レビュー:ホームサーバPCの実力[番外編]
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AthlonXP2000+ ハードウェアMPEG2エンコーダ搭載 DVD-ROMドライブ+CD-R/RWドライブ 15型液晶ディスプレイ 実売価格:20万円前後 |
このシリーズでは各社のホームサーバPCへの取り組みを検証している。次に取り上げるのは富士通であるが、その前に番外編として日立製作所の「PriusAir 670E」を見てみたいと思う。この製品は特にホームサーバPCとして販売されているわけではない。ただ、TVチューナー/MPEG2リアルタイムエンコードボードを搭載し、さらに、ディスプレイにマイナスイオンを発生する機構を内蔵するなど、リビングに置くマシンとしてユニークな機能を備えている。また、従来のPriusシリーズからは一新し、ホワイトカラーとラウンディッシュを基調とした柔らか味のあるデザインを採用したのも魅力的だ。このPriusAir 670Eは1月25日から発売されている製品で、CPUはAMD AthlonXP2000+、15型ラスタビュー液晶ディスプレイが付属し、実勢価格20万円程度。650Eというモデルもあり、こちらは18万円程度だが、TV機能がない。
また、上位機種のPrius Deck 770EではDVDマルチドライブ+DVD-ROMのダブルドライブ構成をとっているが、PriusAir 670E/650EではCD-R/RW+DVD-ROMとなる。価格が低く抑えられているので、しかたないが、ショッピングサイト「日立ダイレクト」でDVDマルチドライブに換装できるオプションを提供してもいいのでは、と思う。そうなると、ソフトウェア構成も変更する必要が生じるが、PriusAir 670Eでも上位機種と同様にneoDVD standard 4.1 for HitachiやDrag'n Drop CD Ver.2.10 for Hitachiがインストールずみなので、あとは、DVD-Movie Album SEを追加すればいいくらいだろう。
冒頭で述べたとおり、ディスプレイおよび本体前面部分はホワイトカラーで仕上げられているが、ディスプレイスタンド部や本体側面はシルバー仕上げで、カタログ写真などで目にした印象とはやや異なる。また、本体が思ったよりはやや大きく、また重く感じられたが、数字的には幅104×奥行き344×高さ367mm、約8.8kgと、ほかと比べて突出しているわけではない。よく考えるとダブルドライブ構成なので、もう少し重くてもおかしくないくらいだ。最初から本体にスタンドが取り付けられた状態で梱包されているので、箱から取り出したときに大きく感じたのかもしれない。
ディスプレイからは3本が1本にまとめられたケーブルが出ており、本体の液晶ディスプレイ(DVI-D)、音声出力、USB端子へと接続する。さらに、ディスプレイの電源ケーブルにはやや大きめのACアダプタがつながっているので、接続した図は全体にあまりスマートではない。とはいえ(ケーブルをうまく隠して)設置を完了させてしまえば、非常に見栄えはいい。本体前面中央およびディスプレイ右下部に配された、色を変えて光るインフォメーションリングは、予想どおりクールな印象を与えてくれる。マイナスイオンはディスプレイ上部の「マイナスイオン」ボタンを押すと、裏側側面にある小さな噴出口から出る(らしい)。過大な期待を抱く人などいないと思うが、この製品でも特に何か劇的な効果があるわけではない。「ああ、出ているんだな」とか、あくまで気分の問題である。匂いを嗅いだりもしてみたが……。
液晶ディスプレイは上位機種が採用している日立が自慢とするスーパーピュアカラーではなく、ラスタービュー液晶となるが、それでも非常にコントラストの高く、色再現性の高い映像を見せてくれる。この液晶には誰しも満足するだろう。
TV視聴/録画にはPriusAir Viewというソフトウェアを利用する。一から起動すると数秒ほどの時間はかかるが、終了してもグリーンのボタンとしてデスクトップ上に常駐するように設定でき、クリックすれば即座に画面を表示する。番組表はADAMS-EPG+、携帯電話での予約はreserMailを利用している。TV視聴は基本的に常にタイムシフトモードだ。つまり、常時ハードディスクへビデオをバッファして、それを表示している。ただし、ほかの作業をしながらTVを観る際に便利なミニTV表示(ほぼ映像表示エリアのみのシンプルなウィンドウ。サイズ変更可)では、設定でタイムシフトをオフにして、負荷を抑えられる。
このミニTV表示、そしてフルスクリーン表示のほか、左上に320×240ピクセルのTV画面と各種情報を同時に見られる標準表示もある。この画面デザインはシンプルかつ必要な情報が効率的にまとめられており、とても見やすい。右上にはチャンネルリストとして現在放送中の番組名がずらりと並ぶ。これは現在時刻に沿って、自動的に更新されていく。画面の下半分は、「EPG」「Library」タブで表示内容を切り替えられ、それぞれ番組表、メディアライブラリ管理となる。
GigaPocketやSmartVisionのように、ネットワーク内のPCへTV放送を配信する機能はないが、それ以外に関しては機能や録画品質で遜色はない。録画したファイルの再生時に、一度観たファイルの前回視聴停止位置を覚えていないのが不便なくらいか。また、「ミニTVでタイムシフトする」のチェックを外していると、標準表示とミニTVとの表示切替がワンテンポ以上遅れるが、そのほかは全体的にレスポンスも悪くなく、チャンネル切り替えも1秒程度だ。常時タイムシフトによる目立った動作の鈍さなどは特にない。
また、PriusAir Viewは単なるTV機能だけではなく、DVD/CD再生や静止画スライドビューを統一されたインタフェースで扱えるソフトウェアになっている。付属リモコンでの操作も可能だ。Airという初期画面では、現在放送中の番組や録画ずみの番組のほか、静止画やサウンド、さらにはインターネットのリンクまで集めたマス目状の一覧表示がゆっくりと左へと流れていく。内容は一部カスタマイズ可能だが、動きは固定なので、実用的なメディアブラウザとしてつくられたのではなさそうだ。あくまでインテリア感覚というところ。ただ、TVチャンネルの表示では右から新たに現れるたびに、現在の放送内容を静止画で拾ってきてくれることもあり、スクリーンセーバ感覚で表示させておいて、気が向いたらクリックするという使い方は考えられる。
パナソニックのMediaStage LEがインストールされているので、ほかのPCとのメディアファイル共有もいちおうできる(対応OSはWindows XPのみ)。MediaStage LEではサーバ側とクライアント側という区別はなく、両方とも同じソフトウェアをインストールして使う。「ネットワーク機能の設定」で相手マシンのMACアドレスを登録するか、「全てのマシンについて有効」を選んでおき、公開するフォルダを設定(OSのネットワーク共有設定も必要)しておけば、「静止画」「動画」「サウンド」「テレビ」などのメディアへ相手側マシンがアクセスできるようになる。
ただ、リモコンには対応していない。カーソル移動や項目決定、ビューウインドウを閉じるといったことはできるが、これは単にこれらのリモコン上のボタンが、キーボードのカーソルキーやエンターキーなどに対応しているからで、デスクトップ操作やほかのアプリケーションでも同様の動きをする。
とはいえ、親和性や操作性の観点から、ネットワーク経由でのメディアファイル共有に関しても、将来的にはPriusAir Viewの一機能として内蔵されることが望まれる。その際には、ネットワーク接続されたクライアントPCでのTV視聴機能も採用されるかもしれない。もちろん、いまのままでもPriusAirシリーズは意図された「個人の生活に溶け込む」という用途において、個性的で満足度の高い機能、性能を提供してくれる。しかし、もし、前述の方向性へ向かってPriusAir Viewがさらに磨き上げられれば、メーカー側に「ホームサーバPC」だという思いがあるなしにかかわらず、PurisAirはほかのホームサーバPCと呼ばれる製品と比べても、勝るとも劣らない「ホームサーバPC」へと進化してしまうに違いない。
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