「最近のテレビは、従来どおりの製品とハイビジョンにも対応したプラズマテレビなどに2極化している傾向があるようです。そういった意味でも、FORIS.TVは面白い製品だと思います。カラーバリエーションは何色あるのですか？　（「フォリスブルー」「ブラック」「シルバー」の3色が用意されていることを説明すると）そうですか。でも、このフォリスブルーが一番しっくりするかもしれませんね。今までにあまり見かけなかった色ですが、テレビ本体の色が映像を邪魔することはないでしょう。いい色だと思いますよ」

映像情報を忠実に再現するFORIS.TV「SC23XA1」

　続いては、DVDビデオを鑑賞しながらFORIS.TV「SC23XA1」の画質を検証していただいた。素材としたDVDビデオは『好夏2「ミントプロトコル」』という作品。この作品は近藤氏が監督・脚本・編集したものだけあって、映像が本来持っている情報を細部まで熟知している。それだけに、FORIS.TV「SC23XA1」の実力も浮き彫りとなるはずだ。

『好夏2「ミントプロトコル」』の詳細情報はこちら

　まずは、暗い夜道を走るシーンのコメントを紹介しよう。このシーンは、テレビ番組のドラマのように十分な照明のもと撮影されたものではない。

「光が少ないシーンも見事に再現されていますね。近くの人物だけでなく、背景もちゃんと認識できます。もともと、こういった暗い部分の情報はDVDに収録されている情報であるものの、普通のテレビで再生すると全部“黒”になってしまうはず。でも、FORIS.TVならしっかりと認識できます」

　また『好夏2「ミントプロトコル」』では、ブルースクリーンで撮影したあと背景を合成したシーン、ブレスレットが輝くシーンなど、さまざまなデジタル処理が施されている。

「それから、FORIS.TVくらいの再現力があると映像圧縮の弱さがバレてしまいますね。普通のテレビであれば画質が不十分なため誤魔化されてしまうはずなのですが……。正直な話、エフェクトの設定があまかったのか干渉の線が出てしまっている個所など、編集時に気づかなかったミスを発見したくらいです（笑）。編集時には普通のテレビと業務用モニタで映像を確認しているのですが、おそらく業務用モニタでも気付かなかったのでしょう。業務用モニタの画面サイズが小さいという理由もありますが、きっと一般のテレビでは気が付かないでしょうから、FORIS.TVの再現力は立派だと思います」

高画質テレビの普及が、映像の制作方法を変える

　最後に、FORIS.TV「SC23XA1」のような高画質のテレビが普及すると、映像制作がどのように変化するかを近藤氏は語ってくれた。ここで、FORIS.TV「SC23XA1」に対する期待とともに紹介しておこう。

「現在の映像制作は、再現力の低いテレビを基準にしなければいけないという制約にどうしても縛られてしまいます。民生用のDVカメラでさえ進化しているのに、最終的にはテレビの性能に合わせた映像を制作しなければいけない。これが現在の状況です。最終出力の基準が変われば、作り方も変化していくと思いますよ。たとえば、FORIS.TVのようなテレビを基準に映像を制作すれば、今までと全然違う映像を制作できるはず。個人的には、『星空をそのまま映し出せるようなカメラ、モニタが早く登場して欲しいな』と思っているくらいですから……」

「また、DVDが登場した当初は、マルチアングル機能など、新しい映像の見方も提案されました。しかし、現実にはあまり利用されていません。おそらく、ユーザーは特別な操作を行わなくても楽しめる映像を求めているのでしょう。映像を再生するたびに明るさやコントラストを調整し直す、そんなマメな人はほとんどいません。映像が本来持っている情報を忠実に再現しようとするFORIS.TVの姿勢は、そういう意味でも評価できると思います」

近藤勇一（こんどう・ゆういち）

1969年、栃木県生まれ、東京在住。幼少期に怪獣映画を観たときから映像の虜。学生時代に自主制作映画を撮り始め、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭のオフシアター部門にて二度グランプリノミネートされる（1993年『僕が僕であるために』、1995年『BLUE ROSES』）。現在はフリーランスとして、映像制作やWeb制作、各種マルチメディアコンテンツの制作に関わる。個人WEBサイト「機脈社（きみゃくしゃ）」では、自作短篇ドラマも配信中。