実機は強力な火器官制レーダー＆システムと長射程ミサイルの搭載により，長距離での迎撃能力に長け，約210km先の敵を捕捉可能だ。追跡モードでは165km先の目標を同時に24機まで追跡可能で，この内の6機の目標に対して同時かつ個別にミサイルを発射することができる。

今となっては多目標追跡能力も珍しいものではなくなったが，当時としては画期的な戦闘機だった。また見かけに反して機動性能も高く，格闘戦でもF-15と同等かそれ以上と言われている。

配備が始まったのが1973年。しかし，1993年には生産を終え，その後をF/A-18に徐々に譲っている。それも可変翼構造による生産と整備のコストが問題となったためだ。

特徴的な前進翼とカナード翼による高機動の実現と，それを制御するためのコンピュータによる飛行制御装置（デジタル・フライ・バイ・ワイヤー）の実験が主な目的だった。

米国で前進翼の機体が生産されることはなかったが，飛行制御系の技術は不安定で飛びそうもない機体を飛ばすためのノウハウへと反映された。F-117やB-2が実用化されたのは，このX-29のおかげだと言っても過言ではない。

初飛行は2000年2月ということもあり，詳細な情報はほとんど無い状態ではあるが，基本的なコンセプトはF-22に酷似している。また，超音速巡航速度はマッハ1.7前後で可能とされており，F-22を超える面もある。

現在，MiG-MAPO 1.42/1.44はS-37と比較し研究が行われているようだ。だが，MiG-29やSu-27の2倍以上の80億円という価格もあり，ロシア国内の経済難から本格的な配備に向けた計画は見えていないと言われている。

全長は約11メートルで主翼を折り畳むと全幅は約7.2メートルと非常にコンパクトにまとまった機体だ。運用自重も10トンを切っており，艦載機としては理想的な機体であった。

湾岸戦争ではこのA-7Eの活躍も見られたが，それを最後に米海軍では全機が退役しており，その役目はF/A-18が後を継いでいる。現在でもギリシア空軍とタイ海軍では現役機として活躍している。