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進化し続ける電子辞書――この春、“ベストな1台”を選ぶには?(2/2 ページ)

» 2005年03月10日 16時37分 公開
[ITmedia]
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 日常的に調べ物をするツールとして考えると、生活の中で受ける衝撃に耐えられる堅牢性も電子辞書に求められる要件のひとつといえるだろう。紙の辞書に比べればはるかに軽量で、携帯することも苦にならないだけに、いざ使おうという時に液晶にヒビが……などという危険性はできるだけ避けたいものだ。

 「高校生でも電子辞書を使うことが増えており、カバンに入れたまま投げてしまったり、落としてしまったりというケースも見受けられます。当社の電子辞書が採用している強化構造“TAFCOT”は振動や落下、あるいは加圧に対して強い特性を持っており、持ち歩くツールとしての安心感を確保しています」(堀氏)

 TAFCOTとは「ボディを強化するサイドビーム&アルミ合金パネル」「液晶を保護するコンポジットフレーム」「液晶にかかる衝撃を吸収するフローティング構造」の総称。同社では75センチからの落下や直径15ミリの範囲へ30キロの加重をかけるなどのテストを行い、誤って床に落としてしまった・踏んでしまった、あるいは自転車の前かごに入れて走っても大丈夫というタフネスさを獲得している。

 また、新モデルではサイドビームを本体の内側に収納し、よりスッキリとしたデザインとしたほか、上ぶたとの合わせ目をM字型に変更、ひらく際に指が滑りにくくするなどの工夫も凝らされている。

photo 本体を閉じたときに合わせ目がM字型になり、よりひらきやすくなっている

コンテンツ追加でより手になじむツールへ

 70、80という辞書(コンテンツ)を収録することも珍しくなくなった電子辞書だが、紙の辞書の種類はそれこそ無数に存在しており、辞書を使う人すべての要求に応えるだけの辞書を収録することは難しい。

 「この製品に六法が入っていればベストなのに……」「収録されている時事用語辞典の最新版が欲しい」という要求に応えるために各社が用意しているのが、コンテンツカードあるいはCD-ROMを利用したコンテンツ拡張だ。

 電子辞書メーカー5社中4社がコンテンツ拡張に対応しており、まさにこの春のトレンドといえる機能だ。カシオは2003年に登場した「XD-CP100」からコンテンツ拡張機能を搭載している。この春の新製品18機種のうち13機種が同機能を搭載しており、“コンテンツの柔軟性”にも重きがおかれている。

 ちなみに、カシオ製品については、追加コンテンツはCD-ROMとデータカードという2種類の方式で提供されている。4月までには全部で31の追加コンテンツが用意され、うち14タイトルはデータカードでも提供される。CD-ROMでコンテンツを追加すれば、本体メモリにコンテンツを追加可能で、複数の辞書を自由に組み合わせて使うことができる。但し転送にはPCが必要なため、PCに詳しくないユーザー向けにデータカードも用意されている。

 「基本的にはCD-ROMでの追加をお勧めしています。コンテンツ追加タイプを検討される方の場合、目的がはっきりとしていますし、PCの操作にも慣れていると考えられるからです。それに、用意して頂いたSDメモリーカードをセットすれば、内蔵メモリに加えて、セットしたメモリーカードの容量分だけコンテンツを追加できますので、それだけ多くのコンテンツを携帯できます」(堀氏)

画面の見やすさも大きなポイント――ハーフVGAでより見やすく

 画面の見やすさも電子辞書選びの大きなポイントだ。一口に見やすさを向上させるといっても、液晶の画面を大きくする、液晶をカラーにする、認識性の高い(大きい)フォントを採用するなどの方法がある。

 カシオが春の新製品で採用した方法は、主力製品の液晶画面を従来の4.5インチから5インチに大型化し、なおかつ解像度をクォーターVGA(320×240)からハーフVGA(480×320)へと高精細化する方法だ。

 これによって、12ドットフォント使用時の表示可能文字数が442文字から920文字へ向上し、1画面に表示できる情報量が向上した。電子辞書と紙の辞書を比較する際に言われる、一覧性の低さをカバーしたほか(新製品は1画面で紙のジーニアス英和辞典の約半ページを1画面に表示させることができる)、画面にけい線を追加して視認性を高めることや、画面を3分割させて使いやすさを高めることに成功している。

 「そのほかにも、液晶の高精細化によって標準フォントを16ドットから24ドットに引き上げることが可能になりましたので、より見やすくなりました。広辞苑などのコンテンツではより漢字のキレイさが分かります。けい線の表示もそうですが、行間の調節もできるようになりましたので、画面そのものの見やすさは大きく向上したと思います」

photo 高精細化によって可能になった3画面分割のプレビュー画面。「広辞苑などならば、プレビュー画面でほとんど解説の文章が表示されるので便利ですよ」(堀氏)

“日常使うツール”として製品のチョイスを

 音声・堅牢性・拡張性・画面という4つの項目から、辞書選びのポイントについて見てきたわけだが、カシオの新製品群にはそのほかにも注目すべき機能が搭載されている。

 例文検索については英単語から英例文を探すだけではなく、英例文の訳として添えられている日本語訳を対象に日本語から英例文を検索するという機能が新搭載されたほか、一部の機種には、英和辞書に収録されている日本語を対象にした検索を行える「ジーニアス大和英インデックス」も搭載された。

 「複数辞書検索やジャンプ、単語帳、履歴表示など、“電子辞書ならでは”という検索機能は各社共に横並びになりつつあり、現行製品の基本機能は完成型に近づいています」と堀氏は語るが、上で紹介したような機能はより個人のニーズに応えるべく、常に改良が進められている証しといえるだろう。

 堀氏は「スケジューラやメモ機能の搭載など、多機能化を進めるということも考えられますが、そうすることでボタンの数が増え、操作が煩雑になってしまってはナンセンスです。あくまでも、辞書としての使いやすさを追求していくことを考えています」と今後の方針について語る。

 “あくまでも辞書としての使いやすさを追求していく”というカシオ。多コンテンツ収録が当たり前になりつつあり、基本的な検索機能に違いが少なくなってきたこれからの製品選びには、いかに自分にとって“日常的に使いやすいツール”であるかがポイントになるだろう。収録辞書の種類や検索性はもちろんのこと、音声・堅牢性・拡張性・画面など、さまざまな角度から、ベストな1台を探してみて欲しい。

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