ニュース	2002年6月7日　10:08 PM 更新

Streaming Media Japan 2002
RealVideo 9は「すぐに使える技術」

マイクロソフトの次世代Windows Media技術「Corona」が話題となった「Streaming Media Japan 2002」だが、2日目にはリアルネットワークス コンシューマ・ビジネス事業部の越智美王マネージャーが公演を行い、存在感をアピールした

　マイクロソフトの次世代Windows Media技術「Corona」が話題となった「Streaming Media Japan 2002」だが、2日目にはリアルネットワークス コンシューマ・ビジネス事業部の越智美王マネージャーが公演を行い、存在感をアピールした。越智氏は、同社がアルファ版を公開中の新しいコーデック「RealVideo 9」のデモンストレーションを行い、「（Coronaと違い）すぐに使える技術」と紹介した。

リアルネットワークスの越智美王マネージャー

　ADSLを中心とするブロードバンドの普及は、ストリーミング動画サービスの需要を後押しする。越智氏によると、Real Playerのユーザーに占めるブロードバンド環境の割合は、「少なく見積もっても60％以上」という。帯域幅の拡大は、ストリーミングがビジネスとして次のフェーズに入ることをも示している。

　これまでの小さな画角と低い画質と異なり、数100K〜数Mbpsの動画を配信できるようになり、「もう動画をプロモーションだけに使う時代は終わった。コンテンツそのものを有料配信する時代だ」（越智氏）。

　しかしながら、ビジネスの阻害要因はまだ存在する。RealVideoを例にみると、512Kbpsでは320×240ピクセル／15fpsが限界。ダイヤルアップユーザーでは、240×180ピクセル／10fpsがせいぜいだ。「ブロードバンドが普及しているといっても、行き渡ったわけではない。コーデックの改良とブロードバンドの普及がカギになるだろう」。

　同氏は、ナローバンドユーザーのブロードバンド移行を進めるためには、帯域幅の狭い環境のビデオでインパクトを与える必要があるという。そのためにRealVideo 9が有効というわけだ。

　というのも、RealVideo 9には、「超狭帯域と超広帯域で画質が高い」という特長があるため。デモンストレーションでは、34KbpsでエンコードしたRealVideo8と同9を比較して、とくに輪郭の鮮明さと暗部の黒つぶれが少ないことを示した。

画質の比較デモ。左が従来版、右がRealVideo 9

　また、DVD画質といえばMPEG-2の6Mbpsだが、RealVideoでは1.5MbpsでDVDレベルの画質を提供できるという。HDレベルの画面サイズと5.1チャンネルサラウンドは、4Mbpsあれば利用可能になる。

「QuickTimeはストリーミング画質において敵ではない。Coronaとはどっこいの画質だが、狭帯域ではRealに分がある」

　既に「Real System Producer」（エンコーダ）のアルファ版はリリースされており、すぐに試すことができるのもメリットだ。越智氏は、自身が2日間でエンコードしたという映画の予告編をみせながら、いかに手間をかけずに作業できたかを語った。

RealVideo 9の機能（上）と越智氏が挙げたRealの問題点（下）。「改善しようと思っている。もう少ししたら、新しいプレゼンができるはず」

ストリーミングの「iモード」になる？

　リアルネットワークスは、従来のライセンスビジネスから一部サブスクリプションモデルへと転換しようとしている。同時に、「Real One Platform」と呼ばれる配信ビジネスを立ち上げ、自らがサービスプロバイダーへの道を歩み始めた。これは、同社の顧客にとっては競合の登場とも受け取れるサービスだ。

　配信から端末（Real Player）までを1社で賄うReal One Platformは、「いわばストリーミングのiモード」。だが越智氏は、「われわれは、メディアに変化していく。しかし、ISPがソケットとして参加することもできる」と強調する。

Real One Platformのビジネスモデル

　レベニューシェアモデルを確立し、多くの人や企業が参加できるサービスにするというのがRealの方針だ。「Real Networksのメッセージは、Challenge Streaming Business Now Together！。一緒にビジネスしましょう、というものだ」（越智氏）。

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[芹澤隆徳, ITmedia]

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