リビング+:ニュース 2003/03/03 23:59:00 更新


家庭用ルータもQoSの時代? So-netが「ブロードバンドAVルータ」を正式発表

So-netは、昨年末の事業説明会で披露した“ブロードバンドAVルータ”「HN-RT-1」をSo-netブロードバンド会員向けに7日から販売する。ストリーミング動画を遅延なく伝送するためのQoS機能を持ち、また各種ネットサービスのホームゲートウェイ的な役割を担うデバイスだ

 ソニーコミュニケーションネットワーク(So-net)は3月3日、ソニーが開発した“ブロードバンドAVルータ”「HN-RT-1」をSo-netブロードバンド会員向けに7日から販売すると発表した。既報の通り、ストリーミング動画を遅延なく伝送するためのQoS機能を持ち、また各種ネットサービスのホームゲートウェイ的な役割を担うデバイスとなる。今回の発表では、DDNSやVPNなど、このデバイスを利用してSo-netが計画しているサービスの一端も示された。

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HN-RT-1のサイズは204(幅)×231(奥行き)×45(高さ)mm、重量は約1.3kg。CoCoonと一緒に展示されているあたりが、かなり“意味深”

 HN-RT-1は、LAN側に4つの10/100BASE-TXポートを持つが、そのうち1つに「AV」という文字がある。このポートに接続した機器はトラフィックの優先順位が与えられ、ストリーミングビデオなど連続したデータを伝送する際に、クライアントとの間で最低限の帯域幅を確保する。

 PCを接続してストリーミング動画を楽しめるのはもちろんだが、今回はソニー製AV機器のネット家電化を前提としたものだ。ソニーの場合、TV「WEGA」を年内にもネット対応とする計画を明らかにしているほか、「PlayStation 2」「CoCoon」など、接続する機器の候補は多い。これらを対象とした動画配信サービスが提供される可能性も高いが、So-netでは「ソニー全体の動きがあるため、今回は話せない。ただ、基本的にはAVを扱う機器になるだろう」(SCNビジネス推進室の平林信隆室長)とするに止めた。

 なお、今回のQoS機能はポート単位だが、将来的には「IEEE 802.1pのタギングにも対応する」(同社)という。802.1pは、企業内でミッションクリティカルなトラフィックにほかのトラフィックが影響を与えないよう、それぞれの優先順位を規定するために策定された標準規格。ヘッダのVLAN-Tagに3ビットのフィールドを設け、8段階の優先順位が設定できる。実現すれば、ストリーミング動画だけでなく、やはりリアルタイム性が重視されるTV電話アプリケーションなどにもプライオリティを与え、かつホームネットワーク全体を制御することが可能になるだろう。

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LAN側ポートは4つ。ケーブルが接続されている1番ポートがAV対応。USB1.1ポートには、プリンタを接続する。出荷開始時は未対応だが、4月にはファームウェアアップグレードにより、HN-RT-1をプリントサーバとして利用できるようになる予定だ
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ファームウェアアップグレードは、「前面のボタンを2回押すだけ」という手軽さ

かんたんにWeb公開

 無線ルータとしての基本機能も充実している。400MHzのx86系チップとLinuxの組み合わせで、スループットは97MbpsとFTTHにも十分対応できる数値を確保。IEEE 802.11bアクセスポイント機能を内蔵したほか、ステートフル・インスペクション対応のパケットフィルタリング、DMZ、UPnP、PPPoE(マルチセッションには未対応)など、一通りの機能を備えた。Windows Messengerはもちろん、DMZにより各種オンラインゲームやサーバ公開といった用途にも応える。

 しかし、PCをサーバにするのは一般ユーザーにとって敷居が高い。そこで、本体のメモリースティックスロットを設け、スティック内の画像やファイルを公開するWebサーバ機能を搭載した。あわせて、So-netがDDNS(ダイナミックDNS)サービス「簡単Web公開サービス」を提供し、固定IPアドレスを取得できないADSLなどの回線インフラもサポートする。

 DDNSサービスは4月に開始する予定だ。月額料金など詳細は未定ながら、「コンシューマー向けサービスのため、1,000円を超えることはないだろう」(平林氏)という。

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側面のメモリースティックスロット。残念ながら、メモリースティックPROには非対応

 このほか、So-netではIPv6サポートやVPNを含む外部からのホームネットワーク接続、ホームネットワーク・セキュリティといったサービス展開も計画している。

 IPv6に関しては、5月にSo-net独自のIPv6実験を開始する計画を明らかにしたものの、詳細については別途発表するという。一方のVPNサービスは、今夏をメドに開始する。

 HN-RT-1は、すでにVPNパススルーをサポートしているが、ルータのCPUがIPSec(予定)の暗号化・復号化の処理を担当することで、個々のPC上でVPNクライアントを動作させる必要がなくなり、また非力なPCに接続する場合でもスループットを落とさずに済む。そしてなによりも、AV機器のような非PC端末に対しても、外部からセキュアにアクセスできるようになるだろう。

機能拡張/サービス提供時期料金
プリントサーバ機能追加4月無料
IPv6サポート未定未定
簡単Web公開サービス(DDNS)4月有料予定
ホームルータかんたん接続設定5月無料
ワイヤレスLANかんたん接続設定今夏無料
家の外から宅内へのリモート接続(VPNなど)今夏有料予定
ホームネットワーク・セキュリティサービス今夏有料予定

家庭向け“サービスゲートウェイ”

 So-netでは、ブロードバンドAVルータを、「So-netのホームネットワーク向けエンターテインメントサービスの“サービスゲートウェイ”」(と位置づけ、サービスプラットフォームの構築を図るという。ホームネットワークを対象とした本格的なサービスとともに、いわゆる“レジデンシャル・ゲートウェイ”(家庭の入り口)の名に値するデバイスが、いよいよ登場することになりそうだ。

 ブロードバンドAVルータの価格は29,800円。3月末までは、発売記念キャンペーンとして、24,800円の特別価格で販売する。販売受付は3月7日より同社サイトで開始。13日から出荷を開始する予定だ。なお、販売対象はSo-netのブロードバンド接続コース(「フレッツ・ADSL」「So-net光」「Bフレッツ」)会員に限られる。一般販売については未定だ。

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[芹澤隆徳,ITmedia]



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