現在、シネマコンプレックス(シネコン)は、最大手のワーナー・マイカル系(ワーナー・マイカル・シネマズ)、東宝系(TOHOシネマズ)、松竹系(MOVIX)、ユナイテッド・シネマ系、東映系(ティ・ジョイ、新宿バルト9ほか)など10系列に分かれている。 日本で最初のシネコンとされるのが、1993年にオープンしたワーナー・マイカル海老名。シネコンの多くは郊外のショッピングセンターなどに併設されたが、当時は、日本ではテナント料も高く、シネコンは根づかないというネガティブな意見が多かった。 しかし、車で行ける、各回定員入れ替え制なので立ち見がない、確実に席が確保できる、最先端の設備で映画を楽しめる、そして何より売れ筋の話題作はスクリーン数を増やし、当たらない映画はすぐに打ち切る、また都内の人気ミニシアター作品も上映するなど、観客のニーズに合わせた柔軟な番組編成で人気を集め、シネコンは急速に普及拡大していく。2000年には全国2524スクリーンのうち、シネコンは1123スクリーンだったが、2007年には全国3221スクリーンのうち、2454スクリーンで約2/3を占めるほどになった。 その一方で、この10年でスクリーン数は1.7倍になったにもかかわらず、映画人口はほぼ横ばい。シネコンの過当競争が進む中で、昨年末には大阪のワーナー・マイカル東岸和田が閉館。シネコン閉館の国内第一号となり、今後、施設の老朽化などが原因で閉館が続く可能性もある。各シネコンは独自のサービスを展開し、生き残りの道を探っている。 |
これまでシネコンは郊外や地方を中心に広がってきたが、最近は都心部での大規模なシネコンのオープンが相次いでいる。しかも近隣にはすでにシネコンがあり、シネコン同士が観客を奪い合う激戦になっている。例えば、神奈川県の川崎駅周辺ではチネチッタ、TOHOシネマズ、109シネマズ川崎と3つのシネコンがぶつかり合う。 最近の激戦地区といえば、新宿である。07年に新宿初のシネコン、新宿バルト9がオープン。そして今年7月、新宿バトル9から目と鼻の先、伊勢丹の裏に松竹のシネコン、新宿ピカデリーが誕生した。歌舞伎町の映画街を含め、三つ巴の戦いとなっている。 今後は、TOHOシネマズ 西宮OS、神奈川県みなとみらい地区、神奈川県109シネマズたまプラーザ、大阪府・梅田などに大規模なシネコンがオープン予定だ。 |
シネコンでは毎週上映作品や時間が変わる。同じスクリーンでも朝と夜では上映作品が違うこともあれば、同じ作品を複数のスクリーンで上映することもある。シネコンに行ってから見る作品を選ぶ楽しみもあるが、やはり混雑やチケット売り切れというストレスを避けるためにはネットやケータイで予約をしていきたい。 |
毎週水曜日(一部曜日が異なるところも)は女性1000円というレディースデーが普及しているが、中にはメンズデーを実施するシネコンも。毎月1日を映画の日とした一律1000円や、レイトショー・モーニングショーなどを利用する手もある。入会金や年会費、各シネコンによってポイントサービスの内容はさまざまだが、入って損はない。6本映画を見ると1本無料になるなど、映画をよく見る人ほどすぐに会員に入るべきだろう。金券ショップを利用する手もある。金券ショップは公開後も扱っているところが多く、1300円で見ることができる。たたし、前売り券によってはシネコンで使えない場合もあるので、注意が必要。 |
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取材・文/本山由樹子
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