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CESでなぞるホームシアターの基礎知識劇場がある暮らし――Theater Style(3/3 ページ)

» 2005年01月08日 05時35分 公開
[浅井研二,ITmedia]
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プログレッシブ化、そして画素型プロジェクターの登場

 1999年のCESは、米国で前年の11月に地上デジタル放送が開始されたことを受け、HDTVを含むデジタルテレビ関連製品が盛況だったが、松下電器産業が展示したプログレッシブ出力対応のDVDプレーヤーも注目を集めた(日本国内では、すでに前年のエレクトロニクスショーで参考出品済み)。

 レーザーディスクでもDVDでも、それまでのプレーヤーは従来のインタレース方式で信号を出力していた。つまり、解像度を稼ぐため、テレビ画面に描く走査線(NTSCの場合なら525本)を半分に分け、1/60秒毎に偶数ラインと奇数ラインを交互に表示するというアレである。ちらつきのない高画質を求める人は、ラインダブラーと呼ばれる機器を経由させてRGB入力のついたプロジェクターへ接続したり、あるいはテレビ側に搭載された回路でインタレース解除を行っていた。

 また、映画はフィルムソースなので、ビデオ信号のように毎秒30コマ(60フィールド)ではなく、もともと毎秒24コマで撮影されている。ついでに、これに対しても処理を行い、プログレッシブ化させる。プログレッシブ対応DVDプレーヤーでは、これらの処理を出力する前にすませるため(S/コンポジットではなく、コンポーネントケーブルで伝送する)、よりオリジナルに忠実な映像を再現可能なわけだ。

 翌年にはDVDレコーダーの姿も見られるようになり、さらに、2001年のCESでは液晶やDLP方式を採用したプロジェクター製品が急増。一挙にホームシアター分野が活発化していく。その後、現在に至るまでは、多くの人がご存じのとおり、次世代大容量光ディスクの戦いが毎年のように繰り広げられている。

 ちょっと足早になってしまったが、以上のようなさまざまな技術の登場、そして、製品化の積み重ねで、数年前にはすでに、家庭でも高いレベルでの映画鑑賞が可能になっている。これに加え、冒頭に書いたように、価格や環境面においても、手軽に始められる範囲に突入してきた。

 だからこそ、「そのうち」と考えている人は、ぜひとも「今年こそ」ホームシアター導入に挑んでほしい。

 といっても、なにも一挙に全部揃える必要などない。自宅でもなるべくよい環境で映画を観たいという、心構えさえあればいいのだ。そのうえで、まず自分の環境を見つめ、必要な部分、手をつけやすい部分から機器を揃えたり、あるいは、何かちょっとした工夫をしてみるのもいいだろう。

 薄型テレビやプロジェクターなど、ホームシアターというと、とかく映像機器に目が行きがちだが、たとえば、いま使っているテレビはそのままで、非常に安価になったサラウンドシステムを導入しても、ぐっと変わるかもしれない。ホームシアターへの道筋は、1つではないのだ。

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