リビング+:レビュー 2003/04/15 23:50:00 更新

レビュー:ホームサーバPCの実力[富士通編]
ファミリーネットワークウェアによるDESKPOWER C26WC/Fのホームサーバ機能

何をもってホームサーバPCと呼べばいいのか? その答えはまだ出てこない。DESKPOWER C26WC/Fでは、テレビ機能をネットワーク上で共有するといった用途にはあまり力を入れていない。富士通のホームサーバPCにおいては、ファミリーネットワークウェアによるカレンダー、アルバムといった家庭内情報共有が柱となっているのだ。もちろん、外出先からこれらの情報にアクセスすることも可能。これもまたホームサーバのひとつの方向性である。
Pentium 4/2.66GHz
ハードウェアMPEGエンコーダ搭載
DVDマルチドライブ
17型ワイド液晶ディスプレイ
実売価格:38万円前後
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 ハードウェア面ではワイヤレスLANルータ機能を内蔵しているということはわかったが、それをどのように活用できるのだろう。外部機器として単体で動作するファミリーネットワークステーションでは、ルータ機能のほか、内蔵ハードディスクを共有してファイルサーバとしても利用できる。また、クライアントPC上でファミリーネットワークウェアというアプリケーションを使えば、アルバムやカレンダー、伝言板といった機能を提供してくれる。要はhttpdサーバが立っていて、そこへアクセスすると、あらかじめ用意されたサーバサイドスクリプトが実行されるもの。当然ながらDESKPOWER C26WC/Fの場合は、ネットワーク上のほかのPCからだけではなく、自分自身でもファミリーネットワークウェアのアプリケーションを実行できる。

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ファミリーネットワークウェアでは、利用者ごとにアカウントを作成して、情報を書き込んだり、閲覧できる。デフォルトでは犬のイラストをあしらったファミリー向けデザインとなっているが、スキンの変更も可能で、このデザインもそのうちの1つ

 カレンダーや伝言板への書き込みや閲覧を家族で共有するだろうか? そんな疑問も出てくるかもしれないが、「家族で使うホームサーバ」という言葉を聞いたときに、録画したテレビ番組や音楽、デジカメ画像といったメディアファイルを蓄積したり、どこからでも取り出せたりする機能だけではなく、日々の細々とした情報を共有するためのカレンダーや伝言板機能を頭に描くユーザーも少なからず存在するだろう。ホームネットワークの用途のひとつとして用意した富士通の判断は正しいと思う。ただし、必要性は認めるものの、機能の完成度はまだまだといわざるをえない。「冷蔵庫へのメモ貼り」程度の働きはしてくれるが、ユーザーはもっと上を期待しているはずだ。伝言板にビデオメッセージを添付できる点などはいいセンを突いているとは思うのだが、いかんせん使い勝手が悪い。惜しいところだ。ビデオメッセージやボイスメッセージなどが、伝言板やカレンダーと本当の意味できちんと連動するようになれば、実用的かつ楽しいホームサーバ機能となるに違いない。

 さて、PC本体にファミリーネットワークステーションに相当する機能が内蔵されているとはいえ、ハードディスクまで別個に搭載しているはずはない。この製品では本体に160Gバイトという大容量ハードディスクを採用しているが、このうちの20Gバイト弱ほどはホームサーバ機能で使用するパーティションとしてリザーブされており、Windowsのドライブ管理で見てみると「不明なパーティション」が2つ存在する(取扱説明書のQ&Aでも「そのままお使いください。誤って削除などの変更をした場合はリカバリを実行してください」との注意書きがある)。

 このリザーブされた領域には、ホームサーバ機能の各種設定ファイルおよび伝言メモ情報などが収められる。では、ファイルサーバの共有ファイルもここに? と思ったが、そうではないようだ。ファミリーネットワーク共有フォルダのアイコンをクリックして開くのは、Windowsが管理するドライブ上の共有フォルダである。つまり、無線LANや有線LANで接続したクライアントPCから、この製品を経由してインターネットへ接続する、つまりルータ機能を利用する場合は、本体の電源が落ちたままで動作するのだが(もちろん電源ケーブルが抜けた状態では利用できないが……)、ファイル共有はWindowsの機能をそのまま利用しているので、本体の電源が入っている必要がある。ただ、だからといって、本体をスタンバイ状態にしたり、電源を落としてはいけないということではない。スタンバイや電源オフの状態になっていても、ネットワーク上のほかのPCからこのマシンにアクセスがあると、自動的に起動/復帰してくれる(要はWakeUp機能)。ワイヤレスLANからの呼び出しにもきちんと呼応する)。

 このあたりの、PC本体に依存している機能と、PC本体が起動していなくても動作する機能の区別がいまいちつかみづらいのだが(単に使う分にはそんなこと気にしなくていいのだろうけど)、前述のホームネットワークアプリケーション提供用のhttpdサーバに関しては、独立して動いているようだ。カレンダーや伝言板への書き込みは、本体が起動していなくても実行できる。ただし、共有フォルダ内のファイルを参照するアルバム機能の呼び出しや、伝言板書き込み時のファイル添付などは、本体の動作を必要とする。

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MusicSTUDIOには「from CD」というボタンもあるが、登録されたアプリケーション(BeatJam XX-TREMEやWindows Media Player)を起動して、そちらでCDからリッピング/エンコードを行い、ファイルを生成してアップロードするので、結局はローカルに置かれたファイルをアップロードする手順を踏むことになる

 音楽サーバ機能もファミリーネットワークステーションと同様に、MusicSTUDIOで管理する。このMusicSTUDIOはNet-tuneに対応したクライアントソフトで、ローカルにある音楽ファイル(MP3/WMA/WAV)を「サーバ」へとアップロードできる。ただし、アップロードしたファイルは著作権保護の意味からローカルからは消去される(あまり意味はないと思うが)。アップロード作業はやや手間がかかるが、それさえすめば、蓄積した音楽ファイルはほかのクライアントPC(MusicSTUDIOのインストールは必要)からでも再生可能だ。また、Net-Tune対応に対応した音楽再生機器から聴くこともできる(同時に接続できるクライアント数は合計3台までという制限はある)。ホームサーバ機能のリカバリで購入時の状態に戻すと、音楽サーバに蓄積したファイルも消えてしまうのには注意したい。

 PCどうしでしか音楽を共有しない場合には、現在のMusicSTUDIOの機能ではあまりメリットが感じられず、単に面倒にしか思えないだろう。ただ、音楽サーバ構築にあまり手間をかけたくない人や初心者にとっては、簡単な操作でネットワーク上の共有スペースへのアップロードを自動的に行い、ストリーミングで音楽を配信してくれるのはありがたいかもしれない。また、Net-Tune対応コンポなどを使えば、リモコンで音楽を楽しめる。

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[浅井研二,ITmedia]



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