シンガポール，それから北欧，フランスといったあたりではあるのだろうが……。ストリーミング放送そのものが少ないのだから，「ブロードバンド用のストリーミング放送」となると，さらに範囲が狭められる。

　何故か，と考えるまでもなく，そもそも，送信している国でブロードバンドが普及していないんだから，仕方がないだろう。というワケで，ブロードバンドで世界中のストリーミングを見られないのが現状である。