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“日用品感覚”のフラッシュメモリプレーヤー「SN-F100」レビュー(2/2 ページ)

» 2005年08月11日 19時36分 公開
[渡邊宏,ITmedia]
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 転送が完了すれば、楽曲を聴くことができる。再生/一時停止ボタンを長押しして電源を入れ、「MENU」ボタン長押しでナビゲーション画面を呼び出し、再生したい曲/フォルダを選択すればいい。カーソルの移動は早送り/早戻しボタンで、決定は再生/一時停止ボタンで行う。なお、再生中に上部の「EQ」ボタンを押せば、XBASS/ROCK/JAZZ/CLASS/POPと5種類のイコライザを適用できる。

photo 再生中の画面

 戸惑ったのは、「長押し」に関する操作方法だ。

 メニューを呼び出すには「MENU」ボタンを長押しするのだが、ボタンを数秒押し続けてもメニュー画面は現れない。メニュー画面を出すためには、ボタンを数秒押し続けた後に「ボタンから指を離す」ことが必要なのだ。

 確かにこれも「長押し」には違いないのだが、あまり一般的な方法とは思えない。この操作方法は他の部分でも見られ、FMラジオを使用する際にも、FMボタンを数秒間押してから指を離さないと機能が切り替わらない。

photo メニュー画面を呼び出すには、「MENUボタンを数秒押し続け、ボタンから指を離す」という操作が必要

 内蔵マイクあるいはFMラジオからの録音も可能だ。録音ボタンは設けられていないので、内蔵マイクから録音する場合にはMENUボタンから「録音」を選択し、FMを録音する場合には受信中に再生/一時停止ボタンを長押しする。録音されたファイルはボイスレコーディングの場合には「¥voice¥」以下に、FM放送の場合には「¥fm¥」以下へ、WAV形式で生成される。

 付属のヘッドフォンを組み合わせて試聴してみたところ、音質については中域がややこもる感じを受けた。特にポップスを聴いたときにその印象は顕著で、イコライザの「ROCK」を適用したほうがバランスが良いように感じた。どうやらこれは付属ヘッドフォンの特性によるもののようで、筆者が普段使用しているソニーのMDR-EX51LP、あるいはゼンハイザーのMX400に交換してみたところそうした印象は受けなかった。


 本製品は機能的に目新しいところはなく、またお世辞にもスタイリッシュなデザインともいえず、どちらかといえば武骨な印象だ。機能と操作性、デザインも含めたハイレベルな競争が行われている日本のポータブルオーディオ市場においては、厳しい戦いを強いられるだろうというのが正直な感想だ。

 しかし、電源に乾電池を採用していることやFMラジオを搭載していること、複雑な動作の原因となる多機能化をあえてしていないこと、低価格であること(ITmedia Shopiingで調べてみると、512Mバイト版も1万円程度で販売されている)、説明書が非常に丁寧に記述されていることを考えると、“お父さん世代でも気軽に使えるプレーヤー”として企画されたのではないかという想像が成り立つ。そう考えれば、やや大きめのボディも「持ちやすいサイズのボディ」といえる。

photo パッケージに含まれているマニュアルは79ページにも及び、CDからの音楽取り込みについても細かく解説されている

 デジタルオーディオプレーヤーは2008年にはMDプレーヤーを追い越し、ポータブルオーディオの主流になることが予測されている。そのときには音楽や流行に敏感な若い世代だけではなく、より幅広い世代が利用することになる。そうなると求められるのは、適切な価格で必要と思われる機能をバランスよく実装することだ。

 SN-F100は「長押し」操作や本体の仕上げなど、改善が必要と思われる部分もあるが、その“バランス”を満たす製品といえる。

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