リビング+:レビュー 2003/04/14 23:59:00 更新

レビュー:ホームサーバPCの実力[富士通編]
きわめて真面目な富士通のホームサーバPC、DESKPOWER C26WC/F

これまで[ソニー編]でバイオHS91、[NEC編]でVALUESTAR TXを取り上げてきたが、今回の[富士通編]でひとまず各社のホームサーバPCと呼ぶべき製品のレビューを締めくくる。富士通はPCの周辺機器としてファミリーネットワークステーションなるものを提供しており、さらに、ホームサーバPCに位置づける製品も2機種ラインナップしている。ホームネットワーク分野にはかなり力を入れているようだ。
Pentium 4/2.66GHz
ハードウェアMPEGエンコーダ搭載
DVDマルチドライブ
17型ワイド液晶ディスプレイ
実売価格:38万円前後
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 富士通はかなりの老舗メーカーだ(もちろん、NECにはやや負けるが)。FM-8発売から20余年、現在はデスクトップPCはDESKPOWER、ノートブックPCはBIBLOというシリーズで展開している。個人的にはBIBLOのほうには好みにあった製品が多く、実際にMFやLOOX Tを購入し、利用してきた。しかし、DESKPOWERにはまったく興味を持ったことがない(実はVALUESTARも)。なぜだろう。どうもオジサン向けという印象があるのかもしれない(自分もすでに立派にオジサンのはずだが)。ただ、テレビCMにはキムタクを採用しているくらいなので、それは思い込みにすぎないのだろうけど……。

 それはともかく、製品カタログを見ていると、これまで紹介したソニー、NEC以上に富士通はことさら「ホームネットワーク」「ホームサーバ機能」には力を入れているようだ。テレビCMでも登場する17インチワイド液晶ディスプレイ一体型「Lシリーズ」のホームサーバ機能搭載モデルDESKPOWER L20C/Fがトップで紹介され、「DESKPOWER STYLE BOOK」なる折込小冊子でもホームネットワークの利用法がメインで語られている。さらに、この製品カタログのほかに「HOME NETWORK STYLE BOOK」という小冊子も別途配布するほどの力の入れようだ。今回は、液晶ディスプレイ一体型のL20C/Fではなく、省スペース型デスクトップPC本体と17インチワイド液晶ディスプレイをセットにした、「もうひとつのホームサーバPC」、DESKPOWER C26WC/Fを取り上げてみた。

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 DESKPOWER C26WC/Fは、富士通のオンラインショッピングサイトWebMartでの販売価格では、379,800円とかなり高めの価格設定だが、Pentium4/2.66GHz(システムバス533MHz)、メモリ512Mバイト(PC2700)、ハードディスク160Gバイト、DVDマルチドライブ(DVD-R/RW/RAM、CD-R/RWの書き込み・書き換えに対応)を採用と、内容的にも充実の構成になっている。ちなみに、DESKPOWER L20C/Fのほうは299,800円と少々安めだが、構成はPentium4/2AGHz(システムバス400MHz)、メモリ256Mバイト(PC2100)、ハードディスク120Gバイトである(DVDマルチドライブ搭載は同じ)。

ワイヤレスLAN(802.11b)&ルータ機能をPCIカードとして搭載

 この製品をまず最初に眺めたとき、前回紹介したNECのVALUESTAR TXと似た印象を持った。もちろん、ハードウェア構成、ソフトウェアともにまったく異なるのだが、ワイヤレスキーボード、ワイヤレスマウスを採用し、シルバー/グレーを基調とした本体の前面にはブルーのインジケータが配されている。付属液晶ディスプレイとの接続もケーブル1本(つまり専用コネクタなのだが)ですむのも同様。

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キーボードおよびマウスはワイヤレス。リモコンでの操作も可能なほか、キーボードの右にもワンタッチボタンとして、音量調整ボタン、CD/DVD操作ボタン、アプリケーションボタンなどがまとめられている

 ユニークな点としては、液晶ディスプレイの中央下部に設けられた、i-Panelというステータス表示用液晶がある。ここには時刻表示やキーボード/マウスの電波強度、ニュースなど各種メッセージなどのほか、用意された画像やアニメーションを流すこともできる。コネクタの類は見当たらないが、実は背面にUSB(1.1)1基とヘッドフォン出力端子がある。USBは付属のUSBカメラを接続するためのものだ。

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i-Panelには時計やニュース、アニメーションなど、実用的なものからお遊び的なものまで、さまざまな情報が表示可能で、さらに、バックライトの色もデフォルトのブルーのほか、パープル、オレンジも選べる

 さて、主にハードウェア面から見た場合、この製品のホームサーバ的要素とは? 最大の特徴はルータ内蔵という点だ。ワイヤレスLAN(802.11b)&ルータ機能を搭載したネットワークカードをPCIスロットに装備している。前々回で紹介したバイオHS91と同じく、本体の電源が落ちていてもルータとしての機能は維持される。つまり、C26WC/Fでは本体のWAN端子側にADSLモデムなどを接続すれば、LAN端子側にケーブル接続、あるいはワイヤレスLAN接続した、ほかのPCでインターネット接続を共有できる。そして、C26WC/F自体がホームネットワークの中心であり、外部ネットワークとのゲートウェイになることを利用して、さまざまな活用が可能なユーティリティソフトが用意されているのだ。

 富士通では、同様の機能を持ったファミリーネットワークステーションという外部機器を、DESKPOWERやBIBLOのオプションとして提供している(紹介記事参照)。ハードディスクを内蔵したワイヤレスLANルータとでもいうべき製品で、テレビ録画・配信機能を持ったファミリーネットワークステーション-Tというモデルもある。ファミリーネットワークウェアというクライアントを使うのも同じなので、ホームサーバ機能とテレビ視聴・録画機能を特徴とするC26WC/FやL20C/Fはこれがそのまま入っていると考えればいいのでは……、と思ったならそれは少し違う。ファミリーネットワークステーション-TではクライアントPCからのテレビ放送のリアルタイム視聴が可能だが、C26WC/FやL20C/Fでは録画した番組を観ることのみできる。それゆえ、GigaPocketやSmartVisionのようなクライアントへのテレビ配信機能をDESKPOWERに求めるのであれば、C26WC/FやL20C/Fではなく、CE21C/STというファミリーネットワークステーション-Tそのものを同梱した製品があるので、そちらを検討したほうがいい。

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前面、背面、左側面。本体左側面の右下に設けられているのは吸気口。これはCPUファンの真上(真横)にあたり、直接外気を当て、熱を下げるようになっている。本体背面の排気口から出てくる風は緩やかながら、温度はやはりそこそこ高い。本体は付属のフレキシブルベースをつければ横置きも可だが、この吸気口が上に来ることもあり、上に物を置いてはいけないようだ

もうひとつのPCIスロットにはMPEG2ハードウェアエンコーダ&TVチューナー

 C26WC/Fでは、テレビ機能としてハードウェアMPEG1/2エンコーダ+テレビチューナーカードをPCIスロットに装着ずみで、デバイスマネージャで確認してみると、「Pixela MPEG Capture Board 2」と表示される。どうやらピクセラのPIX-MPTV/P1W相当品カードらしい。ただし、ソフトウェアはPanasonic TVfunSTUDIO+ハードウェアエンコーダ対応プラグインを採用している。機能としてはスタンダードなもので、タイムシフトにも対応しているし、iEPGに関してはG-GUIDEという別ソフトウェアで扱われ、TVfunSTUDIOと連動するようになっている。同じPanasonic製のMediaStage、MotionDV STUDIO、DVD-MovieAlbumの呼び出しボタンなども用意され、録画した番組をさまざまに活用可能だが、どうせなら、DVD-RAMへの直接録画もできたほうがよかったと思う。

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テレビ機能はTVfunSTUDIOを利用する。機能に関しては、9分割して各チャンネルを静止画で一覧できるマルチウィンドウなどもあるが、全体的にはごくごく普通という感じ

 テレビ機能に関しては、クライアントへのテレビ放送配信をはじめ、これまで紹介した2つの製品と比べて力不足の感が否めないが、それ以外の面における「ホームネットワーク」「ホームサーバ」への取り組みに関しては、なかなか興味深い部分が多い。次回ではそのあたりを主に見て行きたいと思う。

レビュー DESKPOWER C26WC/F 1/3 次

[浅井研二,ITmedia]



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