スクロールを制する者は「デビルワールド」を制す:ゲイムマンの「レトロゲームが大好きだ」(2/2 ページ)
バイブル使ってデビルを退治
第2面ではボワボワがなくなり、画面の四隅にバイブルが現れる。このバイブルを取って、ドクロの描かれた四角いブロックにはめこむと、この面はクリアとなる。
バイブルはスクロールに関係なく、常に画面の四隅に浮いている。スクロールと同じ方向に歩くと、速くバイブルに到達できるのだが、壁に挟まれるリスクも高い。逃げ道の確保を常に意識して動かなくてはならない。
2面でタマゴンが炎をはけるのは、バイブルを持っている間だけ。だから敵が近くにいるときには、あえてバイブルをブロックにはめこまず、敵がいなくなるまでキープしていた方がいい。
2面をクリアし、デビルが去ったら次はボーナスステージ。バイブルと同じように浮かんでいる箱を、制限時間内に取っていく。フィールド上にある「<」を通ると、スクロールの方向を変えられる。
箱を取ると得点が入るが、1つだけ緑の卵が入った箱があり、これを取るとタマゴンの残りが1匹増える。
以下、この1〜3面がループする。ただし難度は上がっていく。敵の種類や数が増えたり、迷路の形が一部変わっていたり、スクロールスピードが速くなったりする。
予測のつかない2人同時プレイ
現在でも“家族で楽しめる”ゲームを重視している任天堂だが、ファミコンの初期にも、多人数が集まって楽しむことを想定し、2人同時プレイができるゲームを多く作ってきた。
中でも、マリオブラザーズ、クルクルランド、バルーンファイト、アイスクライマーなどの2人同時プレイは、単なる対戦でも協力でもなく、どちらの楽しみ方もできるもの。しかも、協力しようとしても誤って相手をジャマしてしまいがちなシステムになっているため、予想外の事態が起こりやすく、プレイヤーは盛り上がる。
「デビルワールド」も、2人同時プレイ可能。盛り上がれる要素もちゃんとある。
炎をはいて、相手のタマゴンに当ててしまうと、当たったタマゴンが少しの間動けなくなるのだ。その間に敵にやられたり、スクロールに挟まれたりしたら、“うっかり”にしても“わざと”にしても、ひと悶着起こることは必至だろう。
休眠顧客を呼び戻せ
「デビルワールド」に続編は出ていないが、今月(2008年1月)に、Wiiのバーチャルコンソールで配信されるそうだ。
すでに「マリオブラザース」、「アイスクライマー」、「バルーンファイト」も配信されているバーチャルコンソール。WiiスポーツやWii Fitとは別の方向性で、ゲームファンを増やすのに役立っている。特に、ファミコンの頃にはゲームをやっていた“休眠顧客”を呼び戻す役割を果たしている。
お正月の朝日新聞でもそうだったが、任天堂の岩田社長はWiiについて再三、“家族の誰にも嫌われない”ゲーム機を目指したと語っている。
“ゲーム脳”が話題となり、マスコミでたびたび「ゲームが犯罪を誘発する」と言われ、大きなゲームバッシングが巻き起こっていた2002年から2004年。この事態をいちばん憂慮していたメーカーが任天堂だった。
例えば「ゲーム批評」誌の2003年11月号で、「ゲームと犯罪を関連づけて騒がれることについて、どう思うか」という問いに対して、
「『始めにゲーム罪悪論ありき』という姿勢で接してこられるマスコミの方が多いのが現実と言わざるをえません」、「一部のマスコミの皆様には当方の意見を冷静に聞くための環境が整っていないようです」と、かなり踏み込んだコメントを出している。
危機意識が強かったためだろう、状況を打開するために、“家族の誰にも嫌われない”“ゲーム人口を増やす”ゲーム機を目指して、ニンテンドーDSとWiiが開発された。
あの時期は、“沈黙を守って嵐が通り過ぎるのを待つ”姿勢に終始したメーカーやゲーム専門誌も多かったようだが、結局のところ、問題の実情を真摯にとらえたことが、大きなビジネスチャンスにつながったといえよう。
もっとも、こうした問題をいちばん真剣に取り上げてきた雑誌「ゲーム批評」が、2006年に休刊したので、一概に「問題を直視することがビジネスチャンスにつながる」と言い切れないのがつらいところだけど。
間口の広さと、仲間で楽しめる要素を持っている「デビルワールド」も、Wiiの目指すコンセプトに合致したゲームといえるだろう。バーチャルコンソールなら500ポイントで買えるし、持っていても損はないゲームだと思う。
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