Yahoo! BBで“成長”を補ったヤフー

ヤフーが発表した第2四半期および中間期の決算は,株主の期待に応えるものだった。Web広告の減少を見越して打った手……つまりYahoo! BB事業が,功を奏した。

【国内記事】 2001年10月22日更新

 ヤフーが発表した第2四半期および中間期の決算は,株主の期待に応えるものだった。7〜9月期の売上高は69億9900万円。低迷した広告収入(30億2000万円)に対してYahoo! BB事業が30億2700万円とほぼ同額の売上げをもたらし,中間期で前年同期比98%,7〜9月期では同109.4%の売上増となった。Web広告の減少を見越して打った手……つまりYahoo! BB事業が,功を奏した形だ。

有料化したオークション事業とYahoo! BB事業が伸びた

 同社の従来の基幹事業である広告収入は,前年同期比で5.3%の減収となり,第1四半期(4〜6月)の36億9600万円と比べても18.3%減少した。この点についてヤフーの井上雅博社長は,「景気の減速」「米国の同時多発テロの影響」「特定クライアントの大規模キャンペーンが終了したこと」などをその理由に挙げた。

 しかしながら,中長期的にはインターネットユーザーの増加やブロードバンドの普及に伴い,同事業も拡大を続ける見通しだという。「7〜9月期には,広告の継続や増額を行うクライアントも出てきている」(井上氏)。

 一方,Yahoo! BB事業が急速に伸びた理由は,ソフトバンクから仕入れたモデムを「Yahoo! BB スターターキット」としてビー・ビー・テクノロジーに販売する金額がユーザーの拡大とともに増加したこと,そしてISPサービスによる売上げが計上されるようになったためだ。ISPサービス料金の月額1290円は,全額ヤフーの売上げとして計上されている。

 ただ,これまで粗利益率が100%に近かったのに対し,Yahoo! BB事業の拡大に伴い,第2四半期は売上原価が大きく膨らんでいることも特徴だ。売上げとなったISP料金1290円のうち,ヤフーがビー・ビー・テクノロジーへ支払うのは1090円。およびコンテンツプロバイダ各社に支払うコンテンツ提供料が売上原価として発生する。Yahoo! BB事業で見ると,30億2700万円の売上に対し,売上原価は17億2600万円。よって,Yahoo! BB事業の粗利益(売上総利益)は約13億円となる。

 もっとも,Yahoo! BB事業(6月の記事を参照)は,100万単位の加入者を集めなければ損益分岐点に達しないという話だったはず。にも関わらず,ヤフーが7〜9月期に早くも大幅な利益を上げられたのは,ソフトバンク本体やビー・ビー・テクノロジーが,同事業推進のためのコストを相当部分負担しており,モデムの卸売りを一手に引き受けるなど,もともと“ヤフーは損をしにくい”構造になっていることがあるだろう。

サポート改善が課題

 22日に行われた会見では,Yahoo! BBの現状も報告された。予約者などの数字は発表済み(10月5日の記事を参照)のものだったが,注目は「申込みをしていながら開通していない人が,かなりたくさんいる」「メールでの問い合わせに対する返信が遅れている」「NTT局舎工事において,業者の工事が遅れる場合があるため,ユーザー側に開通の見通しを明確に伝えることができない」という3点を“問題”として自ら挙げたことだ。

 井上社長は,「NTT局舎の開通数が増加したことで,迅速にサービスを提供できる環境は整いつつある。また,サポート体制はビー・ビー・テクノロジーの人員増強に加え,今月から一部の対応をヤフーへ移した」として,状況が改善される見通しであると強調していた。

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[芹澤隆徳,ITmedia]

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