1999年7月23日

MELTDOWN TOKYO 1999で

DirectXの将来を見る

 7月22,23日の2日間,マイクロソフトの主催によるDirectXデペロッパーカンファレンス「MELTDOWN TOKYO 1999」が開催された。これはソフトウェア,ハードウェア開発者へ向けたセミナーを中心に構成されたカンファレンスだ。

INFORMATION

MELTDOWN TOKYO 1999
URL: www.meltdown-tokyo.com

 今回のカンファレンスの冒頭では「コンシューマ Windows チャレンジ」と題されたセミナーで,DirectXを中心に置いたWindowsゲームの市場の拡大と普及の強い意思を表明した。最終的にゲームプラットフォームとしてのPCの認知度を高めるということで話を締めくくった。

 DirectX 7におけるDirect3Dは,パフォーマンスの向上はもちろんだが,新たに加わる機能としてステレオ表示をサポートする。これは液晶シャッター方式の眼鏡を用いて,Direct3D上で立体表示を実現するというもの。早い話が飛び出す眼鏡,というものだ。  この他Direct3Dではハードウェアハードウェア頂点トランスフォームのサポートや,ライティング,ブレンディング,そしてスキニングやキューブ環境マッピングが実現される。特にスキニングでは,人物の関節の継ぎ目を目立たなくしたりといったことが可能で,環境マッピングでは,物体への映り込みといった表現をDirect3Dベースで標準で行えるようになるのだ。

 DirectSoundでは複数の3DサウンドAPIをサポートし,ソフトウェアでの3Dサウンドの再現により,3Dアクセラレーションのないサウンドカードでも3Dサウンドを楽しめるとのことだ。またサウンド関係ではDirectMusicのサウンドライブラリとしてヤマハがXG音源をデペロッパーに提供する。これにより,ヤマハの持つハイクオリティな音源をゲームの中で使用することができる。

 この他,DirectX 8以降に取り入れられる各種機能も紹介された。ゲーム中に音声によるリアルタイムな会話ができる機能などはかなり面白そうだ。また,Windows Game Manager(WGM)と呼ばれる,ゲームの一括管理機能も魅力的な機能だ。ハードディスクの容量が少ない場合,最も古く,最も使われていない「ゲームソフト」を選択的に削除し,新しいゲームをインストールするというものだ。ハイスコアといった保存されたゲームデータなどは削除されないため,たとえ削除されたゲームであっても,CD-ROMを再度ドライブにセットすれば,わずかな待ち時間の後,そのゲームを再開できる。また,最適なゲームデバイスを自動で認識,セットアップする機能も含まれており,これらの機能により,ゲームに関して言えば「PCはコンシューマ機により近くなる」といえる。またさらにこのWGMには家庭などで1日に誰が何時間までプレイ可能,といった制限を設けることもできるとのことだ。

 DirectX 7は夏の終わりまでにはリリースしたいとの意向だ。だが,今回のDirectX 7は9月にリリース予定のWindows98SEには,マスターアップのタイミングから搭載はされず,マイクロソフトのサイトからのダウンロードや,ゲームのCD-ROMなどからの入手になるはず。

 今回のカンファレンスではゲーム市場におけるマイクロソフトの本気が窺い知れた。米国ではゲームといえばPCゲームという土壌があるだけに,コンシューマゲーム王国日本の牙城を突き崩す起爆剤としてDirectXの今後の展開が重要なファクターとなるだろう。

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