リビング+:特集 2003/10/02 19:25:00 更新

特集:わが家のFTTH化計画
第3回:快適なBフレッツ、そしてTEPCOひかりの開通 (1/2)

予想よりも早く、申し込みから約1カ月で開通したBフレッツ。時間帯によるスループットの変化も体感できるほどではなく、一方で上りの高速化がさまざまな点でメリットをもたらした。そして9月下旬、ついにTEPCOひかりも開通した。

 本題に入る前に、ちょっと「最低利用期間」に触れておきたい。FTTHの開通後、最低、これだけの期間は利用してくださいという契約。つまり、携帯電話ではよくいわれる「縛り」のようなものだ。Bフレッツの場合、原則的に最低利用期間はないのだが、工事費無料といったキャンペーンを利用するとISP側の負担の問題から最低利用期間が発生する。TEPCOひかりの場合には、キャンペーンに関係なく6カ月という最低利用期間が設定されている。

 筆者がBフレッツで利用したぷららの「光だよ、全員集合!」キャンペーンの場合、申し込みと開通時期にもよるが、筆者の場合は12月末日までぷららから指定された料金プランを継続すれば良い。これを満たさない場合には、ぷららが負担した工事料金(現在NTT東日本が工事費用半額キャンペーンを行っているので、基本工事費用の半額を除いた金額)を請求されることになる。ただ、12月末日というと、まだぷららの利用料金は無料期間中に該当するので、その気になれば、ぷららには1円も料金を支払わず、ほかのISPに乗り換えることもできてしまう。「縛り」になっていない気もするのだが……。

 なお、ぷららは前回筆者が予測したとおり、10月1日より新しいキャンペーン「Let's! Get! Bフレッツ!」を開始した。こちらは、ぷららの無料期間中は対応プランの解約や退会はできないことになっており、やむをえず解約・退会を行う場合には、申請月の翌月までの利用料金を支払わなければならない。

 一方、TEPCOひかりの場合、キャンペーンなどにかかわらず、6カ月間の最低利用期間を定めている。6カ月以内に利用をやめる場合、6カ月ぶんの利用料金から実際に使用した期間を差し引いた金額が請求される。つまり6カ月分の利用料金は利用しようがしまいが請求されるということだ。関西地域の電力系FTTHサービスであるケイ・オプティコムの「eoホームファイバー」でも、最低利用期間は1年となっており、使用期間が1年未満の場合でもトータル1年ぶんの料金は払わなければならない。

 なぜこのような「縛り」が発生するかといえば、そもそも基本工事料が破格という点が大きい。2万円台後半から3万円という基本工事料は確かに導入する側から見れば決して安くはない。しかし、ロケーションによっては収容局から光ファイバーを丸々引く場合もあり、必ずしもすぐ側まで届いている光ファイバーを宅内に引き込む工事ばかりではない。これで工事費無料となれば、さらにFTTH事業者やISPの負担は増加することになる。ビジネスとしては、工事費用を月々の利用料金で吸収するモデルのため、一定期間の利用を強要されるのは致しかたないともいえる。

 一昔前なら、FTTH工事は最低20万などといわれていたくらいだから、個人向けFTTHの基本工事費用はやはり破格だ。それゆえ、発生する最低利用期間には十分注意する必要がある。転勤などやむをえない事情で最低利用期間を満たせない場合でも、結果的には最低利用期間分に相当する料金は請求されるわけだし、あるいはキャンペーンで無料となった工事費用まで請求される可能性もあるのだ。

申し込みから2カ月、やってきたTEPCOひかり

 さて、Bフレッツの開通から約2週間経ち、9月14日にTEPCOひかりの担当部署から電話連絡が入った。工事日は最短となる9月26日に確定。結局事前調査から1カ月以上、申し込みから約2カ月かかったことになるが、やはりキャンペーン中で工事も立て込んでいるようだ。筆者の例が申し込みから平均より開通まで早かったのか、遅かったのかは分からないが、2カ月は決して短くないだろう。

 So-netのADSLからTEPCOひかりへの移行では、TEPCOひかりの開通日までADSLを継続して利用することができたが、ISPによってはBフレッツの申し込み時にほかの常時接続サービスを解約しなければならないといったケースもあるようだ。ISP側の意図や事情は分からないが、乗り換えを意図的に邪魔しているという印象さえ受けてしまう。既に常時接続を利用している人ほど、スムーズな移行を望むと思うのだが。

 また、筆者の場合もIP電話(So-netフォン)はTEPCOひかりの申し込み段階で解約する必要があり、妙な矛盾を感じた。TEPCOひかりではSo-netフォンを提供していないので結果的に解約することにはなるのだが、事前調査などの結果次第では、光ファイバーを利用できない可能性だってあるはずだ。この場合、再びIP電話を申し込んでも同じ電話番号は利用できないのだから、もう少し配慮しても良さそうなものだ。

 翌朝には、So-netから工事日確定の連絡がメールで届いた。電話で工事日を決定するため、これは安心感がある。些細なことだが、「言った、言わない」のトラブルを防ぐという意味では、非常に重要なポイントだ。

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工事日確定の翌日に届いたSo-netからのメール。工事日がしっかり明記されている。これ以外にもSo-netでは申し込みから開通まで、5通ほどの進行状況に応じたメールが届いた

 工事は予定通り9月26日の午後に行われた。どうやら自宅の前までの工事は事前に終えていたようで、当日は自宅内へ光ケーブルを引き込むだけ。Bフレッツの場合と異なり、高所作業車も来ていない。かなり用意周到だ。

 Bフレッツと異なるのは、壁面に中継装置を取り付けなかったこと。壁面には固定金具のみと非常に簡素で、光ファイバーをそのまま屋内に引き込んだ。もちろん光ファイバー自身を金具に固定することは難しいので、実際には光ファイバーと対になっているメタル線を固定に利用している。

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下のフックがTEPCOひかりのもの。外壁には固定用のフックだけを取付け、中継器を使わずダイレクトに室内まで光ファイバーを引き込んだ。これを見た電気工事をやっている筆者の知人は、「これでは、どこで光ファイバーが断線しても全部張り替えだねぇ」と苦笑いしていたが……

 屋内工事はBフレッツ同様、光ファイバーを専用のカッターで切断し、ONUに接続するだけ。PCに接続することもなく、電話連絡による折り返し試験だけで完了してしまった。筆者宅に到着してからわずか30分程度だ。ちょっと拍子抜けの感じだが、ONUのインジケータである程度通信状態は把握できるので、今はこんなものなのだろう。

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手前がTEPCOひかり用のONUで、富士通アクセス製。Bフレッツ用とほとんど変わらないサイズで、付属の金具で壁に固定もできる。インジケータ類も最小限だ。工事日に手渡しされたのは、コピーか簡易印刷で作成されたCD-ROM付きの接続マニュアルと契約約款。Bフレッツに比較すると極めて質素だが、内容はほぼ同等だ

 気になったので、光ファイバーの接続方法を工事担当者に尋ねてみたが、基本的には先端を洗浄処理して接合するだけで、初期のBフレッツ導入時に見られた「磨き」のような作業は1度も行ったことがないという。こういった工事の簡素化が可能になったのも「工事無料」といったキャンペーンが行える引き金になっているのだろう。

 もっとも、TEPCOひかりの工事は、それほど単純なものではなかったようだ。翌日、屋外を良くチェックしてみると、筆者宅まで光ファイバーは1本裏通りから届いており、通り1つ分の30メートル程を結ぶためにワイヤーが1本追加されていたのだ。このワイヤー、どうみても筆者宅に届いている光ファイバーを引き回すためだけにしか利用してない。あらためて「ご苦労様」と言いたい気持ちになってしまった。

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工事の翌日発見したワイヤーと筆者宅に引き込まれた光ファイバーケーブル。T字になるようにワイヤーが追加され、光ファイバーケーブルは滑らかな曲線を描いている。見ての通り、このワイヤーを利用しているのは1本の光ファイバーだけ

BフレッツニューファミリーとTEPCOひかり、どちらが速いのか

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[坪山博貴,ITmedia]



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