もうひとつ、D5に関連してはフルHDのフロントプロジェクタが低価格化するのでは?との期待もある。現行のD4世代では1.3インチとサイズが大きいフルHDの透過型液晶パネルだが、D5世代では0.9インチにまで小型化され、100万円を切る価格設定も可能かもしれない。
パネルサイズは光学回路や投射レンズなど、プロジェクタを構成するあらゆるコンポーネントのサイズに影響を及ぼす。そのため、パネルサイズが大きいとプロジェクタは大型化し、コストも膨れあがる。加えてフルHD映像を高画質に処理するには、それに相応しい映像回路も必要だ。富士通ゼネラルの「LPF-D711WW」が240万円というプライスタグを付けているのは、実際にかなりコスト高な製品だからだ。
だが0.9インチのフルHD対応D5で、フロントプロジェクタを設計するメーカーが登場するかどうかはかなり微妙な状況だ。というのも、0.9インチというパネルサイズが、D5世代のみで終わってしまう可能性があるからだ。
エプソンはD6世代以降のパネルサイズと解像度の組み合わせについて発表は行っていない。しかし、過去のトレンドを見るとわかるとおり、エプソンはコスト重視でパネルサイズの小型化を優先したラインナップを採ってきている。
また、エプソンは従来より「開口率は50%以上あれば、MLAで90%の光を透過できる。複屈折板を用いメッシュ感に関しても解決可能だ」と話している。D6がいつになるのか? 果たして開口率向上はどの程度達成できるのか? といった未確定要素はあるものの、フルHDパネルの次のターゲットが0.7インチになるのは間違いないだろう。
そうなると、「D5世代で0.9インチパネル用の新設計の光学系を作る」のか、それとも「0.7インチで開発を続けておいてD6世代でフルHDに移行する」のか、という2つの道が浮かび上がってくる。エプソンがD6世代でも0.9インチパネルを生産するというのであれば、高画質のプレミアム製品向けに0.9インチを使うという手もあるだろうが、ホームシネマ向けのフロントプロジェクタで主力製品を2つ持つのは、メーカーとして負担が大きい。
可能性としてはエプソンがEMP-TW500の後継機種として0.9インチフルHDを採用機を出すことになるかもしれない。投射レンズなど一部コンポーネントを除けば、光学回路のほとんどはリアプロTVとフロントプロジェクタで同じになるため、リアプロTVで0.9インチフルHDを使うならば、その設計とパーツをフロントプロジェクタでも活用できる。三洋電機や松下電器産業に関しても、エプソンから光学回路の基本部分をまとめて供給されれば製品化されるかもしれないが、その可能性は低いと見た方がいいだろう。
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