Streaming Now!〜流れをつかめ!
第9回:個人ストリーミングはこうなる!……か?

【国内記事】 2001年10月31日更新

 前回の予告通り,今回は「個人的なもの」の話をしよう。

個人向けに注目するワケ

 私が「個人的なものであればイケる」と思ったのは何故か。これはまず,テレビが圧倒的に強いからである。番組制作のプロがいて,しっかりと編集したものをきれいな映像で提供しているワケで,これと同じクオリティのものをストリーミングでつくりだすというのは,将来的には可能かもしれないが,そんなに簡単な話ではない。もう,みんなテレビに慣れてしまっているのだ。それに,権利関係のことを考えると,テレビと同じコンテンツがネットに流出することもないだろう。

 だが,きれいな写真に慣れていてもプリクラは流行る。また,携帯電話を使ったコミュニケーションがどんどん浸透してきているのも間違いない。プリクラ感覚のストリーミングであれば,成り立つのではないかと思った次第なのである。

やはり動画は面倒だが……。

 現在,個人向けストリーミングサービスというのは,すでに紹介したように,そこそこ存在する。これがどれくらいウケているものなのか……ハッキリしたことはわからないのだが,少なくとも爆発的にブレイクしていないことだけは確かだ。

 さまざまな理由があるとは思うのだが,主な要因は発信の仕組みにあって,みんな

  1. データを準備するのがカッタるい。
  2. データをアップロードするのがカッタるい
  3. チッコい画面で見せてもしょうがない
と考えてしまっているためではないだろうか。

 要するに,動画は扱いが面倒で,データが重いのである。逆に言えば,その点だけクリアできれば,そこそこ浸透するのではないかと思うのである。では,それらをクリアするためにはどうすればよいかということを考えてみよう。携帯電話を使った場合とそれ以外についてはちょっと分けたほうが良いように思える。少なくともパソコンとはずいぶん性格が違うものに思えるから……。

携帯電話を使ったソリューション

 さて,まずは期待できるのが携帯電話でのストリーミングである。  別にきちんとした会社が配信するコンテンツを見てもいいのだが,それじゃ,携帯で見る意味がないだろう。街中に出ていてニュースを見たいということもないわけではないが,ちょっと違う気がする。携帯で動画配信といえば,やはり,多くのユーザーは「携帯テレビ電話」になることを期待しているのだ。

 すでにFOMAではMPEG-4フォーマットを使ったTV電話というのを開始している。これはこれで一対一の場合にはOKだ。

 では,一対多,もしくは多対多のことを考えよう。一対一ができるから,一対多が簡単に……というワケにはいかない。ストリーミングという技術,普通はストリーミング用のサーバが必要なワケで,みんなが好き勝手にモノスゴい量の双方向のビデオチャットをできるというワケにはいかない。

 では,双方向までいかなくてもいいとしよう。カメラ付きの携帯電話で自分がいる場所をライブで見せる。でも,リアルタイムの電話を使ったコミュニケーションなのに一方向というのもヘンだ。

 では,ライブストリーミングまでいかなくてもいいとしよう。1分間撮影したものをアップロードして,それをすぐにストリーミングで見られるようにする。そうすれば,頭の悪そうな女子高生とかが,

「アタシィ,いま,渋谷にいるのォ。チョーかわいい店見つけたから,そこにいる。ホラあ,こんな感じぃー」

とかって,みんな使ってくれるようになるのではないだろうか?

 だから,そういう仕組みをつくればよろしい。ただ,インターネットで何でもかんでもやろうとすると,帯域的に無理が出てくるかもしれない。であれば,携帯電話専用のCDNということでやってしまえばいいだろう。ストリーミングだけは別にしちゃうのだ。無理して詰め込むことはない。

 技術的にはいろいろと難しいこともあるだろうが,まあ,先は明るいということにしておこう。

それ以外は……ストリーミングDPE?

 問題は,パソコン用のコンテンツを考えた場合だ。例えば旅行に出かけて,そこの美しい夜景なり,川のせせらぎやらに感動して,「これをストリーミングしたい!」となったという場合の話。今のところ,通常の手続きとしては,

  1. DVで撮影して
  2. 家に帰ってからパソコンに取込んで
  3. 家で編集して
  4. しかるべきサービスにデータをアップロードする
という流れになると思う。

 これではダメなのだ! 編集はカッタルいし,編集している間に「あ,ここをストリーミングしたい!」と思った熱意も冷めてしまうからだ。で,どうすれば良いのか?

1.まずDVはやめましょう
……別にフォーマットはDVであってもよいのだが,テープメディアというのはなし。巻き戻しとか,そういうカッタルいことはしていられないのだ。撮影したものは,すぐに使えるものでなければならない。  サンヨーの「iDshot」というQuickTime録画するデジカメがあるが,あれがヒントだ。

2.パソコンで編集するのはやめましょう
……パソコンで何かやろうというのが,すでにかったるいのだ。デジカメで撮影したデータを,その場でチョチョいと切り張りくらいできてほしいものである。

3.アップロードするのはやめましょう
……撮影したものをアップロードするのはやめたい。通信環境がかなり良くなっても,やはりデカいデータをアップロードするのは,それなりにツラいものである。

 では,どうすればよいのか……。ウーム,ムリである(笑)。ただ,2までは可能だろう。カメラだけで簡単な編集ができるようにしておく。で,3のアップロードをどうするか? 考えました……。写真屋さんが現像する感覚でデータを準備できればいいのではないかと思っている。そう,観光地の写真屋さんに

「ストリーミングサービス,やってます」

という看板が出る。

「ヘイ,らっしゃい!」

「あのー,このメディアなんですけど……」

「オッ ストリーミングだねェ? うん,そのディスクなら扱ってるよ。で,うちはBIGLOBEとしか契約してないんだけど,それでもいい?」

「ああ,そうだったんですかぁ……。今までNIFTYしか使ったことないんですけど」

「あ,最近,バッチシ回線増強したからダイジョーブ」

「あ,じゃあ,お願いします。いくらですか?」

「えーとね,今,特別価格だから,50Mバイトまで2カ月20人接続で3000円。50人接続だと5000円だよ」

「え? それって1人128Kbpsですか?」

「いや,300Kbpsだよ。うちは300Kbpsのエンコーディングしかやんないの」

「はい,わかりました。俺の作品じゃ10人くらいしか同時に見ないだろうから,3000円のにしときます。1回登録しときゃ,明日撮影した分もお願いできますよね?」

「当たり前だよ。BIGLOBEと契約してる店だったら,今回とったID,そのまま使えるからね」

「はい。助かりました。どうも……」

「あ,メール通知サービスはいいの?」

「え,あ,結構です。友人には自分で通知しますから」

「結構,マメなんだねぇ。じゃ,気を付けて!」

近い将来,こんな時代が……来ねぇな,コリャ。

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