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2003/03/19 18:59:00 更新 |
先端研究はギガビットネットで 〜「スーパーSINET」が進展中
総通信容量、約300Gbpsを誇る、学術研究用ネットワーク「スーパーSINET」が順調に運用されているようだ。その研究の成果が、シンポジウムで発表された
大学などの研究拠点を結ぶ学術研究用ネットワーク「スーパーSINET」が、順調に運用されているようだ。3月18日に開催されたシンポジウムでは、同ネットワークを利用した研究の成果が報告された。
スーパーSINETは、国内の研究拠点をWDMと光クロスコネクト(OXC)の技術を用いて、6000kmにわたって接続したネットワーク。回線の容量は大きいところで10Gbpsとなっており、総通信容量は昨年10月時点で300Gbpsにおよぶ。昨年1月から運用を開始しており(記事参照)、現在23の機関が利用している。
同ネットワークにより、遠隔地から大容量のデータを高速に送受信できるほか、複数台のマシンを同時稼動して計算処理などを行う、グリッド・コンピューティングをスムーズに運用できる。これほど大規模な研究ネットワークは、先進国でもほかに類を見ないという。
国立情報学研究所の浅野教授
スーパーSINET推進協議会の委員長を務める、国立情報学研究所の浅野正一郎教授は、スーパーSINETの光ネットワーク技術の開発が順調に進展してきたと話す。「さらにスーパーSINETを拡大するには、現状の成果を説明することが必須」と、シンポジウムの開催目的を説明した。
シンポジウムでは、たとえば日韓の研究機関を光ファイバーで結び、さらにスーパーSINETと接続した“玄海ネットワーク”の事例などが紹介された。ほかにも、高エネルギー・核融合科学研究部会や、宇宙科学・天文学研究部会、遺伝子情報解析研究部会、ナノテクノロジー研究部会などが、それぞれ事例を報告。先端科学の分野で、高速ネットワークが役立っている様子をアピールした。
2003年1月からは、ニューヨークやロンドン、ストックホルムなどと接続する国際回線が高速化している。また、2003年度の予算内示により、新たに広島大学、慶應義塾大学、国立情報学研究所など、5機関へスーパーSINETが拡大することが決まるなど、発展を続けているようだ。
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スーパーSINETのサイト
[杉浦正武,ITmedia]