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「われわれは2年待った」――ワーナーがHD DVDを選んだ理由連載:次世代DVDへの飛躍(3/5 ページ)

» 2005年04月13日 20時11分 公開
[本田雅一,ITmedia]

 「不可能ではないでしょう。両陣営が、それぞれ歩み寄るのがベストです。ただ、私たちはBDを支持する主要な企業にHD DVDとの統合を働きかけてきましたが、結局それは不可能でした。われわれの希望は統一規格を作り、それにビジネスとして取り組んでいきたい、ということです。ひとつ明確にしておきたいのですが、2年もの間、われわれは二つの陣営が歩み寄ることを望んでいたのです。決して分裂を望んではいません。しかし時間切れです。ワーナーは自らの判断で、HD DVDを全面的にサポートすることにしました」。

DVDの売り上げは堅調。しかし成長路線の維持は困難に

 BDを支持する企業は、青紫レーザーダイオードが大容量光ディスクを作る上で最後の波長であることを強調することが多い。これが最後ならば、将来性に含みを持たせ、ニーズ次第でさらに大容量へと発展しやすい規格にすべきとの主張だ。

――HD DVDは30Gバイト止まりといわれています。ワーナーはそれ以上の大容量は不要と考えているのでしょうか?

 「映画についていえば、過去を振り返っても3時間50分を超える作品はこれまでに存在しませんでした。われわれは、H.264やVC-1といった新世代の圧縮技術を用いれば、HD映像を十分な画質で7時間以上収録できると評価していますから、それ以上の大容量は、たとえ大量のボーナスコンテンツを入れるとしても不要だと思います」。

 「BDは、確かに1層あたりの容量が大きく、将来的に2層を超える多層化の可能性があるようです。しかし彼らのアドバンテージはMPEG2を用いた時のものです。確かにMPEG2ならば、BDの方が優れていたといえます。しかし時間は流れ、現在はもっと効率の良い圧縮技術が開発されている。ならばコストが安いHD DVDの方がいい。99%の人にとってHD DVDの方が良い選択肢だと思います」。

――H.264は現在、元になる映像の100倍の時間が圧縮にかかるといわれています。これがアクセラレータの導入で2倍になるともいいますが、それでもMPEG2のリアルタイム処理に比べればずっと低速です。シーンごとのパラメータの最適化など、オーサリングの手間を考えれば、MPEG2が使えるBDの方が安くなることも考えられませんか?

 「圧縮時間はさほど問題ではありません。現在、H.264だけでなくVC-1の採用も含めて検討を重ねている段階ですが、結論がどちらになったとしても、圧縮にかかる時間やコストは、さほど問題にはならないでしょう」。

 ワーナーは昨年まで、家庭でのHDTVの普及は2006年後半になるとして、HD化は急いでいないことを示唆していた(関連記事)。しかしここに来て、2005年には世帯普及率10%を超えて、市場が立ち上がり始めるという。

――この1年で何が変化したのでしょう?

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