「このフレーム構成の維持は、徹底しています。たとえばチャプターもフレーム単位で設定できるのですが、チャプターで構成されたプレイリストをダビングしようとすると、チャプターの開始位置がIフレームとは限りません。つまり再エンコード時にフレーム構成のつじつまが合わなくなります。
そこで、先頭がPフレームの場合はIフレームに、Bフレームの場合にはPフレームに差し替え、MPEG2規格を破綻させることなく、チャプターの開始位置以外ではフレーム構成を維持します。他社製品ではそもそもチャプターがGOP単位だったり、再エンコードダビング時にチャプターがずれたりすることもありますが、ビクター製品では、これがありません」。
再エンコード時のフレーム構成の維持を徹底しつつ、ユーザーの利便性を損なわないため、このような方法を採用しているわけだ。また、本当の意味での高画質エンコードのため、ビクターが業務用DVDオーサリングで得たノウハウも投入されているという。
「ビクターの場合、業務用DVDオーサリングも手がけてます。MPEG2に関する研究、開発という意味ではDVDビデオの出る前からですからもう10年を超えてますね。従って技術論だけでは得られないMPEGエンコードのノウハウは豊富です。たとえば2passエンコードでは、動きが激しい、情報が多い部分に十分なビットレートを割り振るのは比較的簡単なんです。むしろ、ビットレートを削らなければいけない部分で視覚的にいかに映像を破綻させないか、こちらの方がずっと難しく、まさにノウハウの世界です。このノウハウは当然インテリジェント2Passエンコードに活かされています」。
ビクターはHDD+DVDレコーダーとしては後発になるが、参入にあたって、あえて目立つ機能を搭載していない。というより、「時間差再生」(キャッシュ録画)や「オートCMスキップ」など他社に先駆けて搭載した機能がいくつかあるが、少しアピールが足りなかったように感じてならない。たとえば、ソニーが2003年秋に地上波EPGと“おまかせ録画”をひっさげて大々的に参入したのと対照的だ。
しかし、今回取りあげた画質へのコダワリは、そうした付加機能以上にビクターというAV機器メーカーを色濃く反映し、また使い勝手も競合製品を良く研究したうえで一歩踏み込んでいる。しっかりとしたポリシーを持った製品作りに、今後も期待したい。
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