ニュース	2002年8月26日　10:48 PM 更新

10GbEで広域イーサを　〜ファウンドリーネットワークス

ファウンドリーネットワークスはセミナーで、10GbEを利用して広域イーサネット網を構築する手法をアピールした。高速かつ、冗長構成による信頼性の高いネットワークが実現できるという

　イーサネットによるWAN構築（広域イーサネット）が注目されている。

　その原因は、10GbE（記事参照）にある。6月にIEEE 802.3aeとして標準化が完了したこの技術仕様では、10BASE-Tなどでおなじみの信号衝突を制御するアルゴリズム「CSMA/CD」（Carrier Sense Multiple Access with Collision Detection ）が盛り込まれていない。その代わり、通信の長距離化が実現し、10GBASE-ER/EWでの伝送距離は最大40キロとなっている。

　8月23日に開催された「ファウンドリーネットワークス ソリューション セミナー」では、ファウンドリーネットワークスの国内総販売代理店を務める物産ネットワークスのマーケティング部プロダクトマネージャー、石原秀樹氏が、10GbEを利用して広域イーサネット網を構築する手法について紹介した。

「WANをLANと同じ感覚で」

　石原氏は、10GbEが登場する前までの企業は「LANはギガビットイーサネットなのに、WANは1.5Mbps」という状況に悩まされてきたと話す。

　「しかし、もはやWANがLANと同じ感覚で使えるようになってきた。現在、ファウンドリーネットワークスの独自仕様ならイーサネットを最大150キロまで伸張できる」。

　10GbEでは当然ながら、イーサネット・フレームのコードなどは変化していないため、採用企業はインフラや現場のノウハウといった、既存のイーサネット実装基盤を活用できる。このためTCO（システム総保有コスト：Total Cost of Ownership）で優れるというわけだ。

　ファウンドリーネットワークスは昨年12月、10GbEがまだ草案だった段階から対応製品を出荷している。「万一標準化時に仕様が変わったとしても、ソフトウェアアップグレードで対応できると保証して、販売を行った」（同）と話した。

信頼性は？

　長距離化を実現する10GbEだが、肝心のネットワークの信頼性を確保できないようでは意味がない。ファウンドリーネットワークスが構築するネットワークでは、レイヤ2のメトロネットワーク用に開発した2つの機能をサポートしている。

　1つは、リング型ネットワークで迅速なフェイルオーバーを実現するMRP（Metro Ring Protocol）。これにより指定されたマスターノードは、ネットワーク正常時はデータの無限ループ回避のため、リングの一方向をブロックする。しかし障害発生時には、その方向にもデータ伝送することで、フェイルオーバーを実現する。

　もう1つは、メッシュ型ネットワークでスイッチの冗長化を実現するVSRP（Virtual Switch Redunduncy Protocol）だ。これは、RFC2338で標準化されているVRRP（Virtual Router Redunduncy Protocol）を基本にしたもの。マスターに設定したスイッチに障害が発生した際、自動的にほかのスイッチに処理を引き継がせることができる。

　このほかに、「古くて新しい技術」（石原氏）として、レイヤ2のスイッチに実装されているSTP（Spanning Tree Protocol）がある。これは物理的にループを構成する単一ブロードキャスト・ドメインのネットワーク上で、データの無限ループを防ぐため自動的にループを切断するプロトコル。障害発生時には、迂回路を設定するなどする。

　ファウンドリーネットワークスではこれをさらに拡張し、STPのドメインを分割、細分化して接続することでネットワークの柔軟性を向上した「SuperSpan」と呼ぶ技術を開発している。

　石原氏は、「リング型のコアネットワーク部ではMRPを、エッジネットワークではVSRPを、アクセスリンクではSTPをという風に、状況に応じて複数の技術を組み合わせればいい。完全な冗長化と秒単位のフェイルオーバーを実現する広域イーサネット網が構築できる」と話した。

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[杉浦正武, ITmedia]

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