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カメラからネットへ、無線LANはこんなに便利――コダック「EasyShare-One」レビュー(4/5 ページ)

» 2006年01月24日 13時11分 公開
[三谷真,ITmedia]

 CESの会場では、Kodakは飛行機内の展示を作って、「若夫婦が旅行の写真を帰りの飛行機の中で選別してアップロード、それを田舎のおじいちゃんおばあちゃんが見る」という設定でデモをしていた。

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 旅行の気分が終わってPCに取り込むから、HDDの肥やしになってしまうのだ。旅行の熱もさめやらぬ飛行機の中で、一緒に行った奥さんや恋人、友達とワイワイやりながら画像を選び、そのままアップロード。帰ったら、一緒に行った人はそれを見て好きな写真をプリント注文したりHDDに保存したりすればいい。

 Eメールでだって送れる。写真を直接メールに添付するのではなく、これもGalleryに保存され、そのURLが相手に送られる仕組みだ。相手のEメールアドレスはあらかじめ登録しておける。

photo メールで画像を送ることも。受信者側には、HTMLメールが送られ、そこからGalleryにアクセスする仕組み

 ワイヤレスLANを使った画像の転送は、やっぱり「share」ボタンを押すだけ。ここからEmail/Print/Upload/Transfer/Slideshow/Setupが選べる。SetupからはワイヤレスLANの設定、カメラの設定、メールアドレスの追加、グループの追加、端末の設定、GalleryのURLなどのネットワークやそのほかの設定が選択可能。ワイヤレスLANがある分、設定項目は多めだ。

 実際に使ってみると、動作はなかなか快適。いったんワイヤレスLANの電波を捕まえてネットワークに接続すれば、あとはUploadを選んでいくだけで簡単に画像をオンラインアルバムに登録できる。

 けっこう前から、携帯で撮った写真をメールで送るのが一般的になったし、近ごろは携帯で撮った写真をその場で送ってブログを更新する、なんてこともよく行われている。そんな風に考えるとイメージがつかみやすい。

 見た目も似ているし、いっそのこと携帯機能もつけてくれるといいのに。そういえば、CESのKodakブースでは、Skypeを使った画像共有のデモが行われていたし、別のところではワイヤレスLAN+SkypeのWiFi Phoneなんてのもあった。

 3.0インチタッチパネル液晶なんて聞くと、「PDA?」という気もする。現時点ですでにEメールアドレスの管理もできるので、この方向性もどうだろう。

 ま、この製品の本分はデジカメである。あまり多方向の機能追加は、えてしてそれぞれの機能が中途半端で使いづらくなりやすい。ワイヤレスLANで写真を送る、それぐらいでちょうどいいのだろう。

日本では?

 さて、このカメラは現時点で日本発売の予定がない。なぜか。EasyShare Galleryが日本にないからだ。このGalleryは、その国の居住者でないとメンバーになれない。つまり、Kodakの日本法人が日本国内向けにサービスを開始しないと、せっかくのワイヤレスLAN機能が存分に利用できないのだ。

 EasyShare Galleryでインターネット経由の画像転送ができないとなると、EasyShare-One的には宝の持ち腐れでもある。このままでもプリンタとワイヤレスで接続して印刷したり、PCに画像を直接送ったりはできるが、これ自体は他社の製品でもできること。それでは出す意味がない、というのがKodakの判断らしい。

 それでも3.0インチ液晶、タッチパネル、バリアングル液晶と、それなりに魅力的なスペックなのだが、こればっかりはKodakの判断も一理ある。

 日本では、DPE市場では富士写真フイルムが強く、デジカメも国内メーカーに大きく水をあけられている状況では、EasyShare Galleryのための設備投資など、思い切った施策が打ちにくいのも分かる。

 EasyShare-OneとEasyShare Galleryは、海外だけで提供されているのが残念なほど便利な使い勝手を実現している。同社では、サービス提供に向けた検討を続けているというが、現時点での提供は難しそうな印象だ。国内展開が次のEasyShare-One製品になる可能性もあるようで、このあたりは今後に期待、というところか。

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