3年前から狙っていた? テレビ制作会社のネット進出計画

テレビ局がオンラインへの進出をためらう一方,ネット配信番組に注力するテレビ制作会社もある。

【国内記事】 2002年3月19日更新

 ソフト制作力を持つテレビ制作会社の動向は,コンテンツ業界として注目される。中でもオンラインコンテンツ制作に積極的なのが,「特命リサーチ200X」「進ぬ!電波少年」などを制作する,ザ・ワークスだ。

 同社は2000年4月から,インターネットテレビ局「itv24.com」をオープンしている。サイトには,美少女が大人の悩み相談を受ける「Nansho-Kids女子寮」(別記事参照)や,脚に1人1億円の保険をかけた美脚ユニット「LUCKY LEGS」が登場するコンテンツなど,話題性ある番組がそろう。itv24.comでディレクターを務める,山守文雄氏に話を聞いた。


itv24.comのトップページ。左に画面,右にプログラムが並ぶというインタフェース

ネットへの取り組みは3年前から

 山守氏はザ・ワークスのオンライン事業を,「今から3年前,ブロードバンドなどほとんどないときからやっている」と話す。

 「1999年の12月15日に,テスト配信としてライブコンテンツを提供した。以来,これほど力を入れてオンラインコンテンツに取り組んでいるところ(=制作会社)は,ほかにないのではないか」(同)。

 現在は,曜日ごとに異なるコンテンツを,時間帯を固定して毎日のようにライブ配信している。

 実際にその制作プロセスを見せてもらったが,随所で地上波で培った実力を感じさせられた。たとえばコンテンツ撮影時は,複数台のカメラを用意して,随時カメラをスイッチする。また,本番中に,テロップやVTRをはさむという手法をとる。以前,ほかのブロードバンドサイトでも撮影現場を見たことがあったが,これらの作業は後から編集でやっていた。


撮影用のカメラ(左)と,スタジオ(右)。実際に現場に立つと小さいものだが「撮影機材は基本的にテレビと同じように組んでいる」(山守氏)

 コンテンツのアーカイブ性にこだわらないのも,テレビ業界らしい。「ライブ配信後,1週間はオンデマンド視聴できるようにするが,その後は削除してしまう。“コンテンツがなくなるのが早い”という声もあるが……古いものを置いてもしかたないでしょう」(同)。

 もちろん,テレビと全く同じではインターネットを使う意味がない。ここで同社がうち出したのは,タレントとの“双方向性”だ。

 「生配信では,必ず視聴者とチャットできるようにしている」(同)。決まった時間にサイトにいけば,必ずタレントがいて相手をしてくれる。こうしたファンクラブ的要素を,重視しているという。

 ファンに支援してもらう,という姿勢は,サイトの課金システムにも見てとれる。itv24.comを視聴するには,月額1000円が必要。この1000円は,「この番組に提供する」と,指定することができる。こうして,ユーザーの支持を得たコンテンツは残り,支持の少ないものは消えていく仕組み。視聴者の“サポートしている”という意識が,高まるといえそうだ。

「やっとスポンサーがついた」

 事業性については,ほかのブロードバンドサイト同様「いまは苦しい」という。

 ただし,去年末から非常に視聴者が増えた。また番組を買いたい,という話も出てきたという。「一部の番組には,やっとスポンサーもついた。アニメやゲームといったコアな番組を中心に,番組を買いたいという話が出てきている」(同)

 これまでのオンラインへ事業が累計で「数千万円規模の赤字」という同社。だが,ここへきて積極的にやってきた効果が,ようやく出始めたようだ。

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関連リンク
▼ itv24.com

[杉浦正武,ITmedia]

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