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「われわれは2年待った」――ワーナーがHD DVDを選んだ理由連載:次世代DVDへの飛躍(5/5 ページ)

» 2005年04月13日 20時11分 公開
[本田雅一,ITmedia]
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 「それは得られる効果に対してコストが高すぎます。技術的には可能でしょう。しかし、普及が始まってしまえば、どちらか一方のメディアが集中して選ばれるようになるでしょうから、ユニバーサルの必要性が結果的に薄れてしまいます。しかし、それでもずっとユニバーサルであり続ける必要があります。これは効率的ではありません」。

――プレーヤーという切り口で見ると、HD DVD側には家電ベンダーが少ない。現在の体制で、果たしてHD DVDプレーヤーは普及するでしょうか?

 「アップルのiPodを見てください。コンテンツに優れ、運用性も高い環境をiPod周辺に作ることで、アップルは1社で世界中を席巻しています。映画の場合も同じことがいえます。

 優れたタイトルが数多く、そして定期的に供給されれば、たとえ家電ベンダーの数が少なくても問題はありません。1月に発表した発売予定の53タイトルはわれわれの持つ作品から、もっともエキサイティングで、もっとも人気の高いタイトルを選びましたし、今後もヒット作を中心に新作もHD DVDで出していきます」。

新しいニーズに応えていくのがわれわれの仕事

――既存のDVDは、まだまだ現役です。新規格のHD DVDを投入しても、人々はDVDを買い続けるでしょう。ワーナーにとってHD DVDへと移行するモチベーションは何なのでしょうか?

 「DVDと次世代光ディスクを直接比較することはできません。DVDの時と今とでは、周囲の状況が全く異なるからです。VHSは品質的にも、耐久性の面でも、使い勝手の面でも、光ディスクには及ばず、価格も安くすることが難しかった。

 しかし、現在のDVDは消費者から高い満足度を獲得しています。また、画質の面に関しても、大型のHDTVに移行していないほとんどのテレビでは、DVDと同じような画質にしか見えません。このため次世代光ディスクは、HDTVの普及とともに、緩やかな普及カーブを描くと思います」。

 「われわれの役割は、そのゆっくりとした次世代光ディスクコンテンツ市場の拡大に対して、新市場を作るために適切な良質なコンテンツを適正な価格で提供し、業界を成長させることです。HDTVが家庭に浸透すればするほど、その能力を活かせる良質のパッケージソフトへのニーズも高まるでしょう。そうしたニーズに対して、きちんとコンテンツが提供できる体制にあることが重要です」。

――では、年内に発売する見込みというHD DVDのパッケージソフトに、ワーナーはいくらの値段を付けるのでしょう? DVDとの比較ではどうでしょうか?

 「初期の段階では、若干ながらDVDよりも高価にはなると思います。現在、市場調査やコストの見積もりを入念に行いながら調整しているところです。しかし、DVDとの価格差はさほど大きなものにはならないと思います」。

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